058. 俺らと、初めて見る地元(?)
世間は「海の日」ですが、こちらは山へ行く話です
ご査収ください m(_ _)m
◇
ジンジュです。根の国からこんにちは〜。
今日は友達らと、首都:フナイ市の東へ行ってみま〜す。
「……森人、小鬼、鼠、兎2羽、スライム6匹。ヨシ!」
「「言い方よ……」」
「ふす……」
友達兼まとめ役の狼獣人による、雑い点呼が終わったとこで。
まずは中心部「フダノ辻」から、「トウ街道」て大通りを東へ進んどる。
……て言うても、ここは城下町。東へ向かう街道が、一旦北に曲がったりする。
「もしもの時、敵を素通りさせてはイカン!」
て理由で、そないなっとるらしい。
ほな仕方ないか〜、不便やけど……
んで、今まさにそこ通りよる。
次の交差点で、トウ街道はまた曲がる。東へ進んで、「ミヤグチ外門」て門に着く。
けど俺らは、このまんま北へ向かう。この先の別の交差点を曲がって、「ユノヤマ道」て街道に進みたい。
ここまでで20分弱。目的の「ショー山」までは、もう1時間ぐらいかかるそうで。
……まあ、歩いたらそんなもんか。土手上がって、大きい川渡らなアカンしな〜。
「自転車欲しいな〜」
「なー、あったらすぐやのに」
「仕方ない、ない物はない」
電気ギターならぬ魔導ギターがあって、自転車とか鉄砲とかはない世界……よぉ分からんよな〜、このゲーム。
ちなみに乗合自動車ならぬ乗合馬車ならある。速い。
けど運賃高いらしい。しかも揺れるわ跳ねるわで、乗り物酔い不可避なんやとか。
俺ら向けやないな。頑張って歩こ〜。
◇
検問済ませて門出たら、すぐお堀を渡る橋。その名も「ササノ門橋」。
ほんで、ちょっと斜め左に曲がって、東へ向かうユノヤマ道。じわじわ上り坂になってきて、上がりきったら土手の上や。
「あれー? 橋片方しかないぞ」
「「お? ホンマや」」
俺らが知っとる道は、ここでY字路みたいに左右に分かれる。その両方が橋渡って、川の向こうへ……やねんけど。
左の道しかないな、ここ。へぇ~……
俺ら普段、右の道使とるからな。なんか寂しいな〜……
あと、ふと川覗いたら。河川敷に等間隔に並ぶ、多様な雌雄が。
なお、小鬼、小鬼、トロール、猫、小鬼、小鬼、犬、トロール、アイガモ、小鬼……みたいな感じ。
「ALL 人外!」
「おい、ここ◯川違うやろー」
「何これ〜? 何この、ちょくちょく挟まる◯都ネタ……」
フナイ市、俺らの地元か? て思わせといて、妙に京◯ネタが挟まっとる気がする。
バタバタしとるから、ツッコまんと黙っとたけど。
フダノ辻のストリートミュージシャンさんが、あれ「ケーナ」言うんやっけ? とにかくどっか海外の笛吹いとったり。
街道沿いの路地覗いたら、「いけず石」っぽい石が立っとったり。
あと、やたら和菓子屋さんとパン屋さんが多かった気もする。
せやせや。「赤地に黄色い字」みたいな、ド派手な看板も見た覚えないし。
脂っ濃そうなラーメン屋さんと、「精進料理」て書いた看板、どっちも複数見かけたし。
街の人らも、「〜してはる」て言うとったよな〜。「〜しとってや」やなかった。
地元の人、気分悪かったらごめんなさい。
でも俺、◯都しか知らんねん。そんなクセ強い街……
あとこれで、交差点のド真ん中に炬燵置いてあったりしたら、俺爆笑すると思う。
その前にまず、某国立大学があるんかな? やけどな〜。
……俺らの地元に、国立大学? ないで、そんなん。
理由 ??
……◯戸に奪られた! 神◯に奪られたッ !! バカ〜ッ !!!
