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異世界ケータリング!~姉の聖女召喚に巻き込まれた私の案外充実した日々~  作者: 芽生 1/15『裏庭のドア』3巻・コミックス2巻発売!


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 王都の噂と不思議なチラシ

また再開しました!

お楽しみいただけるよう、頑張ります!


 この国スラフェスの王都は夜も賑やかさを失わない。

 冒険者や兵士達は酒場へと繰り出し、酒と食事、そして会話に花を咲かせる。

 そんな酒場で今話題になるのは、聖女玲奈の話だ。


「ってことはあれだろ? 聖女様がいらっしゃるんだから災害は起こらねぇんだよな? 平和になったもんだな」


 呑気な言葉にエールを飲んでいる男が呆れた表情を浮かべる。


「バカ、それは天災に限った話だろ! このあいだみてぇに、魔術師達が飛行船を落っことしちまえば大問題だ。人災っていうのは防げねぇんだよ」

「なんだ。じゃあ、聖女様も大したことねぇな」

「何言ってるんだ。畑仕事にしろ、俺らの仕事にしろ、天候に左右されるんだぞ? この不安がなくなるって言うんだ。聖女様が豊穣の象徴とされる理由よ」


 聖女玲奈の召喚、そして魔術師達の飛行船墜落事故は最近の話題の一つだ。

 聖女召喚に成功した魔術師達のその後の暴走は、ある種の教訓として王都にも広がっている。後世に残る成功と失墜の象徴として語り継がれることだろう。


「でもよ、そんな聖女様を他国が知ったらどうなんだ? 他の国だって聖女様にいらしてほしいだろ?」

「聖女様は他国にも足を運ばれるそうだ。聖女様を独り占めしていると批難されないため、外交の手腕が試されるところよ」

「なに訳知り顔で話をしてるんだい? 新聞の受け入りじゃないか」


 ドンとエールを置いた女将の言葉に、一際大きな笑い声が上がる。

 聖女の話題は酒場だけではなく、新聞でも持ちきりなのだ。

 もう一つ、聖女の話題に付属する形でほんの少しだけ取り上げられたものがある。


「そういや、異世界ケータリングってのがあるらしいじゃねぇか。聖女様公認のやつだよ」

「俺はそのチラシを持ってるぞ。ほら、これだ!」


 そう言って男は一枚のチラシをテーブルの上に置く。


「あぁ? なんだこりゃ、眉唾もんだな」

「おい! 聖女様に失礼だろ」

「だってよ、願うだけで来てくれるなんてありえねぇだろ?」

「まあな……」


 チラシには異世界ケータリングは願うことで訪れると書かれているのだ。

 聖女公認とはいえ、容易に信じられる話ではない。


「食べたいもんならあるぞ。今ここで俺が願ってみるか?」

「やめとけ、やめとけ! どうせ叶いっこないんだ」


 またドッと笑い声が起きるテーブルから、チラシはひらりと落ちてしまう。

 男達の会話は他の話題に移り、もうチラシを気にかけることはない。

 そんなチラシを酒場で働く娘が拾い、真剣な眼差しで見つめるとポケットにしまいこむ。

 王都で見かけるようになった不思議なチラシは異世界ケータリングのもの。

 けれど、多くの者がそれを聖女の威光を高める一環だと信じてはいない。


 だが、強い願いは時に奇跡を起こすことがある。

 ローズピンクのケータリングカーと共に賑やかで風変わりな人々が訪れる。

 そんな奇妙で幸福な奇跡を呼びよせるのだ。

 

 

次の更新は金曜日です。

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