表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/28

晴天、洗濯日和


湯上がりに濡れた髪と、シャツから覗く鎖骨に色気。

ふわりと香るは清涼感のある石鹸。

そして私だけを見つめる薄氷の瞳は柔く、近く。


『もう痛くないか?』


ぽっ

ぽっぽぽぽぽ

あの事を思い出すだけで真っ赤になる始末。

もう数日もたつのに夢にまで見てしまう。

むにむにと緩む頬をどうすればいいのだろうか。


「はぁ…閣下かっこいい…」


本日晴天、洗濯日和也。



落ちこぼれの休日の朝は早い。

まだ日が昇らぬうちにやることがあるのだ。

今日から2日に渡る休日を言い渡されだが、落ちこぼれにはやることがある。

それは洗濯である!

それもただの洗濯ではない、大量のシーツを1人で洗わなければならないのである!

昨日、私は救護隊にいた。

戦線に出る救護隊ではなく、この砦で負傷者を治療する常駐救護隊で任務に励んでいた、のだが。

落ちこぼれの治療など受けたくないと、落ちこぼれなんかに治されたくないと多数の人に言われまして。

斯くして救護も出来ない落ちこぼれは、医務室のベットシーツ洗濯を任されたのだ。


「おー…落ちてる。」


医務室のシーツは真っ白。

対してニンゲンの血液は真っ赤。

医務室とは怪我人が来るところで、必然的にシーツは真っ赤に染まるのです。

特に昨日のように激しい戦闘があった日には特に。

昨日の夜、医務室のシーツを全て回収し水を張ったたらいにぶちこんで(水洗い済み)おいたのがこちらになりまーす。

ぬるま湯で洗うのがおすすめだよ!

たらいの水を1度すべて抜き、また新たにきれいな水を張る。

そこへアルカリ性漂白剤を入れて水流を操作してぐるぐる回す。

また水を変えて今度は粉洗剤をいれてまたぐるぐる回す、人力洗濯機!

ぎゅーっと水を絞って、風魔法で宙に浮かせ乾かしていく。

自然乾燥が好ましいんだけどね…目を離すと何故だか汚れてるんだよね…。

乾いたらきっちり畳んでお仕舞い。

これをあと24×3枚のたらいをやらなければならないのである!憂鬱!


「ふー…あっつい…」


ノーデンは北に在れど夏は夏。

日が昇り始めれば気温も上がり、日も照る。

暑いのは苦手だから早々に終わらせたかったのだが、まだもう少しかかりそう。

額から垂れる汗を拭ったその時だった。


「おーいラングレー。」


「はい?」


名前を呼ばれた、けど回りに誰もいない。

えっ?


「こっちだラングレー。」


「閣下!中将!おはようございます。」


「うん、おはよう。」


私の頭の少し上から、閣下が飛行の術式を解除して降りてきた。

まって、降りてきたってまて、やだわたしめっちゃ汗かいてる!!!


「あん?ラングレーお前今日非番じゃねーの?」


「ひわっあの、はい、非番です。」


「なんで洗濯してんだ?」


やや草臥れた風の中将もこっちに降りてきた。

まってやだ私臭くない!?大丈夫!?


「はい!この洗濯が終了次第非番に入ります!」


「うん、成る程なぁ…舐められたものだな、なぁシス?」


「あぁ、ホント糞ほど腸が煮えくり返るってもんだ。」


「あ、はい、申し訳無いです、やっぱり臭いですよね私。」


今の私の格好は支給のズボンと着古したシャツ、対して閣下と中将は真っ黒の軍服を隙なく纏っていらっしゃる。

それに沢山汗をかいているから、多分臭う。

今の私は存在自体が不快の塊みたいな物だ。

やだ、こんなの閣下に嫌われる。

…嫌われる?え?好かれてもないのに?


「うん?ラングレーは臭くないぞ?現にほら…石鹸とラングレーの甘い匂いがする。」


俯く私の首筋に鼻を寄せ、閣下がすんっと、私を嗅ぐ。え、まって匂い嗅がれて、えっ?


「あ、あの閣下?」


「んー…いー香り…。石鹸は支給の?」


「えっ、あっはい。」


「うん、俺も同じ何だけど。ラングレーの体臭か?良い香りがするー…。俺の好きな匂いだ。」


「おいハルト、こんなところで盛るな。」


「うん、狼の本能だな。」


「ここぞとばかりに狼を出すな!」




耳元で、ゆったりと、低くそれでいて甘い声で囁くように、かっこいい人に匂い嗅がれて、正気保てるやついる?

私は無理だったね!


「きゅう。」

「ふふ、腰抜けたのかラングレー。」

「お前のせいだよラインハルト。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