Ⅱ 運命の席替え
「一時間目、席替えだってさ。」
副委員長の八木正二が、教室に入るなり、言った。
「席替えかあ。」
ため息交じりに声が出る。
「おまえ、席がいやなのかよ。俺は、さっさとおまえのとなりからどきたい。」
夏が言った。夏は、俊也の隣りである。
「では、くじを引きにきてください。」
一時間目。
担任の宮田香織が言った。
先生の持つ紙袋から、番号の書いてある紙をとり、その番号の場所に座るというのが、宮田方式。
俊也は、出遅れて、一番最後になってしまった。
俊也の番が、回ってきた。
最後の一枚だというのにわざわざ紙袋に手を突っ込んでくじを引いた。
「27だ。」
つい、口に出してしまう俊也。
27の席は、いい席だ。
窓際の一番後ろで、校庭が見渡される。風がふきぬける涼しい場所だし、なんていったって、居眠りしてもばれないという特典付きだ。
誰もが、狙う席だったので、“残りものには福がある”というのは、本当らしい。
ガタ ガタガタ。
全員が一斉に机を並び変える。俊也も自分の席を移動した。
不運にも、夏は俊也の斜め前の席になった。
「またおまえかよー。」
俊也は、ニヤニヤしながら言った。
「おまえこそー。」
そう言いながら、結局嬉しいらしい。
「水澤俊也君だよね?。」
そう声をかけられ、隣りを見た。昨日屋上でみた女の子の声だ。
あれが、あの星夏実依なのか?。
「そうだけど・・・、星夏さん?。」
おれは、恐る恐る聞いた。
「うん。私は、星夏実依。一年間よろしくね。」
実依の花のような笑顔に俊也は一瞬惚れた。
「よ、よろしく・・・。」




