閣下、蜂蜜レモンになります
「あー…おっほん。うん、えっとだな。この蜂蜜は、何だったか、そう!めっちゃ美味しい蜂蜜だ!」
「うーん語彙力がキュート。」
「ごい…?きゅー?皇都の姉上に送ってもらったんだがな、うん、何処かの名産品だったはず。はぁーすまん、俺は戦ごと以外からっきしなんだ。」
「皇都の姉…えっ、あの、それってヒルデガルド・カスパー皇国近衛師団長様では…?」
「うん、ヒルデ姉上だ。」
「ひぇっ、割りと恐れ多い蜂蜜でゴンス…。」
ヒルデガルド・カスパー皇国近衛師団長。
女性で皇族でありながら、この国の誰よりも強く無くては務まらない近衛師団のトップに就任しているお方だ。
現皇帝であるお父上の右腕ともされている、強く美しく、また知性に満ち溢れた素晴らしい女性だ。
何度か皇都でお見かけしたが、真っ赤な髪が印象的な方だった。
遠くてご尊顔は見えなかったけどね。
「あ、そうだ。蜂蜜食べてみる?」
「ぇ」
「ほら丁度スプーンあるから、はいあーん。」
「ぉぇっ」
皇族が身内のために送った物を、皇族からアーンをされる一般市民。
え、無理無理、こんなん、無理。
顔の良い男が、あーんて、事案じゃよ。
そもそもあーんて、なんだよあーんて。
皇族があーんするの?しちゃうの?
てかあーん知ってるの?だれだよあーん教えたのはよぉ!?
閣下は巷じゃ冷血とか、氷の元帥とか言われてんだぞ!
な、の、に!!!
なん、あーんて、おま、ねぇぇぇぇえ????
「俺なんかから食べるのは、嫌か?」
「いっただきまぁーーーす!!!」
えっ?食べないとは誰もいってないよ???
蜂蜜を掬って分けると言う割には小さな、差し出されたスプーンに絡まる琥珀色。
パクっと一口、いやよく考えたら蜂蜜てそのまま食べるものじゃな…うま、この蜂蜜うま!
「んーーー!おいひい!」
「うん、よかった。んー…かわいいかもー。」
「後に残らず、それでいて濃厚な風味。これってサレスの蜂蜜ではないですか?」
「うん?サレスのニードル蜂蜜だったかな…?」
「うわめっちゃ高いやつ…本当にもらっても?」
「あぁ、その為に持ってきたんだ。ただ一応俺に送られたから全部丸ごとって訳にはいかん。すまんな。」
「いやいや!!!こんなに良い蜂蜜分けてもらえること自体奇跡ですから!待っててください、いま蜂蜜ポットと蜂蜜スプーン持ってきます!」
蜂蜜ポット、ハニーディスペンサーとも言う。
持ってきた入れ物をみて閣下は、ちっちゃくないか?と仰ったが、むしろこれくらいでも多いよ…?あの、一応あなたが送られた贈り物ですからね?
「わぁ…キレイ…」
ガラスのディスペンサーに入った神々しくも、柔らかな色合いを見せるお高い蜂蜜様。
大切に食べます。
「ラングレーはどうやって食べるの?」
「そうですねぇ、焼きたてのパンにかけるのも良いですし、パンケーキにも間違いなく合いますね。あ、肉料理の味付けにも最適ですね。」
ハニーソースってあるくらいだから、料理と蜂蜜の相性は素晴らしいのだ。
「…たべたい。」
「閣下?」
「俺も、一緒に食べる。」
えっ、この閣下、かわいすぎ?
「はい、そのときはご相伴に預からせていただきますね。じゃあ今日は蜂蜜レモン、飲みましょ?」
コーヒー牛乳の気分だけど、蜂蜜レモンをいただきます!
カップにレモン汁とお湯を注ぐ。
そこに好きなだけ蜂蜜を投入する。
「今日は、俺の蜂蜜使って。」
「はい閣下。いただきますね。」
蜂蜜スプーンでとろりと一杯。
柔らかな甘さと、レモンの酸っぱさのハーモーニーが素晴らしい…。
閣下ですか?死ぬほど蜂蜜入れてますね!
ほぼ蜂蜜湯ですね!




