表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▶️【偽典】関西人とツッコむ! VRMMO ~この辺、“鬼”がよぉ育つ~  作者: あいお明
 [第3章]ゴブリン・ライフは どこへ 行く...?
65/66

055. 俺らと、初めての溝浚い(?)

 今回また短めです(当社比)



 ◆


「あのー、(えき)てどっちですか?」

「……すんません、僕田舎(いなか)から出てったばっかりで。分かんないです」


 駅までの道聞かれて、現実(リアル)鉄道駅(えき)へ案内しそうになった。

 (あっぶ)な〜、ゲーム内(こっち)には鉄道(てつどう)ないんやった!



 今そこへ案内しても、お(ほり)ぐらいしかない。たぶん。めいびー。

 んで、もし


「こっちにも駅がある」


て言うても、俺らの知っとるそれ(・・)(ちゃ)うんやから。



「そうですかー、えらいすんません」

「いえいえ〜。ところで“駅”て何ですのん?」

「お(んま)さんいっぱいおる(とこ)です」


 聞かれたついでに聞いてみた。 ……ら、えらいあっさりした答えやな〜。

 一体、何する所なんやろ……?



 ◇


 ジンジュです。溝浚(ドブさら)い中やけどこんにちは〜!


 いや、まだ(さろ)てないけど。

 側溝(そっこう)への排水口(はいすいぐち)に、()げ茶色の変なスライムが詰まっとって。(なーん)でか【土の魔球(ソイル・ボール)】食らわせたら、元気になって出てきた〜 !? ……てとこです。



 (なに)その……何?



「きゅい!」

「きゅいきゅい〜……」


 まあ元気そうで何より、やねんけど。



 あと、その焦げ茶くん(仮称)と一緒に、えらい強烈な臭いのする汚水(おすい)が出てきて。

 でも焦げ茶くん(仮)が丸々飲み干したみたいで。もう臭いはせぇへんし、見つけた時より明らかにデカなっとる彼が目の前に、ね……



拙者(せっしゃ)特に何もしてないけど、今日もお疲れ〜?」

「「聞くなや」」

「んぶッ !!? 」


 俺のボケに、友達らのツッコミが入る。伸ばした手の甲で相手を(はた)く、ベタなヤツが。

 たしか“裏拳(うらけん)”て言うんやったか? 知らんけど。



 ただ、種族の差もあって、俺は今2人より50cm(センチ)ぐらい背ぇ低いわけで。

 そこに普段のノリで“裏拳”入ったら……



 (がん) (めん) (ちょく) (げき) 。



「すまん大丈夫か?」

「あっ()ぁ〜……けど大丈夫そう。お前らは?」

「「()(じょう)なし、ヨシ!」」

「さよか〜」


 当たったんが閉じた口、でよかった〜。(つば)とか鼻血とか、気にせんでええし。



……話()れた。(もど)れ戻れ。



 ◇


 ほんで、当の焦げ茶くん(仮)は……



「きゅきゅ、きゅきゅ?」

「きゅい、きゅいきゅい!」

「「「きゅえーい」」」


 ウチのスライム6匹の称賛(しょうさん)()びて、()(くさ)そうにしとるみたいや。



「ふす……」

「ぴすぴす……」


 あと、(にお)いにうるさいウチの兎2羽(とがの・レティシア)から、冷た〜い視線も浴びとる。



「てか遠いなお前ら !!? 」

「ぴすぅ……」

「ふすふす」



 まぁ別に……元気やったらええわ、それぐらい。

 ほな、そろそろ焦げ茶くんを……


「【鑑定(かんてい)】〜」

「きゅい!」



―――――

ソイルスライム(♂) Lv.21 スカベンジャー

(分類)魔物/??型

 自然(しぜん)(かい)掃除(そうじ)()雑食(ざっしょく)

 本来(ほんらい)スライムが苦手とする土を食べ続け、克服(こくふく)した変わり者。いわば「スライム界の激辛(げきから)好き」である。


 HP:100%   MP:99%

―――――



「へぇ~、『激辛好き』やて。ボーゼやん?」

「お? 俺あんな所()まるほど鈍臭(どんくさ)ないぞ」


 ……やっぱ違うか〜。それに、「激辛料理でダメージ4倍」とかって話も聞かんし。

 どんなゲームや、それ?



 それを言うなら激辛やない。“毒”やんな〜、たぶん。

 でも現実(リアル)で毒食うアホ出てったら困るから、「激辛」てことにしとるんかな〜……?



