053. 俺らと、地下の首都(?)
お待たせしました、更新で〜す
ジンジュです。知らん街からこんにちは〜。
……いや、仕方ないやん。ここ来たばっかりやで? 俺ら。
とりあえず、まず橋渡って、「キビグチ門」て門の前で検問待ちです。
せやねん、橋あんねん。お堀や思とったら川やった。
そんな“フナイ川”の“フナイ橋”渡ったら、石碑が1本建っとる。「根之国道路元標」やて。
……何それ?
「きゅきゅ?」
「きゅい?」
「「きゅえ〜い!」」
ん~……分からん。連れのスライムらが触手伸ばして、物珍しそうにペチペチしとるん以外は。
あ、せや。こんな時は【鑑定】〜!
―――――
???石 Lv.―
(分類)素材
根の国内陸部で採れる岩石。
HP:― MP:―
―――――
ク゛ソ゛か゛〜゛ッ゛!!
素材聞いとん違うわい! もうええわ !!!
◇
「ほな儂らこっちやから」
「「「ありがとうございましたー!」」」
「「どういたしまして〜」」
ここまで案内してもろたゴブリンさんとレッサートロールさんは、門の横の詰所に入ったった。
んで、お2人と同し恰好しとってのおっちゃんらが、検問とか門の見張りとかしとってや。
「気ぃつけてな〜。 ……ほな次の方、ど〜ぞ〜」
「へぇッしょい! チクショー……」
門番のおっちゃんら全員、ゴブリンとかトロールで。つまり、見慣れん緑色の肌した人らばっかりなんやけど〜。
なんか落ち着く。
それも検問やのに、やで? でもな〜んか落ち着くねん、アインツとかイースとかのそれより。
関西弁の、柔らかさ感じる言葉遣いとか。門番さんがくしゃみしとるぐらいの余裕とかが、そない感じさせるんかな?
「ほな気ぃつけて。 ……はい次の方、どーぞ」
お、もう順番か。くしゃみの門番さんが呼んどってや。
いっつも通り冒険者組合員証で……行けるんかこれ?
「「「お願いしまーす」」」
あ、受け取ってもらえたな。
「おろ? 見いひん顔やね。君らどっから来たん?」
「地上の国です」
「上かー…………異人さん?」
「はい」
門番さんの質問に、ボーゼが淡々と答えよる。
んで今、「その組み合わせで……?」とか言いたそうな変な間、あったな〜。
いや、たしかに変な組み合わせやけど。
獣人とエルフ・ゴブリンの3人組、他に見たことないし。さらに兎・鼠・スライム連れ歩いとる、て……
「ふす……」
「チュピ?」
冷静に考えたら、俺ら何しとんやろな……?
「一応聞いとくけど、目的はー?」
「観光と短期就労です」
「まぁせやろなー」
聞きながら、門番さんが細長い紙に何か書いて、判子押しよってや。
本に挟む栞……より、一回りデカいんが3枚。何やろこれ……?
「はい。ほな組合員証とその紙持って、“フダノ辻”の『組合本部』て書いたある所行き」
「「「ありがとうございまーす!」」」
「ほな気ぃつけて。 ……はい次の方、どーぞ」
んで。
街入ってすぐ、お経と木魚の音が聞こえてった。
「お? どっかで法事か葬式しとってんか?」
「ホンマやなー、細か……」
友達2人が感心しとる……いやちょお待て、何かおかしい。
木魚の音、こんな金属感あったっけ?
……とか思とったら、たまたますれ違たミニゴブリンくんが叫びだした。
「かんにーだいぼーさ」
「しーっ、静かにしぃ!」
んで、保護者らしきゴブリンさんに叱られとる。
「門前の小僧、習わぬ経を読み……てやつー?」
「「たぶん違う」」
えすとの感想? にツッコんだ直後、変な音がした。
読経と木魚の音に混じって、急にカーッ! て感じの、乾いた音が。
「「「はい?」」」
「ぴすぅ !? 」
あ、またや……てか連打 !?
「ふんす?」
「ぴすぴす!」
あっヤバ……兎2羽、ご機嫌斜め。苦手な音らしい。
もうちょい離れとこ。
「えぇー……な、何叩いとってなん?」
「知ら〜ん。何やこれ……」
「……おぉ、アレか!」
「「どれや?」」
えすとと2人で頭抱えとったら、ボーゼがポンて手ぇ打った。
で、なんか外部検索しだして……画面見せてきた。
「これこれこれ。馬の顎の骨乾かして叩いたら、こういう音するねんて。キハーダとかジョボーンとかいう楽器らしい」
「へぇー……どこに何使とってん ?? 」
「ホンマそれな〜……」
見せられた画面の中で、知らん婆ちゃんがその楽器叩いとる。
『ハンバァ〜グ!』
て叫びながら。
いや誰 ?? 何 ??? 喧しな〜……。
……ん !? せや、思い出した!
「これ、木魚も木魚の音違うな。カウベルか〜?」
「「カウベルぅ ??? 」」
牛とか、デカい家畜の首につけるから「カウベル」て言うんやて。そういう楽器や。
けど、読経に使うんは初耳。何でや、何でそうなった……?
