表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/28

夜の支配者 前兆


飛行術式と隠密術式を展開し、空を駆けること一時間。

やっと目的の場所についた。

本日スタンピードの予兆警戒斥候でございます。


ノーデン領防衛戦線、いつもの戦場だ。

閣下率いる白狼部隊はこれよりもっと先の、ノーデン領攻撃最前線にて昼夜問わず魔法をぶっぱなしている。

私は行ったこと無いけど、魔獣がすごくいっぱいいるらしい。


「防衛戦線異常なし…よし、次。」


さてさて、魔獣について説明しようじゃないか。

魔獣、不思議な力を持った動物みたいなもの。

硬い殻に覆われた猿だったり、火を吐く猫。

水中を泳ぐ鳥、その種類、生態は様々。

だけども全ての魔獣における共通点は、物凄く好戦的なところだ。

ホロー鳥だって臆病だけど、自分より強いやつ呼び出して殺しにかかるし、比較的穏やかと言われるメロウラビットだって木陰から突進してくる。

そして一番ヤバい魔獣が夜の支配者。

発生条件はわかってないけど、いきなり出現して殺戮の限りを尽くして、多数の犠牲を払いながら撃滅する。

ノーデンの人数が圧倒的に少ないのはこのためだ。

夜の支配者によって犠牲になった人員はそうそう増員できないからね。

前回の出現では350人ほど犠牲になった。

約3年前の話だ…うん、最後はジョンおじいちゃんとクロエおばあちゃんが止めを指さした。

自らの命を犠牲にして、ね。


魔獣たちは大半が自分と同じ種族間で繁殖していく。

しかし稀に混ざっているのだ。

100匹に1匹程でしかない、まじもんの化け物が。


災悪の権現、魔獣に全てを捧げた魔女、亡国の姫。

個体名、エキドナ。

己の身を使って発動させた呪いの代償に、今尚魔獣を産み続ける魔獣母胎。

このエキドナより産まれて来るのが、理性のない魔獣だ。

エキドナから産み落とされた魔獣には理性がない、いや理性があるふりをしているから厄介極まりない。

それに理性が無いだけで、知性はあるから本当にだるい。

普通怪我したら逃げるじゃん?回復をまつじゃん?

エキドナ産の魔獣は違う。

痛いとか、恐怖とか、そう言ったものが全くないのだろう。

足がもげようと、首が千切れようと、命の続く限りこちらを殺そうとしてくる。

たまに死んだふりとかしてくるからね!?

だから最後まで見届けるのがこの戦場の基本だ。

もしくは骨も残らない程に殺し尽くすか、だね。

まぁやらなくて怪我をする人も結構いるんだけどねー。

ほら、噂をすればなんとやら。

エキドナ産魔獣がいますよ~。


火を吐く猫、フォートガット。

大きさは牛並みにでかい、が基本は猫。

ぽかぽか陽気に日向ぼっこしてますね、きゃわいい。

5匹いるなかに1匹異物が混じってなければ見逃すほどほのぼのした光景だ。

4匹はぽかぽか陽気に腹を見せ喉をならしている。

1匹は虚ろな目で4匹を見つめている。

その1匹がすっと起き上がると、何のためらいもなくそばにいた1匹を食べだした。

驚く3匹、しかし成す術もなくあっと言う間に食べられてしまった。

そして満足したのか毛繕いを始める化け物。

普通の魔獣は共食いなんて、しないからね。


「銃身展開、補足完了…死ね。」


毛繕いをしていた化け物の脳髄を撃ち抜く。

しかし脳髄を撃ち抜いても生きている可能性があるので、注意しながら飛行術式を解除していく。

…うん、生きているね。よし燃やそ。


「焼き尽くせ。」


白い炎で一瞬にして骨まで焼き尽くす。

じゃないと反撃してきてえらいめにあうからね!主に死ぬ。


「閣下から貰ったこれ…すごい。」


銀の持ち手から構築された銃身は黒。

銀と黒が混じってまるで、その、閣下の髪みたい、だね?

普段使っている持ち手は薄青い銃身になるし、ここまで正確に撃ち抜けない事があった。

それに扱いやすい、ものすごく。

どこが?って言われるとちょっとわかんないけど。

うん、そう、手に馴染むってやつ!


銃身を解除し、持ち手をまじまじと観察する。

はぇー…物凄い数の術式が刻まれてる。

これ絶対高い、私の給料じゃ絶対買えない。

貰ったからには返すつもり、ないけど…、ちょっと気が引けてきた。

こんなすっごい銃貰ったのに、私なにも返せない…。

てゆーかなんでこんなもの、くれたの?


「ん?なんだこれ…」


よく見るとなんだか文字が掘られている…


『ラングレーへ期待を込めて ラインハルト』


「あわわわわ…」


期待かー…期待かぁ!!!!



再び高度を上げ斥候を開始する。

そもそもスタンピードとは周期的に起きる。

魔獣も暴れたいときがあるのだろう。

ニンゲンにとってくそほど迷惑だが、それがスタンピードだ。

興奮状態の魔獣が我こそはー!状態で向かってくる傍迷惑なバケモノカーニバル、やめて欲しい。

ちらほら興奮している魔獣は見かけるが、目立った異常は確認できない。


「うーんここも異常なしか。うっわえげつない交尾してる…まぁいつもどおりかな。これ以上は私の階級じゃ進めないし、どうしたものかね。」


本命を探すうちに防衛戦線のギリギリまできてしまった。

これ以上行くと攻撃戦線、つまり白狼部隊の受け持ちになる。

ここから先は曹長、または全員が軍曹、指揮官に曹長を添えた部隊のみ行けることが出来る。

ある程度戦力が無いと死ぬからね。

ちなみにリリィちゃんは曹長です、かっこいい。


せっかくここまで来たんだし、この銃なら行けるかな!

超遠距離スコープ起動!


「お!すごい!めっちゃ綺麗に見える!」


狙撃スコープで戦線を見る。

おー!なにあの魔法!かっこいい!

うっわ、すごい数のの魔獣を1人で…あ、中将じゃん。

あ、退避し出した…どうし、あっ(察し)

リリィちゃんは本日出撃でしたか、うわやば。

前見たときよりも威力上がってない?やばくない?

地形変化してない?大丈夫?


「わぁ…やっぱりすごいなぁ…。んー?なんだあれ。」


戦線の端の端、リリィちゃんの広範囲攻撃魔法のギリギリ届かない場所にそれはいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