六話 突撃
あれからしばらく経ち、班分けされた状態で門の前に立っていた。
一班を務めるのが【英雄】パーティーらしく、リーダーは私だ。
五十鈴と律、鬼丸が一緒でもう一人が柊だった。
戦力的には中々のものだ。
「準備OK?」
「はい! バッチリです!」
他三人は頷き、律は答えてくれる。
班員全てがいつでも戦える万全の状態だ。
あとは作戦の指揮を担当する紅鶴からの合図があれば、分けられた五つの班が一斉に里の外へと飛び出し、迫り来る魔獣を殲滅していく手筈だ。
「……どしたの、柊。浮かない顔だね?」
そんな時、ふと視界に入ったのが柊の顔だった。
何か不安なことでもあるのかと、そう思っていると、柊の方から言い出してくれた。
「竜胆たちが、心配で」
「あー、確かにね」
心配の種は妹たちのこと。私たちと同じく、竜胆たちも班分けにより、柊を除いた姉妹全員と氷雨のパーティーで編成された突撃班を担当しているのだ。
確かに姉からすれば心配事のはずだ。
ただ心配であるものの、あの姉妹たちが魔獣にやられるほどのものでは無いはず。
それに氷雨だってついているのだから。
「信じよう、竜胆たちが無事に魔獣を倒してくれるよう」
「……はいっ」
今は信じることのみしかできない、自分達には自分達の役目があるからだ。
魔王軍幹部『屍皇』の討伐。
これを成さない限り魔獣は無限にやってくる、というのが酒呑の考えだった。
つまりこれは籠城しての消耗戦ではなく、短期決戦。いかにして屍皇を素早く討つかが勝利の行方を左右するのだ。
「それでも心配なんだったらさ、倒しちゃえばいいんだから。魔王軍幹部を開幕速攻ね」
「クックックッ、我が伴侶ながらになんてことを言いよる。魔王軍幹部を速攻で倒すとな?」
「うん、そうだよ。まさか出来ないなんて言わないよね鬼丸?」
実際問題、あの幹部を倒さなくてはこの戦いに勝ち目はない。
故に速攻。
呆れたような笑みを浮かべる鬼丸に発破を掛けると、鬼丸はフッと歯が見えるほどの笑みを浮かべると、バンッとその胸を叩いた。
「余裕じゃ。わしに掛かればのう、赤子の手をひねる……いや、呼吸するよりも簡単じゃ!」
「……」
「わー、大きく出ましたね」
「前言撤回は無しですよ、鬼丸様」
「巫女様って……」
鬼丸の言葉に全員が顔を顰めた。
鬼丸の強さは理解しているものがほとんどだとしても、鬼丸一人では流石にジリ貧だろうに、どこからこんなに自信が溢れているのか。
「おっ、そろそろかな」
そんなこんな話していると後ろの方で紅鶴が動き出したのを確認した。
準備は万端、士気も上場。皆んなが勝つ気だ。
突撃隊は壁の外を見据え、正門の前で整列し時を待つ。
突撃をしない防衛隊は紅鶴のことを見ていた。
そして突撃の何百メートル離れた位置に立ち、紅鶴は号令した。
「突撃―――ッ‼︎」
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