近距離戦闘
「うーん、今日は近距離戦闘かー。」
テンションあがるぅ!
近距離戦闘は得意だ。
己の肉体と武器だけで充分。それに基本単独行動。
遠距離狙撃のように精密な技術はいらない。
しかし、落ちこぼれの朝は早い。
朝食を比較的ゆっくり食べて、武器保管庫に向かう。
こちらの武器もまた、あちらとは違った形をしている。
例えばこれ。
銀で出来た細長い長方形の物体、これなーんだ?
正解は"武器の持ち手"でしたー。
えっ?どうやって使うかって?
銃と同じで魔力で構築するのだ!
この持ち手で出来るのは、刃、鞭などの本体自体が比較的軽量なものとかだよー。
大剣など重量のあるものはあちらの太めの物。
短刀などもっとも軽いものはこっちの細く短い物を使う。
勿論個人で所有している物も有るけども、万が一があってはならないので、近距離戦線に出撃の際は軍支給の物を1つは持つことになっている。
「近距離戦線第3部隊"エドガー"隊、持ち出します。」
「はいよー。よいバーサーカーライフを。」
ここも弾薬保管庫同様、申請をして持ち出すことが義務付けられている。
管理人によって完璧な状態で整備してあるこの武器は、不具合知らずなのだ。
しかしこの管理人さんも、いつきてもいるよなぁ。
「お疲れ様です。いってきます。」
「今回の目標はホロー鳥の捕獲だ。ホロー鳥はそこまで強くないが、ここは前線!何が出てきてもおかしくはない!総員気を引き締めろ!とくにラングレー!!!お前は毎回毎回隊に迷惑をかけていることを忘れるな!今日もまた迷惑かけるようならば二度と!我が隊は貴様を受け入れんからな!」
「はい…申し訳ありません。」
「声が小さい!!!」
「申し訳ありません!!!!!!」
「よし!散開!」
あー、ついにこの部隊からも拒否宣言が。
落ちこぼれすぎて迷惑かけてるから、当然だよね。
何なんだろ、私って。なんでここに来たんだろ。
「おい、落ちこぼれのラングレー。お前、今日こそ死ぬんじゃないのか?」
にやついた、馬鹿にしたような笑みを隠すことなく、取り巻きを引き連れて話しかけてきたのは、学園からの同期の貴族令息。
たしか、名前はー…リックス・ムジョルニア公爵令息様。
「ムジョルニア様におかれましては、ご機嫌麗しゅうございます。」
「ふんっ、落ちこぼれの貴族崩れが馴れ馴れしい。」
「申し訳ございません。」
「チッ!まぁいい。今日でお前の顔を見るのが最終日だと思うと、精々する。何処へ行ってもだめだめな落ちこぼれラングレー。僕が雇ってやろうか???」
「リックス、そりゃお前が個人的に使うためだろ??」
「当たり前だろ!こーんな落ちこぼれ、それ以外に何が出来るんだよ?」
どっと取り巻きとムジョルニアが笑う。
学園の時からずっと誘われているけど、こんなやつの下で働くとかまじ無理。
落ちこぼれも選びたい。
「申し訳ありません。」
「つまらんやつだな。さっさと失せろ。」
「はい、失礼します。」
大丈夫大丈夫、私はまだ大丈夫。
このくらい、へいきだ。頑張れ、泣くな。
ホロー鳥はおいしく食べられる魔獣だ。
大きさは鶏の2倍程で、その身は臭みがなくさっぱりとした脂がのっている。
ホロー鳥は結構足が早い。そしてよく動く。
そのせいか、火を通すと身がギュギュッと引き締まり歯応えも充分な煮てよし!焼いてよし!のお手頃美味しい魔獣さん。
通常、魔獣は見たら殺す、会ったら殺すが基本。
捕獲、つまり殺して処理するなと言うことは!
料理長のダンケさんが依頼したんだ!
つまり今夜のおかずをとってこいてことですね!!!!
やっほー!!!
今夜はホロー鳥パーチーだ!!!!
「あ…いた。」
ホロー鳥は群れを成す。
毒々しい迄の黒光りする紫の羽毛に覆われたお肉。
少し離れた岩場から様子を伺う。
ホロー鳥は警戒心が強く、非常に臆病。
逃げるときは馬鹿デカイ鳴き声を上げならが逃げる。
その鳴き声を目印にほかの大型魔獣が来ることもあるので、ホロー鳥を仕留めるときのコツは、焦らず、慌てず、ぶっ殺す。
「蔦よ、絡め。」
地面に右手を着き、魔法を発動する。
これは細ーーい蔦がホロー鳥の足に絡む魔法。
「風よ、切り裂け。」
左手を前に出し、魔法を発動する。
これはホロー鳥の首を切り取る魔法。
蔦を操作してホロー鳥をひっくり返し、血抜きをする。
切り取った頭と血は一切の痕跡を残さないよう燃やす。
そしてあとはひたすら羽を抜く。
この羽は売れるらしいので砦にいつも持ち帰る。
「よし、おわった…58匹か。まぁまぁかな。」
さて!帰るゾイ!!!




