057. 俺らと、イース市の変化
前回の予告と違う内容でお送りします
山へ入るところまで行けず…… m(_ _)m
……クソッ、邪魔が入りやがった!
◇
一旦ログアウトして。昼飯食うとかしてから再ログイン。
……というわけでジンジュです。珍しく、友達2人の近くに転移しました。
「よ〜お前ら、先度振りやのぉ」
「「爺か!」」
夏場の昼下がりにぴったりの、気持ちええツッコミや。
んで。ウチの地元のお年寄りは、「久しぶりだな!」をこう言います。そこまで言うほど日数経ってない、てネタでもある。
覚えてね、どこの試験にも出ないけど。
さておき、通知とか特になく。足元にはウチの兎やスライムらも揃とる。
「んで〜、今日は何するん?」
「一瞬イース行くぞ」
「……はい?」
あの、ボォーゼくぅぅぅぅぅぅン?
「お前昨日『当分、地上戻るほうが面倒くさなりそう』とか言うてなかった ?? 」
「事情変わってん。 ……まずお前、この期に及んでまだ調合キット買うてないやろ! おら疾っとと行くど」
「アッはい」
早速お供えを用意しつつ、ボーゼは付け足す。
「あと、いつぞやの狼けしかけてった女子どもが『今日謝罪したい』とか言うてってな。今朝方急に」
「今朝ぁ !? ホンマ急やな〜」
「一応某SNSでも言うてんけど、お前通知切っとぉやん?」
「あ〜、毎度すまん。昨夜は見てんけどな〜……」
アイドルとか野菜とか、夜中に訳分からん雑談の通知で起こされたことが、何回かあって。
……うっせぇわ間抜け野郎ども! 空気の前に時計読まんかい !!
以来通知切っとる。グループ某SNSて面倒くさいよな〜。
さておき、あの女の子らか〜……関わりたないな〜!
背後に何憑いとぉか分からんし。
でもな〜。ええ歳こいて「ごめん」の一言すら寄越さへん、たぶんPKerな皆さんに比べたら、な〜。
あ〜アカン、思い出したら腹立ってきた。
誰の隠れ家見つけて、爆破したろっかな〜……?
ま、私怨は置いといて。
「『ごめん』で済んだら警察要らんわ!」
とか言うけどさ。
なるほど。警察とか弁護士とか、現実からなくならへんわけや……!
でもって、俺らのほうが歳上やし。
真摯な対応、返したなるよな〜!
◇
《「アインツ公国」東部の「イース市・中公園」に転移しました》
数日ぶりの東の街は、スライムまみれでした。
……増えてる!
まぁ、お隣:始まりの街ん時に比べたら、まだまだ数は少ないけど。
その分彩り豊かで、1匹1匹が大きなっとる気がする。どっかで進化したんやろな〜、ウチの子らみたいに。
んで。ここでスライム連れとっても、そんな目立たんわな。
ボーゼの
「事情変わってん」
て、これも踏まえた話なんかな?
◇
イース市の都心:中公園から西へ、10分弱歩いて。目的の薬局に着いた。
相っ変わらず、薬局て分かりにくい。
「おってやおってや。 ……こんちはー!」
「うるせぇな!」
ガタつく引き戸開けながら、えすとが元気よくご挨拶。それに苦笑い返しとる店主さんとの、温度差よ……
とりあえず、俺らも挨拶しとこか。
「「こんちは〜」」
「おう、今日は何だい?」
「〈調合〉の初級キットてあります? コイツが始めるらしいんでー」
「お〜い、他人指差すなや」
一応、小声でえすとにツッコんどく。たぶん意味ないけど。
これでやめるんやったら、そもそもやってないやろ?
「これか? 300マニな」
「げ。足らん……」
店主さん、中身の詰まった半透明の箱を見せてきた。
ほんでど~も、所持金見ずに来たアホです。でも200マニ台やったんは覚えとる。
……うん、228マニや。足らん!
