054. 土の下にも、クエストその他の候ぞ...
長らくお待たせしました、更新です m(_ _)m
※前回(054.)一部加筆・修正しました
まだの人は先にそちらをお読みください……
◆
ジンジュです。引き続き地下の首都(?)から、こんちは〜!
友達2人と、兎ら引き連れて。“フナイ市”て街の「根の国商工組合本部」に入った所です。
内装が古民家カフェとか、喫茶店とかっぽい。落ち着くぅ〜。
「……で、新宅は元気しとって?」
「うん、別状ないって〜」
あと、受付の前に並んどった、知らんおばちゃんゴブリン2人組が、受付担当の職員さんでした。
「ほんで、君らどっから来たん?」
「地上の国です」
「上か〜。ほなそこの組合員証とか持っとる?」
「はい」
「まぁまぁ、立ち話もなんやし。ここ座り」
「「「ありがとうございます、失礼します!」」」
………
……
…
◇
職員さん2人の質問に、主にボーゼが答えて。
魔水晶に冒険者組合員証翳したり、書類読んだり書いたりしとったら、手続き終わった。
《初級任務「商工組合に登録しよう!」をクリアしました。以下の条件が満たされています》
《職業“生産者(調合師)”が【副業】に登録されました。転職が可能です》
《称号〈見習い調合師〉を取得しました》
こうしてまた1人、新たな調合師が生まれた。
……調合キット、まだ持ってないけど! 早よ買え。
んで、何で調合師なんか? て話。
「兄ちゃん頭良さそうやし、薬草採取やってみぃひん?」
「え〜、危なないですか? 僕ド素人ですけど……」
「そない言える子にこそ、お願いしたいんよ。そこで『はい、やります!』言うてた子らがエラい目に遭うん、仰山見たからね〜」
職員さんに聞かれて、正直に答えたら。
逆に好感触でした。
「せやね〜、サルマタタビとかお願いしてええかな?」
「大丈夫な木なんすか? それ〜」
「「えっ?」」
「……あっ」
友達の反応で、やっと気ぃついた。さっきから俺、「知ってる人間の反応」してもうとる……て。
「やっぱ知っとぉよね〜。薬草採取、お願いしてええかな? あと折角やし、『調合師』で登録もしとき!」
ニコニコ笑顔でそない言われたら、断れんかったわ〜……。
あと、一通り終わってから、ボーゼが一言。
「手続き、冒険者組合とほぼ一緒でしたね」
「昔の上と同しシステム使とるらしいからね。ホンマか知らんけど」
「「「へぇ~」」」
なんでも、何十年か前までは1つの「ギルド組合」やった組織が、
「冒険者組合」
「商工組合」
それとここ、
「根の国商工組合」
の3つに分かれたからそうなっとる……ねんて。
ややこしなオイ……
「それより、依頼どないする? この辺がお勧めやねんけど〜」
そない言うて、職員さんが3つ勧めてきたった。曰く……
「キビグチ門周辺の草引き」
「オミソ通り側溝の浚渫」
「コクブ廃寺の探索・浄化」
上から順番に草むしり、溝浚い、それと肝試しでっせェ〜!
なお、草むしりと肝試しには、“途中で寄ってくる魔物の討伐”もついてくる !! お得やね !!!
「「溝浚いで」」
「チッ……」
「かしこまりました〜」
友達らは肝試しを無視して「オミソ通り側溝の浚渫」を選択。んで、思わず舌打ちしてもたんを、職員さんらがニヤニヤ見とってやった。
恥っっっず……
「いやお前、せっかく森の掃除屋連れとんやし。たまにはエエことしとかな、なー」
「あ~、それはそうか〜」
「巨大蚊柱に飽きた、とも言う」
「「同意見やなぁ……」」
えすとの建前とボーゼの本音、どっちにも共感したとこで。
「狩るべき魔物の一覧表とか、この辺の地図とかあります〜?」
「そら向こうの掲示板見てや〜」
「「「ありがとうございます」」」
職員さんが指さしよっての、入り口脇の掲示板を見に行く。
お、これこれ。
―――――
【新人~】小兎、茶狼
【初級~】野兎、森狼、茶猪、野猫、蛇etc……
【中級~】黒猪、大蛇、巨鳥etc……
―――――
地上の街と、大きくは変わらん感じか〜。
ただ、地味〜に虫系が減って、その分蛇が強調されとる気ぃするわ。
嫌〜ね〜、俺蛇も苦手なんやけど。
とぐろ巻いとる青大将――マンガのウ◯コみたいな姿勢な――、あれ今でも怖いんよな〜。農家の祖父ちゃん家に出るから。
あと祖父ちゃん家、十年物の脱皮殻もある。縁起物らしいけど、ボロボロやし気色悪いし……で。
真っ白なレジ袋に入れて、放ったらかしや。
◇
「ほな気ぃつけて」
「「「ありがとうございましたー!」」」
諸々終わって、「組合本部」を出た。
フダノ辻からまた、東へ歩きよる。この道、「トウ街道」て言うねんて〜。
「……駄洒落か?」
「「さぁー?」」
んで、さっき寄った「コウジ小路」と、その次の「ジュゲムジュゲムゴコウ筋」の間におる。そこに、
「ช้างและหมา」
て看板出しとっての店がある。
……何それ?
