056. 俺らと、初めての調合……いやまだかい!
作中8日目、土曜日です。
そして今回も短めです、よろしくお願いします。
あと念のため……
(Side:ジンジュ)
ジンジュです。こんにちは〜。
いや、まだ午前中やけど。今日の宿題さっさと終わったし、ちょ〜っと気になることあってな。
ほなまた、地下の国から始めま〜す。
《従者「はっさく」の〈擬態〉がLv.4になりました》
『【重要なお知らせ】「第2回公式イベント:山籠もり、大好き! 開催のご案内」が公開されました。すぐに確認しますか?』
《従者「とがの」の〈引っ掻き〉がLv.5になりました。技【往復ビンタ】を取得》
いや〜、今日も平和平w……何その技? 「引っ掻き」て何やっけ……(哲学)
あと、公式イベントやて〜。
……いや山籠もりィ !? な、何さす気ぃや俺らに !??
説明見よう……
―――――
異人の皆さまへ
『FANTASIA OF FREEDOM:Online』運営です。平素は弊ゲームをプレイしていただき、誠にありがとうございます。
つきましては、来週開催を予定しておりますゲーム内大規模イベントについて、再度ご案内いたします。
お誘い合わせの上、奮ってご参加ください。
*** 山籠もり、大好き! ***
〜山に1つだけ、あなたは何を持っていく?〜
未知の山地で、二泊三日のサバイバル !!
異人同士、協力しながら生き残ろう!
記
1.イベント名称 第2回公式イベント「山籠もり、大好き!」
2.開催期間 令和3X年8月XX日(火/祝) 12:00〜16:00
※開場:11:00
閉場:17:00
3.集合場所 アインツ市・南大門外の臨時ポータル前
※大変な混雑が予想されますので、当日11:30頃を目安にお越しください
4.備考 エントリー受付中!(任意)
また、持ち込めるアイテムや開催中の再ログイン回数などに制限がございます
↓↓詳細はこちらから!↓↓
https://**********……
以上
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……あ〜なるほど、サバイバルか。
よかった〜。お坊さんみたいな修行させられたらどないしよかと……
あ、
「解行双修の機運 !? ゲームで ??? 」
とか言うといたらええんか?
知らんけど〜。
◇
ん~……細かいことは昼から友達2人に聞くか。
俺は先に行く、眠いのさ。
てわけで、まずは「根の国商工組合本部」へ……今日は並んどるな〜。
順番待ちしながら、色々確認。
……ボーゼもログインしとるんか〜。えすとはまだやな。
んで、1羽と1匹は仲良く街の外。
……から、大慌てでこっち来よる。風は西から、彼らも西から、な。
「いや……無理すなよ〜」
来てほしかったら呼ぶから。「あそこ集合な〜」て。
んで、彼らの動き。スライムにしては速すぎるし、兎の全力にしてはちょい遅い。
やから多分、
「引き摺られとるスライムと、その触手咥えて走っとる兎」
ていう、ファンタジーでもなかなか見れん絵面になっとる疑惑が……
何 そ れ 気 に な る 。
めっちゃ見たいんやけど。誰がV撮って上げてくれてへんかな〜……?
「次の方、どうぞー」
「はい」
あぁ、順番来たわ〜。ほなまた後で……
◇
受付の人、昨日のおばちゃん方やない。若い女の人や。
しかも背ぇ高い。ゴブリンやのうて、ほぼ人間みたいな姿しとってや。
たぶん、初めて見る種族の人。
肌が緑色で、おでこの両脇に角生えとるから、辛うじて
「あぁ、同し鬼族か〜……」
て分かるレベル。
まぁ、そんなん置いといて。
や〜っと本題や。
「すんません、『調合室使える』て聞いたんですけど。まだ空いてます?」
「おー……1部屋だけ空いてます。危なかったね」
「ホンマですか、ありがとうございます!」
早速手続きして、軽〜く説明受けて。
ほな行こか、調合室!
まず組合出て、トウ街道を東へ……進む前にPT通話開けて。
とがのとはっさくに連絡。
「聞こえる〜?」
「きゅい !? 」
「ふすふす」
「落ち着け、ゆっくりでええからな。無理したアカンで〜?」
『きゅい !? きゅいきゅきゅきゅい !!? 』
「へい、無事です。ご心配おかけしました。ほなまた」
『ふす……』
……よぉ〜考えたら。何で俺、兎やスライムと会話成立しとんねやろな?
スライムは何言うとんか、さっぱり分からん。兎はそもそも何も言いよらん。
けど、何言いたいんか? は何となく分かるんよな〜……。
「いや、気のせいやろ」
で済ますには具体的すぎる……てぐらいには。
◇
40分弱ぐらい、街を歩いた。もう街なかやない、街の端歩いとる。
この辺はもう、お店もクソもないな。木造家屋が密集する宅地、て感じや。
んでここ、街の南東側やから。街と草原を区切っとる城壁の向こうに、俺の名前の元ネタっぽい山が見えとる。ドモドモ〜。
それと、場違い感半端ない建物も見えてきた。石垣の上に直で屋根載せたように見えるやつが、な〜。
目的地あれね。根の国商工組合が貸し出しとる生産施設、てワケ。
「いや、本部から遠すぎだろ。何でこんな所に?」
て思たやろ?