冒険者組合の口座から、なんぼか下ろさな、な〜……。
「……後払いでもいいぜ?」
「それやると忘れそうなんで。取り置きお願いできますか?」
「あいよー」
店主さんの返事貰たとこで、牛柄の兎とツヤツヤスライムにも、1個聞く。
「走るけど、来る?」
「ふす……」
「きゅいきゅい……」
両者拒否。でしょうね。
ほな、店主さんにもう1個……
「……この子ら、ここで待たせても大丈夫ですか?」
「てやんでぇ、細けぇ事ぁいいよ! ちゃちゃっと行ってやんねぇ」
「ありがとうございます! すぐ戻ります !! 」
◇
一礼して、薬局出て。
冒険者組合イース出張所まで走った。ボーゼとえすともすぐ追いついてきた。
列並んで順番待ち。そこでついでに、思うとこがあった。
えすとが声潜めて言う。
「根の国の組合でも口座作れたよなー? ほなあっちにも分けて預けといたほうが、後々楽なんちゃう……?」
「「ホンマやな」」
今みたいに、いちいち取りに行かんでええし。もしもの時のリスク分散にもなる。
……てわけで。預けとった1000マニから、半分の500マニ下ろしてった。
2人も金下ろしよったから、ちょっと時間食うてもたな……。
《所持金残高:728マニ》
◇
「おいボーゼ! 『地下墓地のボス』って何だ説明s……」
「また今度なぁ !! 今忙しねんッ !!! 」
薬局戻る途中、ボーゼが気の毒やった。通りすがりの異人さんらから、10回ぐらい同し事訊かれとった。
「構わへん、いつもの事や」
「定着さすな、そんなもん……」
とか何とか言いながら、薬局ん中に入る。
「すんませんお待たせしました! お代です !! 」
「1, 2, 300マニ……たしかに。あとこれ、おまけな」
「あ~、ありがとうございます〜」
調合キットの箱に紙袋1つつけて、店主さんがこっちに渡してきた。
ほんで通知来た。
《「初級調合キット一式」および「初級回復草」1束を入手しました》
《所持金残高:428マニ》
「お前ら何かあるか?」
「今日は大丈夫です。ほなまた来ます」
「おう、気ぃつけろぃ」
「「「ありがとうございましたー!」」」
んで、店出てから気ぃついてんけど。兎らスライムらが何か食うとる。
「……あ、飴貰たんか〜」
「ふすふす」
「美味い?」
「きゅい!」
「ちゃ〜んとお礼言うた?」
「ふんす!」
「きゅいきゅい!」
「さよか。偉いな〜お前ら、よしよし……」
ホンマにありがとうございます〜!
◇
ほな次は、狼けしかけてきた子らか。
薬局から5分ほど、南東へ歩いて。目的の店らしい建物に入った。
その名も“カフェ コーヒー”やて!
「……不安や。甚だぼんやりとした不安〜」
「「ボケんなボケんな」」
嫌な予感する。
あの件の謝罪て、普通に考えたらもっとこう、人の少ないお店とか、個室のあるお店とかでする話やと、俺は思うねん。
「……じゃっあ〜、カラメル緑茶フラペチーノのぉ、ライトでぇ」
こんな注文聞こえてくる、大通り沿いの開放的な店でするもんやない……て思うんやけど。
それでもここ選ぶ理由として、考えられる向こうの人物像は2つ。
1つは、このご時世に「プライバシー」て概念がない人。
飯やら服やら、何でもかんでも世界にばら撒かな気ぃ済まんヤツ、おるよな? ああいう人な。
心配せんでも誰も見てねぇよ、間抜け野郎!
もう1つは、誰かを公開処刑しようとしとる人。
俺らか向こうか、誰狙とるんか知らんけど。揚げ足取ったり「過去の所業」を暴露したりして、貶めようとしとるヤツや。
こん中でも特にヤバいんは、「貶せるなら誰でもいい」とか思とる人やろな。人殺しと一緒で、無差別が一番タチ悪い。
どっちみち碌でもない。関わりたくない相手やわ。
はぁ〜、怠ぅ……
「ギリギリなってもたな……すんませぇん、注文お願いします!」
「はーい!」
ボーゼがボヤいてから、カウンターの店員さんに声かけよる。
「ご注文お伺いします」
「アイスティーフラペチーノのヘビー1つ」
……アッしもた、呪文知ら〜ん! こんな日来るとは思てなかった……
仕方ないな、普通に聞こ。
「ご注文お伺いしまーす」
「すんません、冷たい抹茶ラテてあります?」
「アイス抹茶フラペチーノですね。大きさは?」
「一番小さいので」
「軽量ですねー。トッピングは?」
「なしでお願いします」
「畏まりましたー」
何とかなったわ。ありがたや〜!
