その、閣下。根っこは食べるものではないと思うのですが?
ヌルリと出てきたそれは中将たちを見て笑っていた。
真っ黒な頭に真っ白な歯がゆったり三日月を描く。
同じくヌルリと出した腕?触手?で拍手?しだした。
「うっわ気持ち悪い…なんだあの魔獣…。」
ケラケラ笑いながらクルクル回りパチパチ手を打つそれ。
見た目は黒い塊だから特に不快感はない、けど何故か見ていると寒気が止まらない。
「本当になんだあれ…リリィちゃんに連絡しとこうかな。」
いまだに回っているそれを監視しつつ、遠距離念話魔法を展開する。
『琥珀・ラングレー上等兵であります。リリィ・ラヴィーナ曹長でありますか?』
『はぁい☆リリィでぇす☆なにかようですかぁ?』
『曹長から見て北西に3キロ先、未確認の魔獣がいますが補足出来ますか?』
『北西…いた。情報感謝しまぁす☆ありがとう琥珀。てかどこから見てるの?』
『防衛戦線ギリギリからスコープ使って見てるよー。』
『めっちゃ遠くない?見えるの?』
『見えるよ!あのね閣下から新しい銃の持ち手貰ったの!これすごいよ!』
『へー…従兄殿もやるじゃない。じゃちょっと確認してくるから。念話もこのままで。』
『はい!引き続き監視しておきます。』
リリィちゃんと中将他3人がそれに向かって行く。
それは相変わらずよく分からない動きをしている。
少し離れた所から中将が撃ち抜くと、それは霧散した。
するとそれは手を振りだした。
明らかにこちらに向かって。
『やばっ!琥珀逃げて!』
リリィちゃんが叫ぶ、が私は見ている。
こちらに向かってくるそれを見ている。
『ラングレー逃げろ!そいつは夜の支配者だ!砦まで全力で逃げろ!』
『中将、リリィちゃん申し訳ないのですが。退避は間に合いません。』
「アハハハハハハハハハハハ!」
『目の前にいますからね、琥珀・ラングレー迎撃を開始します。』
『おいまて!』
地中を潜ってきたのか、はたまた転移なのか。
それは真っ直ぐにこちらに突進してきた。
「防御術式最大展開。」
「アハハハハハハハギョエッ!」
防御術式にぶつかりひしゃげた、が死んではいない。
真っ黒な液体が散らばっていたが、ズルズルと戻っていく。
「ネェー?ナニコレ!カタ,カタイノ!」
「銃身展開、補足完了、『穿て!我は汝を射殺す狩人なり!』」
「アッ」
防御術式ごと貫通爆殺術式を撃ち抜く。
が、死なない。
防御術式にぶつかった時のようにまた戻っていく。
「ウーン,ウーンムズカシ,ムズカシイネ!」
「何も難しくねぇよ、死ね。」
サバイバルナイフほどの長さの刀で細切れにしていく、が死なない。
なんだこれ、液体切ってるみたいだ。
「ヤワラ,ヤワラカイノカ!カタク,カタ,クナレバ!」
「お!切れるじゃん!」
液体から個体になったところを、これまた玉ねぎの微塵切りより細かくする、が死なない。
「ヤワラ,カイノモダメ!カタイノモ!ダメ,ムズカシ!ネェー?」
「せやな!」
「オオキサ?マ,マ!チイサイ!オオキクナ,ル!」
そう言ってそれは大きくなった。
うーん、そうね。私と同じくらい?
「大きくなると的が大きくて良いね。」
「ア"ッヤメ」
「やめない。」
やめたら殺されるでしょこれ!!!!
ねぇ帰って?帰れよ!もー!!!!
「ヒドイ,ヒドイ,ヨ,ネェ?」
「別に?燃えろ。」
余裕そうにみえる?
内心震えが止まらなくて怖すぎて死にそうなんだけどね!
こいつ全然死なないんだもん!
「アッアッアツ,アッア」
白い炎による滅却を試みる…効いてるのこれ?
「ラングレー!無事か!」
「中将!はい、ですがこれは…」
「めんどくせーことに成りやがった。こいつは夜の支配者、そうそうには死なねぇよ。おい!総員戦闘体制をとれ!ここで仕留めるぞ!」
「アツ?アツイノ?ヤメユ,ヤダヤメヤメメメメメメメメメメメメメメメメメメメメメメメメメメアアアアアアアアアアアアアアアアハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!キミノセイ!キミノセイ!」
「あ"!?くそがラングレー避けろ!」
「ぐぇっ!?」
中将が来たことによって油断してしまった私は、それに思い切りぶん殴られた。
一応防御はしたけど、わぁー景色がすごい早さでながれてるー。
「琥珀!!!」
夜の支配者によって攻撃戦線側にぶっ飛んだ私の着地地点は森。
「ぎゃん!」
木々が生い茂る森です。現在木の枝をへし折り減速中。
でもこれ全然減速できないんだけど!?
こんなの着地したらトマトピューレになっちゃうよ!?
「いだっ!い、た」
最後は黒いでかい塊がいたのでおもいっきり蹴り飛ばして、やっとのこと減速する。
「いったたた…なんかぶっ飛ばした?はぁー生きてる…」
しかし視界は逆さま、情けない格好で着地に成功!
防御術式と衝撃緩和術式死ぬほど展開しましたよ!
なんとか無事に着地しましたー。
「あ"ー…いってぇ…あのくそやろうぶっ殺す。」
防御したとは言え、殴られた場所は痛いし転がって頭打ったし、擦り傷痛いし。
ポーション飲んで戻らなきゃ。
あいつ絶対殺す。
「うん!今日も清々しいほどにまずい!」
さて、行くか!と意気込んだけど、感じるよ…人の気配を。
「…ラングレー?」
「あ"あ"あ"閣下!い、いつか、らそちらに?」
「うん、ラングレーがぶっ飛んで来て魔獣ぶっ飛ばしたとこからかな。」
「申し訳最初からじゃんすみません見てました?ん?閣下何を咥えて…?」
ねぇ、閣下。
そのお口にくわえていらっしゃるのはなにかしらの根っこではなくて?




