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第9話 迎えた2日目と次なるオーパーツ

朝、目が覚めると香ばしい料理の香りが漂っていた。

ルカシュが朝飯を作ってくれているらしい。


「やぁおはよう。昨日はよく眠れたかい?」

「ええ、寒くなるのではないかと心配しましたが杞憂だったようです」

「そいつぁ何よりだ!食と睡眠は人間から外せないからねぇ!君の分は今から作るから少し待っていてくれ」


「ありがとうございます。他の人たちは探索ですか?」

「そうさな、マテオとクレマンが水辺の調査をしている。ほかは各自行動かな。マテオ達とリーダー、ヨナ以外はまだ起きてないぞ。言っておくがヨナとリーダーは一緒だ」


水辺というのはオアシスの湧き水のことだろう。

降りていくと、クレマンの声が聞こえた。


「…ここの水質はいいものの、熱いせいで生き物はいなさそうですね」

「まぁ綺麗なだけありがたいさ。今まで見てきた水源の中では上々なほうだろうよ」


2人がこちらの気配に気づいたのか振り返る。


「おはようございます、ブレナ。顔色は良さそうですが元気ですか?」

「ありがとう、クレマン。そちらこそ疲れてはいないか?」

「久々の遠出ですから少々はね。今はマテオと水質の調査をしていました。中々に綺麗な水ですよ、濾《こ》せれば1級品の水です」

「なるほど良質な水か。…マテオもありがとうございます」


そう声をかけると、マテオはハエがうるさい時のような顔をした。


「なぁブレナ、知らない人に話しかける時に丁寧になるのはよくわかるよ。それにクレマンとは昔馴染らしいのは知ってる。だが、俺に対しては『警戒してます』っていうのがあまりにもバレバレじゃないか?」


「今は警戒というよりも挨拶のようなものだったのですが…」


「なら尚更さ。人と顔を突き合わせるならもっと好印象でいかないと、これからはな」


そういうとマテオは振り返りもせずキャンプ地に戻っていってしまった。


「なぁクレマン、私は何か手順を間違えたかい?」

「それは君の個性というか人付き合いが下手というか…おそらく君の感覚と彼の感覚が合わなかったのでしょう、これから改善できますよ」


安心して話せる奴からの助言はありがたいが、自分からでは分からないとなるとどうも対策できない。


「まぁブレナ、そろそろ料理もできあがる頃合いですし、私たちも戻りましょう」


▼ー▼ー▼ー▼ー▼ー▼ー▼ー▼ー▼ー▼ー▼ー▼ー▼ー


全員の食事が終わるとリーダーが立ち上がった。


「よし、では出発の前に報告だ。

先ほどヨナと一緒にエレヴニティスの解読を進めたのだが、新しい発見があった。

"塔" と記されていた横の空白に文字が浮き出てきたんだ。


"今も奇跡の広場に建ちし不完全なる垂直。傾斜を抱く白亜の塔は、個にして世界の理を拒みつづける" とね。


この詩らしき言葉が何を意味するか考えてみたのだが、ある結論に至った。

ブレナは、これが何のことを指していると思う?」


名指しされ皆がこちらを向く。


「…推測に過ぎないのですが、よろしいでしょうか?」

「もちろん。僕らの考えとはとは別に、君の解釈を知りたい」

「兄さんはもう察しがついてるの?私には何言っているのか全然…」


セージの理解力があったとしても地上の知識がなければこれは解けないだろう。

まるで知る人しかクリアできないクイズのようだ。


最初に、白い塔という特徴からエジプトの『オベリスク』の存在を疑おう。

既に地上時代では歴史の形を遺すものとして保存されていたが、神秘を秘め続けている存在に変わりはない。


2つ目は同じくエジプトの『アレクサンドリアの大灯台』だ。

それこそ『白亜』の大理石ブロックを積み上げられた塔だ。


3つ目はカスバの『ミナレット』。

ある宗教の信仰が盛んな地域で要塞の監視塔などの役割をしていたらしい。


だが文章の所々で引っかかる。

『オベリスク』も『ミナレット』も多数ある存在だ。

文には『個にして』とあった。

そうするとこの2つだけではなく、複数存在するものは全て除外される。


そして『現存する』ということ。

そうすると『大灯台』等跡地になっているのも候補から外れる。


こうなると自分が知る限り答えは1つに絞られる。


そして倒れない、ということは風雨にさらされても倒れない頑丈さなのか、安定しているから倒れない技術によるのかということに別れる。


が、この場合は「安定してはいないが倒れない」と見るのが妥当だろう。自信たっぷりな考えではないが。


過去にここは海だった。そしてアフリカ大陸を挟んだ向かい側で1番近いのはヨーロッパ州のイタリアだ。


イタリアの『傾きを維持したまま倒れない塔』、それが次のオーパーツとなるのか。


「―――ピサの斜塔、ですね?」




なんだか思うように筆が進まない…

旅の途中の話とかは番外編的な感じでそのうち書いてみますが、今のところは事細かに書く余裕はなさそうです。

ということで次回ピサの斜塔にたどり着くわけですが、一悶着起こします。私が。


ここまで読んでくださった方、感謝申し上げます!

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