第2話 駆け込み、そして700年目の調査
知らないところでまた何かやらかしたの?!なんで王宮から招集がかかってるのよ!」
「いや、花火の件以外は知らない!」
歴史書には、四輪で走る乗り物や、多くの人を乗せ線路を走る乗り物が量産されていたという説明があった。
残念ながら歴史に名を残す天変地異により技術は失われ、王国に存在する「エンジン」は2つだけ。
そのため、当時は地下に持ち込むことができた移動手段は「徒歩」、「自転車」という選択肢のみ。
僕らは自転車を飛ばすのが苦手なため、徒歩で目的地へ向かうしかない。
王宮の場合、片道約三キロだった。だがら道は坂道ばかりで体力的にも時間的にもキツイ。
「あと3分で7時30分になるよ!兄さん間に合うの?」
「王宮に着けばいいんだから真っすぐの道を行くだけ!問題ない、と思う!」
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全力で王宮前の広場を走り抜け、どうにか門まで着いた。
門番に汗だくだくの顔でニコリと笑いかけると気の毒そうな目をされた。
こればかりは僕たちの責任ではないだろう。
取り敢えず到着はした。
あとは王に謁見するのみである。
上下する胸を抑え二人が肩で息をしていると、重役らしい着こなしをした太っちょな人物が出てきた。
「ふむ、汝が『紐帯ちゅうたいの嚮導者きょうどうしゃ』、ブレナ・クロードとその妹、セージ・クロードであるか?」
「はい、その通りです…この体たらくではありますが…」
「こちらの使者が遅れたのは誰の責任でもあるまい。今謁見の準備をする。しばしこちらで待たれよ」
案内してもらった応接間は広々としていた。
地中街の中でも最上級の材料を使った装飾がされている。
見事な色使いに目を奪われていると目の前の扉がガチャリと開いた。
太った重役がまた出てくるのか。早くしてくれ、と思ったが、
「この度はこのような形で会うこととなってしまう無礼を許してほしい。だが一刻を争うことであるが故にこのような事態になってしまったことは憂慮していただきたい」
なんと王様直々にやってきてしまった。
太った重役に案内してもらい王に謁見するものだと思いこんでいたからかなりの衝撃が襲う。
使者を送らせるのが遅い!とむくれていたがそんなことは瞬間で飛んでいってしまった
横を見るとセージも同じく身を固まらせていた。
王は年上だが、賢そうな蒼色の目をキラリと光らせながら、派手すぎない赤いマントを羽織っていた。
「そちらお二方で間違いないかな?」
「は、私がブレナ・クロード。こちらが妹のセージ・クロードと申します。陛下が直々に…」
「構わん、こちらから出向いたのだ。しかし重ねて願いたいことがあるからこそここに呼んだ」
「花火の件でしたら猛省しております、あれは私が古き慣習を再現したく…」
「その件は案じていない。警備や衛兵が注意すればよいことだからな。問題はそこではない」
良かった、花火の件ではない。
だが他には全く身に覚えがない。
「貴殿に任務ができた」
「と、言いますと…?」
「暦でみると、我々の先祖が地下に避難し暮らし始めてから今日で700年目ということだ。この真意がわかるか?」
「申し訳ありませんがまだ掴めておりません」
「貴殿は大変な読書家である、という噂を耳にした。なら読んだことはないか?
"創造主は地の荒れを嘆き、多くの災いをもたらした。そして愚かな我らを長きに渡り地下に閉じ込めた…"
ここまでは有名だが、続きを知るものは極僅かだ。
"創造主は慈悲深く、我らに機会を与えられた。地下で七つの百年を超えたものは再び地上の発展を目にするだろう"とな。」
そんな続きがあったとは。ていうかかなり宗教っぽい。
だが真意は見えた、僕を行かせたいのだ。
民をひっぱり、他国を繋ぐ、そんな2つ名を王は本気にしたのだほう。
だが、王はなぜ僕を選んだ?
地上に赴くなら地下でも冒険なれしていて、知識豊富な者のほうが良いのではないか?
そもそも自分は700年どころか50年も生きてはいないじゃないか。
「陛下、失礼なことを申しますが、私めは今年で27歳です。加えて、この王国にそのような年の者がいるのでしょうか?」
「無論、個人で700年ではない。貴殿の家名は地上に繁栄しているときからの名門ではないか?」
そういうことか。
頭が硬かった。確かにそんな長生きは王国にいない。
「王国に関わることであるなら、私がお受けします。ですが、急にいなくなっては住民が不審がるのではないでしょうか」
「その点は王宮でなんとかする。この任務がどれほど大切であるかというのは、地上にただ行くだけではない理由があるからな」
王は含みのある笑いをしながらそうおっしゃった――