 知らんけど。



「きゅいきゅい……」



 んで。


「“(ソイル)スライム”で、『土を(中略)克服した』てことは〜……この子(つち)属性(タイプ)?」

「ご明察(めいさつ)

「へぇ~……明察ぅ?」

「なにか?」

「いや〜?」


 ボーゼの、歴史小説でもなかなか見かけん返事は置いといて。



 土属性か〜、なるほど。

 スライムて言うたら、個人的には水っぽいイメージやねんけど。そういうんもあるんやな〜!


 んで、“土魔法ぶつけたら回復した”っぽい。つまり……



「この子、『水分で超回復』が『土気(つちけ)で超回復』に変わっとったり?」

「「そこまでは知らん」」

「デスヨネ〜」


 そら知らんわ。ウチの6匹、全員水属性やからな。

 まぁ一匹だけ、次の進化で(やみ)属性になりそうな子おるけど……



「きゅおー?」

「“レッサー◯◯(なんとか)スライム”は全員水属性やねんて。今んとこの、従魔使い掲示板(テイマースレ)情報やけど」

「「ふーん」」



 あと焦げ茶くん、職分(ロール)が「スカベンジャー」になっとる。“ゴミ(あさ)り”とか“腐肉(ふにく)(しょく)動物”とかって意味の言葉や。

 焦げ茶くんはゴミ漁りのほうかな? 汚水飲んどったし。



「自然界の掃除屋」


とか言われとるぐらいやし。この通り沿()いの美化に、一役(ひとやく)()うとるんやろな〜。



 (おが)んどこ〜。



 ◇


 さ〜て、ほな本題戻ろか。溝浚(ドブさら)いや。

 まずは南北に伸びるこの「オミソ通り」の側溝、全部見て回るで〜 !!

 んで、


「見つけた汚れ、全部落とすど!」

「「(おう)ッ !! 」」


 ………

 ……

 …



 ……とか言うとった頃が、俺らにもありました。

 いや、せいぜい十数分前やけどな。



「きゅい、きゅきゅい!」

「……もう全部焦げ茶くん(コイツ)1匹でええん違うかな?」

「「ホンマそれー」」



 細い路地から流れ込む、別の側溝の合流点とか。側溝に突っ込んどる雨樋(あまどい)の内側とか。

 俺らの手ぇ(とど)かん所に、嬉々(きき)として触手(てぇ)突っ込んで。


 (かた)(ぱし)から汚れ食いよる彼を見ながら、俺らはボヤいとった。



「そうそう、ここ! ここすぐ汚れるんだよね~。あとあっちも……」


とでも言わんばかりの焦げ茶くんの、後ついて回るぐらいしか出来(でけ)てないし。

……て言うても、デカめのスライムやからな。動き自体は(おそ)いほうやねん。

 ほな(なん)の差か?



 土地(とち)(かん)や。



「少しのことにも、先達(せんだち)のあらまほしきものなり……」

「『徒然草(つれづれぐさ)』やん」

「いや草」

「「何(わろ)とんねん」」


 ネタは置いといて、ありがたい話や。

 来たばっかりの俺ら他所(よそ)(もん)に、色々教えてくれよるんやから。



 やからメモっとる。もし次があったら、そん時楽になるし。

 探す手間(てま)(はぶ)けたら、その分()よ終わるやろ〜?



 ◇


 と、いうわけで。

 オミソ通り小一時間を行ったり来たりしとったら、溝浚い終わっちゃいました……



「きゅいきゅいー!」

「おう、ほなまた」

「あんな所もう嵌ったらアカンでー」

「気ぃつけてな〜」


 触手振りながら去っていく焦げ茶くんを見送って。

 顔見合わせて。



「……あれー、俺ら何しとったっけ?」

「【土の魔球(ソイル・ボール)】1発撃って〜、歩いてメモ取って〜……ぐらいか」

「「マメやなお前……」」

「そうかな? そうかも……」


とか言うとったら、焦げ茶くんが嵌っとったあの排水口(はいすいぐち)から、また白っぽい液体が……



 帰゛っ゛て゛き゛た゛()(げき)(しゅう)゛ !!



「「「 あ゛〜゛、 鼻゛か゛〜゛ッ゛!!! 」」」

「……きゅい? きゅきゅい!」


 それと、 帰 っ て き た 焦 げ 茶 く ん (仮)。

 また側溝に()りて、汚水を飲みよるみたい。臭いがちょっとずつ(うす)れてきて……ん !?



