閣下、ロティ&ローストになります
事実か否か、と問われたら答は是だ。
あんだけ人の事をあーだこーだ言っていたのに、まぁよくもこんな馬鹿みたいなことしますねぇ?
「はい、そうですよ?何せ私、この半年でほぼ全ての部隊を回りましたからね!」
「ほーう…なるほどなぁ…。」
「うん、決まりだな?」
「決まりだろうな。」
処す?処す?
「あのー…大変申し訳無いのですが、この手錠を外して頂けないでしょうか…?」
「うん?手錠?あっ、すまん。」
カチャリと外れる手錠と、久方ぶりの解放感。
両手が動くって素晴らしい!!!
と、同時に鼻につく饐えた臭い。
「くんくん…閣下、もしや戦線から帰ってから休んでいらっしゃらない…?」
「うん、匂うよな?戦線は今は落ち着いているが、今度は書類が溜まってしまってな。俺とシス、2徹してる。」
「えぇ…?」
え?そんなに忙しいの?
だからジャガイモを生で食べちゃうの?
ダメでしょ…
「僭越ながら閣下。この書類、部隊ごとに整理整頓、をしておくので御入浴されてはいかがでしょうか?」
「うん、そうだな。よろしく、シス行くぞ。」
「は?流石に2等兵にこの書類の整理はやばっいでででで!こらハルト!首がしまる!」
「大丈夫です!見ませんから!」
「違う違う、そうじゃない、そうじゃないぞラングレー!?」
ずるずると襟首持たれて運ばれていった中将様に敬礼をし、早速取りかかる。
この書類達に使われているインクは、少々特殊。
書いた本人の魔力を、微量ながら混ぜ込むことで書き上げることが出来るようになるのだ。
偽装防止の為だよ。
文章自体の虚偽は防げないけどね、書いた人は解るようになってるんだよなーこれが!
魔力と言うのは人それぞれに特徴がある。
だから特殊インクの魔力を読み取れば良い。
「魔力検知。分類開始。」
バァサッと書類達が舞い上がる。
閣下と中将様の魔力が着いてるのはこっちー。
近距離はあっちー。虚偽っぽいのはここー。
遠距離はあそこー。支援はそこー。
わぁ多いなこれ、うわ、埋もれる!!!
部隊ごとに分類し、綺麗になった応接机に料理を並べていく。
学生時代に高級料理店でバイトしてたから、多分あってると思う、多分!!
「ラングレー!あがった!」
「こらハルト!髪を乾かせ!」
ちょうど並べ終わったころ、御二人が戻ってきた。
「閣下、髪は乾かしましょう?」
「うん、やってくれ。うん?ラングレー、頬が腫れている。」
「あ。いえ、はい、大丈夫です。」
あーヴィオレッタ嬢に全力平手打ち食らってたんだったわ。
今頃腫れてきたのか、ちょっといたい。
「誰にやられた?」
「あの?」
気付くと目の前に閣下がいた。
薄氷の瞳を痛ましく歪めて私を見ていた。
「痛いか?」
「え、あの、閣下?」
少し冷たい指先が私の頬をなぞる。
「うん、これでよし。もう痛くないな?」
そう言って、柔らかく微笑む閣下。
やばいやばい、閣下いい匂いするしかっこいいし、なにこれ、心臓いたい顔赤いしぬ
「ひゃい…。ほんじつは、ロティ&ローストにならます…」
「うん、うまそうだ。」
「あーーー冷えたシャンパンうまー。」
中将助けて…