……いやいや、今それそんなに問題やないよな。それより先方は〜……?
なんかしれっと 知゛ら゛ん゛女゛の゛人゛と゛お゛る゛ぅ゛〜゛!!?
誰やろ? 親御さんか…… ??
◇
《所持金残高:422マニ》
貰う物貰て。払う物払て。
先方の待っとる8人席へ。
「「「失礼します!」」」
「どうぞ。お掛けください」
席着いて、挨拶もそこそこに。向こうの女の人が喋りだした。
「異人ギルド『あらた四季村』の代表代行をさせていただいております、『ウリン』と申します。
本来、代表か副代表がご挨拶に伺うべきところ、多忙につきこのような形になってしまい、誠に申し訳ありません」
長口上よりも友達2人の反応を気にしてました。こちらこそ申し訳ございません。
何せギルド名聞いた一瞬、2人ともえらい顔しとったからな。微表情てやつ。
よっぽどヤバい人ららしい。
あと、多様な疑問が。
これ代表出てこなアカンほどの大事かなぁ? とか。副代表と代表代行て、どっちのが偉いんやろ? とか。
……まぁ、とりあえず。狼らが元気そうで何より。
いや、元々毛並みはよかってん。よぉ〜お手入れしとってんやろな〜。
ブラッシングの仕方とか、むしろ俺が教わるべきことも多そうや。
でも反面、狼らが飼い主2人に怯えて、ちょっと距離取っとるようにも見えたんよな。平気で大声出したりしとったからかな〜?
それが今日は、めっちゃ距離近い。怯えるどころか懐いとる、そらもうベッタベタにな。
よかった。何よりやで〜。
「ふふっ……ちょっ、やめて。くすぐったいよ、バルザック〜」
んいや ご っ つ い 名 前 !
え、昔の海外作家さんやんな? 名前厳つ〜……
◇
「本日は誠にありがとうございました」
「いえいえ。そちらこそ気ぃつけて」
俺らそれぞれの不安やら警戒やらをよそに、話し合いは何事もなく終わった。
……いや、細かいのはあったか。土下座されそうになって、慌てて止めたりとかな。
まぁでも、「何でもかんでも世界にばら撒かな気ぃ済まん」とか、「揚げ足取ったり『過去の所業』を暴露したりして、貶めようとしとる」とか、そんなことなかったわ。
誰や〜、そんな邪推したヤツ〜?
い や 俺゛ぇ゛! すいませんでした〜 !!
「……よし、間に合うた」
「え? 何が ?? 」
「おうお前ら、フダノ辻戻るど!」
「は~い」
ボーゼの呟きに反応するえすとと、それを無視するボーゼ。
ほなまた、お供え用意して。
《「根の国」南部の「フナイ市・フダノ辻」に転移しました》
「根の国商工組合本部」で、口座作ってもろて。入金して。
《所持金残高:122マニ》
「ッシャア! これで当分地上行かんでええな。ほな食らえ、情報爆弾ッ!」
ボーゼが妙なこと言うた次の瞬間、また通知が。
『異人「ボーゼ」率いるPT「お城と……横顔新◯線やー!」が、異人で初めて「根の国」に到達しました』
「……はい〜? 何で今それ来るん ??? 」
「最大24時間保留できるからな。はぁ危な、ギリ5分前やったわ」
「そこまで“5分前行動”気にせんでええやろー……」
まぁ、そんなんどうでもええか。それより……
「んで〜? この後何すんのん ?? もう解散 ??? 」
「早い早い、あっちの山登るど」
そない言うて、ボーゼが東やや北寄りを指差す。現実やと、俺らの家の方角や。
川向こうなんが面倒くさいけど。
たしかに気になる。どないなっとんやろ〜?
「「了解」」
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
次回更新は7/20(月)頃の予定です。ジンジュくん、今度こそ根の国の山へ……?
【追記】一部加筆/修正しました
(2026/07/07)




