三話 ある日、森の中、各上の美少女に出会った
すみません、報告も無しに投稿してませんでしたが、とりあえず今日は、これと21時に二話分投稿いたします!
しばらくの間結界の周りを歩き、出発地点に戻ってくることで終えた。
そして深々とふぅと一息吐いた。
「なんの問題もなし!」
結界に綻びはあらず、逃げ出した魔獣も一匹もいなかった。
「んぅ〜いやぁ……まさか、こんなことになるとは」
結界の前で呆然と立ち尽くしているのも限界で、ぐわんと勢いよくしゃがみ込んだ。
はぁ〜……と鈍臭い自分に我ながらほとほと愛想が尽く。
何をしているんだと叱咤したくなる。
「やること……なんかないかなぁ」
他の人達が何かしていると言うのに、自分は何もしていないと言う罪悪感や寂寥感に、顔を膝に埋める。
またため息を尽き「やること……」と呟いたその時だった、ゾワッと鳥肌が立つと同時に、何者かに見られていると言う視線を感じたのだ。
顔を上げ、立ち上がり辺りを見回すも誰もいない。
結界の中から? という考えのもとその中に目を向けるも、誰もこちらを見てはいなかった。
「嫌だな、これ」
気持ちの悪い感覚に顔を顰めた次の瞬間、視界の端を誰かが通っていった気がしたのだ。
「……」
気のせいだと済まそうとしたが、済ましていいわけがない。
視界の端に過ぎった誰かの後を追いかけるのだった。
結界が小さく見えるほどに見下ろせる所気付けば遠くにまで追いかけてきていた。
鬱蒼とした森林の中を歩いているためか、自分の柔らかい色白の肌の腿や脛には無数の切り傷が出来ている。
「……えっと」
ちょくちょく見えていた人影がつい先程から全く見えなくなってしまった。
何処だ? と探している時だった。
「―――どなたをお探しですか?」
ふわっという感覚と、ボソボソと耳元で囁かれる美声。
脳が痙攣でも起こしたのかと思うほどに揺れ動いた。
「……っ⁉︎」
だいぶ遅れるが反応し、バッと拳を振り抜きながら振り返った。
が、耳元で囁いてきた何者かはぐるりと華麗に翻り綺麗に足から着地をした。
銀の長髪がふぁさっと靡き、そこから香り立つ大変良い匂いが鼻腔をくすぐってくる。
銀色髪の美少女の一挙手一投足に意識が持って行かれてしまい、煩わしい。
ガンガンっとナイフの柄でこめかみを叩いて、どうにか意識を戦闘や何者かなのどのことに向けてみせた。
「……凄いですね。まさか、そんな手があるとは」
こめかみから血を流しながらも、キッと美少女の動きを逃さない。
驚き口元に手を当てるという程度のことですら、緊張してしまうほどに。
「っ、あなたはっ……一体!」
ただそこにいるだけで、こちらの戦意が瓦解してしまいそうな雰囲気を醸し出す美少女。
いつでも戦えるようにしながら、何者かを尋ねた。
「……ふむふむ。まだ、早いですね」
「……? 一体、何が……」
「名乗りを上げるのが、ですよ。やはり名乗りは最終局面で行うからこそ意義があり、心震わせることができると思うのです」
ふざけたことを言う美少女に拍子抜けしてしまい、自然と臨戦状態を解除してしまった。
それは致命的なミス。
「―――⁉︎」
気が付いた時には全てが遅かった。
前方数メートル以内に居たはずの美少女の姿は消えていて、すぐそば、懐の中に潜り込まれ既に拳が突き出されていた。
ドッと音が一瞬消えた気がした次には、ドガッという音がすると共に背中に強烈な痛みがやってくる。
ドガッ、ガンッ、ゴッ、バキャ、ドッ。連続してそんな音が森林の中に響いた。
その音の次には木が音を立てて崩れ倒れる音が響き渡る。
肺の中の空気が全て体外へ出てしまい苦しみ悶える。
地面に両膝をつき「カハッ、ゲホッ、ゴホッ」とむせる様は何もまぁ無様なものだろう。
「……そして今はまだその時ではありません。それに至る過程なのです」
そんなことを言いながら近付いてくる足音。
間違いなく格上だった。
判断を誤った。たった一人で追いかけて良い相手ではなかった。
「か、過程……? 何っ、する気……?」
激痛を堪えながら顔を上げる。
尋ねられた美少女は微笑みながらしゃがんで目線を合わせてきた。
「土砂崩れを引き起こすんです」
「―――っ!」
「まんまと誘き出されたあなた方は、土の中に埋もれる。……何ともまぁ悲しい結末でしょう」
そんなこと微塵も思ってない顔だった。
恍惚とした顔で言うことでは決してない。
「そちらに知将は不在と見受けられますね。駄目ですねぇ、知将が居なければ戦いにはなりませんよ。これでは私達の方が一方的な虐殺をしているようではないでしょうか?」
やれやれと肩を揺らし、短く嘆息する美少女。
嘆かわしいと不満げな顔を浮かべてたと思えば、
「ですが、そのおかげで私の策が刺さると言うもの。これ以上の快感はあり得ませんねぇ……」
フルフルと小刻みに震え始める美少女の身体。
「そんなことはっ……」
「させない。とでも? その様で何が出来るのでしょうか?」
呆れたように飽きたように、美少女は立ち上がり何処かへ行ってしまう。
今ここで止めなければ大変なことになる。
その気持ちだけで、激痛なんか吹っ飛ばせた。
「……驚きました」
策を実行しようと歩いていた時、激痛で倒れ立ち上がることすらできない無様な【英雄】が立ち上がり、戦う気満々でいることに目を丸くした。
「させないッ」
メラメラと淡い光が【英雄】の身体を包んでいる。
頭には冠と、背にはマントが広がっていた。
「……最初から全力、と言うわけですね」
「当たり前。……私はみんなを守る、【英雄】だからッ‼︎」
ナイフを『創造』し駆け出した。
力量さは既に見誤っている。ならばそれに追いつけば良い、後から追いついて追い越してしまえば良い。
「私の作戦の障害となるあなたは……仕方ありません、ここで消えてもらいます」
一冊の本を手に出現させ、美少女は手を突き出し魔法を発動させるのだった―――。
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