分かんね。次行こ。
◇
街入って十数分、大通りを道なりに歩いとる。
道なりのはずやのに、途中2回曲がった。いかにも城下町、て感じやな。
ややこしや……
んで、2回目に曲がった辺りから、建物が変わった。江戸時代風の1階建てから、中華風の2階建てに。
「朱塗りの柱……やめろファンフリ、その攻撃は俺に 効゛く゛ぅ゛〜゛」
「魔除け効いてて草」
「お前らなー……」
えすとにツッコませる作戦、失敗〜。
……しょうもないネタは置いとこ。
大丈夫! 視界に赤色が多うて、目ぇ疲れとるだけやから……
「人多いな、てか侍と忍者多すぎやろ」
「う〜わホンマや、お店多いのに。商人さんどこ行ってん?」
「つか待てー、右腕だけ丸太みたいに太いお侍さんらは何……?」
「そら弓兵や。幼少期から弓引いとったらああなるらしい」
えすとの疑問にボーゼが答えよr……左腕太い人もおるな !? へぇ~……。
「あとさ〜、忍者て忍ばんでええん? その辺でしれ〜っと串団子売ったり、三味線弾いたりしとってやけど……」
「あれウケ狙いやろ、主に海外向けの」
「そう? 外人さんに『頭30年前で止まってんの?』とか言われそうやけど〜」
「「何ちゅうこと言うねん」」
30年ぐらい前までは、「◯◯人はこれが好き!」みたいな話が色々あったらしい。
けど自動翻訳機能が発達して、「そんなん全部嘘や!」て話に今なっとるから。
誰に何がウケるんか? も、何が叩かれるんか? も、もう誰にも分からん。面倒くさい世の中や。
多様性とか個性とか言うて躁げる偉いさんらが、ちょっと羨ましいわ〜……
◇
「お、え◯そばの屋台あるやん。駅ないのに」
「「ツッコむなツッコむな」」
街道の左側、てろてろ歩いとるうちに。よぉ〜混んどる交差点の前まで来た。
交差点の斜向かい――たぶん南東側――に、「組合本部」て看板上げとる建物がある。
「目的地周辺です。案内を終了しm」
「「それやめい!」」
ボーゼの奇声に、えすとと苦情入れといて……
《根の国の首都「フナイ市・フダノ辻」の入口が開放されました。復活地点に設定できます》
「おっ何 !? 」
「急に通知来るやーん」
「通知か、あ~ビックリした……」
愚痴垂れながら、ふと交差点の向こう、北東側見たら。
チマチマ何か書いた看板が、十数本立っとる。
お、あれが噂の高札場……?
「あ~、それで“札ノ辻”なんか〜」
「んー、何かあった?」
「交差点の向こうのあそこ、沢山看板立っとるやん?」
「せやな」
………
……
…
とりあえず交差点渡りよったら、左にお城が見えるんやけど。
「ここ大◯前通りー?」
「ん〜……違うんちゃう、狭いし」
「大◯守が微妙にこっち向いてないよな。一本向こうか?」
「……見に行くー?」
「「了解」」
あ、その前に。高札場の看板は見てこか〜。
「え~と、“府中偃武之事”、“魚積屋與四朗切腹之事”……」
「「なんか物騒やな……」」
色々書いてあるな〜。
で、多分これ、お役所系の掲示板なんやろな。いや知らんけど。
あっせや、【鑑定】したら現代語訳してくれるとか〜……?
―――――
??? Lv.―
(分類)素材
根の国で採れる木材。
HP:― MP:―
―――――
……ですよね~!
ほな、目的地「組合本部」を一旦通り過ぎて。「フダノ辻」の次、1つ東の交差点へ。
◇
「おぉ、これやこれ……いや狭ない?」
「てか大◯守傾いてねー?」
「んで、えらいガラガラやな〜この道……」
ボーゼの予想通り、お城の角度にめちゃくちゃ見覚えがある。某駅からお城行く途中、こう見えるよな。
……いやごめん、こっちの大天守は斜め右に傾いとるわ。本家はまっすぐ建っとる、安心して見に来いや〜。
んで、通りの雰囲気も全然違た。お城とここの交差点以外、全部1階建てやし、人通りも少ない。
しかも狭い。自動車2台が無理矢理すれ違えるかどうか? て感じ。
「空港でも作るんか?」
とは、誰も言わんやろな。
……待て、おかしいんは滑走路と間違われる大通りのほうやな?
これが普通、これが普通…………
「ふす?」
あと、感想バラッバラやな〜。いっつも通りやけど……。
◇
「フナイ宿本陣、ヨネヤ洋品店、サクラヤ呉服店……色んな店あるなー」
「「ホンマやな〜」」
来た道ちょっと戻って、さっきの「組合本部」て書いた建物の前。
看板よぉ〜見たら、左に小っちゃく
「根之国
商工」
て書いてある。
つまりここ、俺ら冒険者の組合やない。“根の国商工組合”の本部らしい。
「ん〜? 俺ここ入ってええんか ?? 」
「ええん違う? どうよ有識者ー」
「有識者言うな」
えすとがボーゼに話振りよる。ゲームの有識者、自慢の友達です。
「まぁ行けるやろ。よそのゲームに、冒険者・商業・職人、全部来い! てギルドあるし。ここもそれ違う? 知らんけど」
「へぇー」
「奥が深いなぁ〜」
「「深ない深ない」」
ツッコミありがとう。ほな中へ。
◇
「たのもーッ! ……あ痛っ」
「喧し」
「やめろや〜、こっ恥ずかしい……」
急に大声出したえすとをしばきながら、中へ……入ったら、列でけとる。
……いっつもせやったな!
んで、内装は古民家カフェっぽい。
「小洒落てやがる、だがそれがいい」「くぅ〜疲れました」
「お前ら他人のこと言えんやろー……」
ド正論が……返ってきたよ……。
いや、さすがに声は潜めといたけど。
「次の方、どうぞ〜」
「「「はいッ!」」」
お、順番や。ほな行ってきま〜す。
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
次回更新は5/5(火・祝)頃の予定です。ジンジュくん、根の国で初のクエストへ……?
【追記】一部加筆しました
(2026/04/22)