 なんか刺激臭の中に、ほんのり心当たりのある(にお)いが……



「うどんの()で汁〜……?」

「は?」

「マジでー……?」


 ……うん。排水口の上見たら、「……うどん」て暖簾(のれん)出しとるお店やな。

 あと、困った時の外部検索。「うどん 茹で汁 排水」で……AI要約は飛ばして。



「「「……“(こう)濃度(のうど)うどん排水処理(しょり)施設(しせつ)”ぅ ??? 」」」


 あ、結構洒落(しゃれ)にならん問題なんや……某県庁公式サイトとか、大学の論文とか出てくる。

 んで、それを一手に引き受けとる焦げ茶くん……



 もう一遍(もっぺん)拝んどこ……!



 ◇


 今度こそ、焦げ茶くんと別れて。「根の国商工組合本部」へ(もど)って、報告しよか〜。

……て思とったら、後ろから声かけられた。知らんおばちゃんや。



「あのー、(えき)てどっちですか?」

「……すんません、僕田舎(いなか)から出てったばっかりで。分かんないです」


 駅までの道聞かれて、現実(リアル)鉄道駅(えき)へ案内しそうになった。

 (あっぶ)な〜、こっちには鉄道(てつどう)ないんやった!



 今そこに案内しても、お(ほり)ぐらいしかない。たぶん。めいびー。

 んで、もし


「こっちにも駅がある」


て言うても、俺らの知っとるそれ(・・)(ちゃ)う。



「そうですかー、えらいすんません」

「いえいえ〜。ところで“駅”て何ですのん?」

「お(んま)さんいっぱいおる所です」


 聞かれたついでに聞いてみた。えらいあっさりした答え、返ってったな〜……



 質問、追加。



「……牧場(ぼくじょう)違うんすか?」

「せやね。お手紙とか荷物とか、お願いして遠くに運んでもらう所でっさかい」


 それ(ゆう)(きょく)? この国にも◯便(びん)局あるんかい !?



 へぇ~、世界(ひっっろ)……



「あっ、ありがとうございます!」

「いえいえ、こちらこそおおきに(・・・・)。 ……ほら、アンタら行くでー」

「「はーい」」


 お互いに一礼した後。

 道聞いてきたおばちゃんは、街道を西へ歩いてった。お子さんら連れて、な。


 親子にしては(とし)の差ありすぎる気がするけど、どうなんやろ?



 まぁ知〜らね。俺に、他所(よそ)(さま)の歳聞く()(きょう)はない……!



 ◇


 通り3本分、西へ歩いて。「フダノ(つじ)」の組合本部まで戻ってきた。



「たのもー! ……あだッ !? 」

「“(やかま)し”言うとんねん」

「せやせや〜、2度言わすな」


 また大声出しながら入るえすとを、ボーゼと2人で、軽くどついとく。

 よかった〜……他にお客さんおれへんみたいで。おったら絶対迷惑かかっとった。



 ほんで、職員さんには正直に報告しといた。


居着(いつ)いとるスライムくんがほぼ全部やってました」


て。



「あ~、やっぱりね……。前にオミソ通りの町内会長(くちょう)さんが来たった時に、『あの依頼しばらく下げるか、(まよ)てますねん……』て(はなし)してはったからな〜」

「「「へぇ~」」」



 地味〜に貴重な体験させてもろた上で、報酬も満額(まんがく)(いただ)けました。



《「オミソ通り側溝の浚渫(しゅんせつ)」をクリアしました。報酬として:10マニを獲得》



 あざ〜っす !!



 ◇


 組合出てすぐ、ボーゼが一言。



「おぉヤバ、(かみなり)(ぐも)来よぉぞ」

「「マジか !? 」」


 見せてきた画面は……現実(リアル)の雨雲レーダー画像か。



「うわ〜ホンマや、早よログアウトせな」

「やなー。で、明日どないする?」

「昼過ぎにまたここ、でええか?」

「おっけー」

「俺も大丈夫……地上(うえ)戻らんでええん?」

「「あー……」」


 返事ついでに、気になったこと聞いてみたら。友達2人が渋い顔しよる。

 んで、ボーゼが口開いた。



「当分、地上戻るほうが面倒くさなりそうやからな。しばらくこっちスタートでええと思うわ」

了解(りょーかーい)



 通知(がら)みか? 知らんけど。

 コイツまた何かやらかしたな ??



 まぁええか!



「「「ほなまたー !!! 」」」



 お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m

 次回更新は6/20(土)頃、番外編の予定です。

 本編は30日(火)更新を予定しております。ジンジュくん、初めての調合に挑む……?



【追記】一部加筆/修正しました

(2026/06/19)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