◇
川渡って、土手下りて。砂っぽい道を歩く。
目の前はだだっ広〜い田園地帯や。もうちょっとで花咲くかな〜……てぐらいに伸びた稲の中に、木造の集落がぽつぽつある。
集落ん中に、白い壁の蔵がちょいちょい混ざっとる。
その換気用の穴が人の顔っぽく見える。可愛い。
そんな集落なり田んぼなりの間を縫うみたいに、用水路が張り巡らされとって。
木造の水車とか、小っちゃい堰なんかも見える。
……現実の自宅周辺とは違うけど、例えば
「あぁ、200年前やったらこんな感じなんかな〜」
て、充分想像つく景色しとる。
んで、左手に山。右手ちょい奥と、前方まあまあ奥も山。
見慣れた地形や。
そんな所を雀や燕なんかが飛び交い。
そしてトンボが、蛙1匹抱えて飛んでいく。
「はー落ち着k……ちょお待てぇ! トンボがデカすぎる !! 」
「喧しぞ野球部」
「こっちには来ぇへんな、ならええんやけど〜……」
その日、人類は思い出した。
トンボは一応肉食昆虫なのだ、と。
「……おーい、なんか声に出とぉぞー」
「お前今人外種族やろ。人類側なだけで」
「あっホンマや〜」
ツッコミありがとう。
ほんで、自覚のない独り言が増えとる。良くない傾向だぁ……。
◇
フダノ辻から歩いて、1時間10分ぐらい。目的の「ショー山」を登っとる。
キツくはないけど、舗装もくそもない山道を。
ここまで虫とか鳥とか見たけど、特に戦わんと済んどる。
途中で退屈したボーゼが、その辺飛んどった烏を襲って狩りよったぐらいには。
「生肉うま」
「「腹壊すぞー……」」
真似をしてはいけない。
んで。俺らのちょっと前を、1匹の虫が飛びよる。
細長うて金属光沢ある虫が、な。
2mぐらい飛んでは降りて、チラチラこっち見て。また2mぐらい飛んでは降りて……を繰り返しとる。
「変な奴やのぉ、ハゲタコぉ」
「おー、道案内してくれとんかー?」
「安心してくださ〜い、逃げてるだけですよ〜」
「「逃げ方が下手 !! 」」
この虫、たしか「ハンミョウ」やったか。俺の記憶が合うとったら……いや知らんけど。
実物見たことないし、「地元におる」とか聞いたこともない。
ただ図鑑で見て、
「綺麗やな〜」
て思たから覚えとる。それだけ。
「アイツは小っちゃい虫食う奴やからな〜。俺ら見て、『なんやよぉ知らん、デカいのがついてくる……怖ぁ……』ぐらいにしか思てないで」
「そうなん?」
「知らんけどな〜」
「「知らんのかーい」」
虫の気持ちとか知らんわ〜。私人間ですねん。
それより1個気になるんは……
「で〜、アイツ【鑑定】して大丈夫やと思う?」
「安定の……まぁいけるやろー、小っちゃいし」
「せやな。最悪【火の魔球】で一発や」
「……もしかして、大きさとHPて関係ある感じ?」
「ある程度はな」
……とか何とか言うとるうちに。
「【鑑定】ー?」
「ピキャア !? 」
「アッしもた、逃げられたか!」
ウチの末っ子スライムこと「こなつ」さんが【鑑定】かましとった。
ハンミョウくん(仮称)は驚いたんか、道から逸れて茂みに飛び込んだ。
「きゅおきゅお……きゅきゅお !! 」
「きゅうきゅう……」
しかも【鑑定】自体、失敗したっぽい。
青紫色のスライムが、露骨に落ち込んどるんが見える。「何の成果も、得られませんでした」とでも言わんばかりに。
あと、そんな彼女を撫でる姉代わりのスライムも。
それでも俺らは、容赦なく進む。ここゴール違うからな〜?
◇
フダノ辻から、1時間半ちょっと歩いた。
現世諸賢、お待たせしました。山頂で〜す。
「はーええ天気! ええ景色 !! お前らもそう思わん?」
「声デカいぞ野球部ぅ ?? 」
「お前のせいで台無しやぞ〜、野球部〜 ??? 」
「やから当たり強いてー……」
安心してください、全員半笑いです。
んで実際、ええ眺めやし。麓の鬼族が塵のy……いややめとこ。
夏らしく白っぽい青空に、絵に描いたみたいな綿雲が点在しとる。蒸し暑くさえなければ気持ちええ晴れ空や。
フナイ市の街並みから麓の田園風景、その周りの山並みまで、よぉ〜見えとる。
知らんけど馴染みのある景色や。
「よぉこれを、VRMMOで再現しよ思たな、ここの運営は」
「ホンマやなー、変態かな?」
「オイやめとけ」
友達2人がそんな話しとる横で、俺は別のことが気になりだした。
「ユノヤマ街道」、現実に元ネタがあって。
その元ネタの道、ちょくちょく車で通るねん。祖父ちゃん家行く時とかにな。
んで、ここからその道もうちょい行った所に、神社が1個あるんよな。
結構な急斜面に石段つけて、その上に建っとる小っちゃい神社が、な。
ほんで。それっぽい神社が、ここから東に見えとる。
マジか……そんな所まで再現しとんか。
ホンマに変態なんか? ここの運営は……
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
次回更新は8/1(土)頃、掲示板回の予定です。お待たせしました〜!
本編は8/8(土)頃更新を予定しております。よろしくお願いします〜。
???「これがー、首都の風格……ですよ!」
???「◯京ガン無視で草」
???「東◯都〜?」
???「「◯科の話違うねん」」
【追記】一部加筆しました
(2026/07/20)