「ช้างและหมา、タイ語で“象と犬”やて」
「「へぇ~……?」」
ボーゼが読み上げた外部検索の結果に、えすとと2人で首傾げとる。
何でこんな所に……?
「インドとか韓国とか色々すっ飛ばしてThailand……? 運営誰かカレー嫌いなんか」
「カレー関係ないやろー?」
「ツッコミボケやめぇや〜」
えすとと2人で、ボーゼにツッコミ入れとく。ツッコむフリしてボケる、それがツッコミボケや。
あと真面目に補足しとくと、タイにも“タイカレー”がある。しかも激辛らしい。
まあ、本場インドのカレーも大概辛い……て聞くし、ご縁がないことを祈っとこ〜。
フッ……嗤いたくば、嗤いなさい。
子゛供゛舌゛て゛、 食゛へ゛れ゛な゛い゛の゛よ゛!
ま、それは置いといて。
「で、そこお店やんな〜? 何売っとんのん……?」
「プラーヘンテンモー。『スイカを一口大に切って、魚粉を振ったタイ料理』やて」
「「ぎゃふん……」」
「喧しな、しょうもない」
買うてく人おってやから、それなりに美味いっぽい?
今から溝浚いやから、「また今度ね〜」やけど。
あと何やろ、この街の
「東洋というより東方」
感は……?
◇
ウダウダ言いながら、さらに“トウ街道”を東へ。「コウジ小路」「ジュゲムジュゲムゴコウ筋」に次ぐ、3つ目の通りに出た。
目的の「オミソ通り」や。
んでこの交差点、ど真ん中に銅像が1体立っとる。
「なんか立っとぉぞ。ワレ誰どい?」
「僧侶か〜……◯基ですかッ !? 行◯があれば、何でも出来るッ !! 1、2、3、だぁッ !!! 」
「「◯鉄奈良駅前違うどワレェ……」」
ツッコミありがとう。思とったんと違うけど。
……さておき。銅像に近寄って、台座の説明見よう!
―――――
デンガク大師像
「デンガク大師」ことミソノ・デンドーシ和上は、異界より渡られて味噌桶の普及に尽力し、根の国に美味なる味噌を根付かせる偉業を成されたお方です。
どうか本像を汚さぬよう、ご協力お願い申し上げます。
―――――
「「「マジで誰どい ??? 」」」
誰も知らんがな。何やこれ…… ???
◇
まぁええわ、本題入ろか〜。
「オミソ通り側溝の浚渫」
やったよな。
つまりこの、通りの両側の溝、綺麗にしたらええんやな?
ほんで、何百mあるか分からんこの通りの、両側全部やる必要はない。
わざわざ商工組合に依頼を出す、てことは……
「街の人の“ふだんの努力”だけでは、汚れを落とせん所がある」
て話や。
たとえばこの国、スライムが珍しいみたいやからな。
地上の国々やと聞こえた
「スライムの大移動が云々」
て話、こっちでは誰もしてないし。
ウチの6匹と街入る前に見た「レッサー・チャームスライム」以外、まだ見てないんよな〜。
やから、地上の国々やったらスライムが落としてくれる汚れも、まだ残っとる可能性がある。具体的に何がどうとか知らんけどな……。
あとその分、手間とか臭いとか覚悟しとけ! て話でもある。
「汚れが酷すぎる」
とか
「汚れた所に、街の人の手が届かん」
とかって状態やろからな〜!
……て話を、友達らに教えました。
1発ずつ頭殴ってから、な。
「やれやれやで〜……パッと見で『掃除する所ないやん、帰ろ帰ろ』やて? んな依頼出るかぁ!」
「「すみませんでした」」
俺より地頭のええ、自慢の友達です。せっかち過ぎるだけや。
んで、せっかちは美徳や。特に野球とかVR格闘ゲームとか早押しクイズみたいなスポーツは、せっかちほど強いもんやからな。
……でもまぁ、せっかち人間ばっかりやと世の中回らへんから。たま〜にやったら、俺みたいな鈍間の出番もあるかな?