お上の命令でそないなっとるんやて。
昨日街なかで見た、
「府中偃武之事」
てやつ。アレに書いてあるらしい。
「爆発が起きそうな施設は街なかに造るな!」
とかってな。
……いや読めんわ! もっと読みやすい字で書かんかい !!
◇
生産施設ん中入って、すぐ受付。また知らんおばちゃんやな〜。
「すんません、先ほど予約さしてもろた……」
「ジンジュさんですね。404号室です、どうぞ」
「……アザーッス」
早ぁい。もう鍵が手元に……404号室ですね〜、はぁ〜〜い。
“Not Found”とか言わんといてよ〜……?
あ、あとアレ言うとかな。
「あの〜、もし後で“スライム引き摺った兎”が来たら、僕を呼んでもらえますか?」
「構いませんが……どんな状況ですか? それ……」
「見てもらえれば分かるかと……」
「左様で……」
そうとしか言えん。何も言えねぇ……
◇
404号室、入ります。扉開けて、
「お邪魔しまんny……」
「ウィィィーン」
自゛動゛扉゛て゛し゛た゛。
……ネタはさておき。中にもう1個、扉がありまして。
今入ってきたほうの扉が閉まった途端、狭〜い部屋の床が光って、どこからともなく風が……
「ウ゛ォ゛ア゛ア゛ダメージ受けとる !? 風魔法かこれ !! 」
たぶんこれ、エアシャワーてやつやねんけど。服についたゴミとか吹っ飛ばすやつな。
それでダメージ食らうとか……嫌やな〜。
あ゛? 誰がゴミじゃボケぇ……
とりあえず、10秒ぐらいで風止んで。次の扉に鍵差したら開いたんで〜。
「【火の癒し】……」
ちょっと回復してから、奥の部屋へ。
「お邪魔しまんにゃわ……」
なんかこう、実験器具とかよぉ分からん機械とか本とか、色々ある。並んどる。
あとデッカい流しと、コンロが2つずつ。
ヘムヘム……配置覚えとこ。
ちなみにコンロの燃料は……
「液化石油ガスぅ !? 」
ぅおい! どこで石油出とんねんこの世界 !!?
◇
さて。ほな作業始めよか……て思てから気ぃついた。
初 級 調 合 キ ッ ト 、 ま だ 買 う て な 〜 い 。
いや早よ買え……。
……というわけで。今日はキット使わんでも作れる物するか。
持ち込みで使うんは「アインツの清水」「純水草」、それと「初めての短刀」の3つ。あとは備品、お借りしま〜す。
んで、〈調合〉スキルの基礎中の基礎、「純水」を作りやす。
作り方は簡単。純水草を刻んで、茹でて濾すだけ。
するとあら不思議。水やのに、飲んだらめちゃくちゃ喉渇く「純水」の出来上がり〜!
なるほど。これが……剣と魔法の異世界クオリティーかッ !!
……いや、飲んだことないけど。絶対飲んだらアカンで〜。
ほんでこの「純水」に、他の薬草とか入れて作るんが、この世界の薬らしい。
たとえば「サルマタタビ」の葉ぁぶち込んで、茹で汁濾して乾燥させたら、ハイな気分になれる粉薬が……
マ ジ で 大 丈 夫 な ん か そ れ 。
……ん !? 呼び鈴鳴った。こんな時間に誰やろ(殴
「ジンジュさーん。ホンマにスライム引き摺った兎さんがお見えになりましたよ……」
「ふんす!」
「きゅい〜……」
「あ~、ありがとうございます〜!」
呼び鈴とか受付の人の声とか、2枚扉の向こうとは思えんぐらいはっきり聞こえる。一体どんな仕掛けが……?
いや、それより迎えに行こ。んでガツンと言うとこ。
「ホンマありがとうございます!」
「いえいえ。ではごゆっくり……」
受付の人が戻るん見送ってから、一言。
「『落ち着け、ゆっくりでええからな。無理したアカンで〜?』て言うたよな? 俺。
お゛前゛ら゛何゛し゛と゛ん゛ね゛ん゛!? 曲芸か !!? 」
「ふす !!? 」
「きゅい〜……」
元気なんはええけど。
ホンマに、もぉ〜……!
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
この後彼らは「初級HP回復薬」を数本作ってから、後片付けして帰りました。
???「魔導スライサー? 要らん要らん。そのややこしい刃ぁ、洗い残さへん自信ある ?? 」
???「ふす……」
???「きゅい……」
???「俺はない! 以〜上ッ !! 」
次回更新は7/7(火)頃の予定です。作中8日目、午後の部。
ジンジュくん、地下の国の山へ……?
【追記】一部加筆/修正しました
(2026/06/30)




