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七話 昔々あるところに

すみません、昨日の夜投稿できなかったので、その分です!

 ハッと目を覚まし、バッと飛び上がった。

 視線の先には身を小さくさせて座り込む(しゅう)の姿。

 直感的に理解した。

 柊の気持ちが、当然だろう。

 目が覚めて起きた時、真っ暗闇の閉所だったら人間誰しも怖くて寂しくて、心細いものだ。

「……っ!」


 怖がっている子を前にして動けないような人間ではない。

 咄嗟に身体は動き、柊のことを強く抱きしめていた。

 バッと柊が抱きしめられる寸前、驚きながら腕を突き出し抵抗しようとしていた気がしたものの、それをぬるんと避けて強く強く抱きしめた。


「―――大丈夫、もう大丈夫だよ」


 抱きしめて耳元で優しく呟いてあげる。

 もう一人ではないのだと……。


「―――‼︎ ちょ、何っ……してんですか‼︎」


 ガッと柊に腰を掴まれ、そのままブンッと飛ばされてしまった。

 え〜? と穏やかな顔で宙を舞い、そして本日三度目となる背中での着地を決めるのだった。


「起きたかと思えば急に抱きついてきてっ……!」

「い、いや、あの〜……」


 柊の反応からして自分の考えは全くの的外れだったようだ。

 プンスカと怒りを露わにする柊に「ご、ごめんね……?」と一応だが謝っておくことにした。

 だが確かに早計が過ぎていたとも自分で思う。

 寝起きの寝ぼけ頭のせいか、それとも柊にちゃんとしたかっこいい姿を見せれるという、そんな気分に酔っていたのか。

 理由はどうあれ、基本的に唐突に抱きつくのは確かにおかしい。

 痛む後頭部を摩りながら距離はあれども、柊の隣に座った。柊は向きたくないと言わんばかりに、顔を膝に埋めていた。

 が、結局真っ暗なこの中では顔ははっきりとは見えず、顔に輪郭の皆ために、向いてくれ他としても意味がない。


「あ、ちょっと待ってて……」


 と思ってたが、そういえばと極々自然に、


「『紅焔鎧』」


 魔法を行使した。

 唐突に魔法を使い始めたことに、柊が思わずギョッとして驚くが、次にはこの中が淡く照らされることに驚いていた。


「どうかな? 少しでも平気になればいいんだけど……」

「っ。へ、平気です、ちっとも怖くはありませんでしたから!」


 無理しているのがすぐにわかるような虚勢を張り、柊はぷいっとそっぽを向いてしまった。

 見る感じはプンスカと怒ってはいるが、内心は違うのだろうと勝手に思うことにしている。気丈に振る舞ってはいれど、精神はだいぶすり減っているはず。

 自分ですらこの状況はキツい。話し相手がいるというだけでも、それはだいぶ違ってくる。


「……」

「……」


 二人の間に沈黙がやってくる。

 話すことがない。というよりも、話しかけて良いのかということの方が気掛かりだった。

 話し掛けるか、話し掛けないかの二者択一の狭間で混乱している時だ、ふとそれが見えたのだ。

 そして覚悟を決めて離れていた距離を埋めていき、二人の肩と肩が触れないか触れるかくらいの距離まで近付けた。

 その間柊は何も言わず何もせず、何もしなかった。

 ただただ受け入れていた。


「何か話さない? こんな暗いのに静かなのは……悲しいよ?」

「……? すみません、言ってる意味が分かりません。暗くて静かが悲しいんですか?」


 やっとこちらに顔を向けて聞き返してくる柊に、喜びを顔に出しながら微笑みつつ頷いた。


「そう。私は暗くて静かなのが悲しいの」

「……変な人ですね」

「いやいや、それには深〜い訳があるんだよ?」


 素っ気ない柊だが、どうにか念願の会話は成立していた。しかも暴言が一切ない会話がだ。


「それには私の過去が起因しててね……」

「興味ないですっ」

「私はね〜」

「っ、嵌めましたね!? あなたなんかの聞きたくない過去話なんて興味ないですっ‼︎」


 柊の拒絶を振り払い、暴走列車のように過去の話を語り出そうとするのを、ギャイギャイと柊が騒ぎ立てて阻止しようとしてくる。

 そんなに嫌なの⁉︎ と内心傷付きながらも赤裸々に過去を話した。

 やはり一番信頼してもらうには、これが一番なのだ。

 同情してしまうような過去では無く、ありのままの過去を話すこと、それが一番効果的なのだ。


「今すぐ口を閉じてください‼︎」


 ガッと口を手で塞ごうとする柊が襲いかかって来るが、自身の過去を赤裸々に語りながらも、それを避けては柊を自分の膝の上に座らせた。

 そして強制的に話を聞かせる。

 バタバタと「離して下さい」や「興味ないですっ‼︎」とずっと大声で連呼している。


「まーまま。良い機会だしさ、自分たちの思い出を語り明かそうよ。……この感じ、自力での脱出は無理だろうしね」


 騒ぎ暴れる柊の身体を優しく抱きしめて、そう耳打ちすると柊は次第に大人しくなっていった。

 好きにして下さい! と言わんばかりの顔でムスッとしていた。


「えっと、どこまで話したんだっけ?」

「知りませんよ……」


 ついに観念した柊が力なくだきしめられながら、話を聞く体制に移ったのを確認し、話の続きを語ろうとしてド忘れしてしまった。

 ついさっきまで話していたことをだ。

 ムムムと眉間に皺を寄せて、やっと思い出した。


「そうだった、まずは私の身体にあるホクロの数から……」

「本当にどうでも良いですっ‼︎」


 若干キレながらそう拒絶する柊に「嘘嘘、うそだよぉ〜」と微笑みながら今度こと本当に、自分の過去を赤裸々に語り始めるのだった。

読んで頂きありがとうございます!!

面白いと思って頂けましたら、ブックマークと評価やレビューなど、どしどししてくれると物語の面白さ向上につながります!

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