「きゅい、きゅいー……」
「ん? 何かあっ……た ?? 」
「きゅい〜 !? 」
足元で、力ないスライムの声がした。
ウチの子か? 思たら違た。普通にビックリしとった。
問題の声は、側溝からや。
側溝に空いとる、何かの排水口。そこに黒いスライムが詰まって、穴塞いでもうとる。
……いや、よぉ見たら黒っぽい焦げ茶色やな。んで、ゼリーっぽいツヤもない。なんか硬そうな体つきや。
硬そうやのに、なんか皺寄っとるんも分かる。何スライムなんや? この子……
「あなやー!」
「平安貴族か」
あ、友達のボケは一旦無視で。
「大丈夫? 喉渇いてない〜?」
「きゅきゅい、きゅい〜?」
「きゅい……きゅいきゅきゅい……」
「きゅい〜、きゅいきゅい!」
はっさくが間に入ってくれた。水分は摂れとるけど、食い物足らんらしい。
だから力が出ない、もう少しで穴から出られそうなのに……とのこと。
んで、「【土の魔球】を食べたい」やて。
…… 何 や て ?
「スライムが『土魔法食いたい』、やて〜 ?? 死ぬどお前 ??? 」
「きゅい、きゅきゅい?」
「きゅきゅい、きゅい……」
「きゅい〜、きゅいきゅい」
あとで【鑑定】してみたら分かる、やて?
ほ〜ん、そこまで言うんやったら……
「【土の魔球】〜」
茶色い光の玉を、焦げ茶スライムくん(仮称)に向けて放る。真似をしてはいけない。
んで。
ホ゛ン゛マ゛に゛食゛い゛よ゛っ゛た゛そ゛コ゛イ゛ツ゛〜゛!!
「きゅい! きゅいきゅいー !! 」
しかもなんか表面がツヤツヤしだしたし、動きも活発になった。
マ ジ か よ ぉ ……
とか思とったら、はっさくが触手2本伸ばして、「後ろ下がれ」て合図出しよる。
いっつもの、人の手ぇ再現したみたいな触手の先端に、今日は指紋や手相まで見えとる。
渦巻き型かぁ。俺の指と違うな、気色悪ぅ……
どこで誰の見たん?
「たっ、堆肥! 堆肥ぃー!」
「「退避やろ」」
動揺したんか、アクセントがおかしいえすとに、ボーゼとツッコミ入れつつ。とりあえず下がる。
「きゅいー!」
ほな、焦げ茶くん(仮)が排水口から抜け出てきた。勢いよく流れ出てきた白っぽい汚水に、押し流されるかのように。
んで、遅れて鼻を突くような異臭が……
ウ゛ェ゛〜゛ッ゛!!?
「う゛わ゛臭゛ー゛ !? 」
「何これ〜、何の臭い ??? 」
「……お? 秒で薄なったな ?? 」
「てか、さっきの子はー?」
「「ホンマや」」
排水が粗方流れ出た途端、異臭が薄れた。それはええねん。
さっきの焦げ茶くん、側溝から出て来ぇへん。大丈夫か?
「ちょっとそこ見てくるわ〜」
「「変な旗立てんな」」
「きゅいー ??? 」
“呼ぶより謗れ”てやつか? 様子見に行こうとしたら、焦げ茶くんが側溝から上がって来た。
どう見ても、倍ぐらいに膨れ上がった状態で。
ブックブクやで。いやホンマ、体ん中泡立っとるみたいやし。
この短時間に、何をそんな大量に……あ? 通知 ??
《「ソイルスライム(♂)」があなたを【鑑定】しようとしています。許可しますか?》
3日ぐらい前にも、こんなんなかった?
「まぁ〜た【鑑定】〜? スライムの好奇心よ……」
「「お前偉そうなこと言えんやろ」」
「せやったわ……」
まぁ許可しといて……
「へぇくしゅ !! ……いや早いわ! 【鑑定】が」
「きゅい? きゅいきゅい」
焦げ茶くん、許可出すなり即【鑑定】してったらしい。寒気でくしゃみ出たわ……
あと彼、「来いよ、【鑑定】」とでも言わんばかりに、触手縦に振っとる。
んで、それ見たボーゼが一言。
「お前そっくりやの」
「どこが? 俺そんな気ぃ急けてへんやろ〜」
「さよか」
しいて言うならボーゼっぽい? て、俺は思たけど。
……ど〜でもええわ。ほな【鑑定】させてもらおか〜!
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
次回更新は6/6(土)頃の予定です。溝浚い、続く……!
【追記】一部加筆/修正しました
(2026/05/20)




