十話 一発逆転はまた今度に
申し訳ないです、昨日の分は上手く投稿できてなかったようです。システム的ではなく投稿者のポンコツが発動したことによるヒューマンエラーですっ!
そしてそれから一時間後。
膝枕をしてあげながら頭を撫でていたが、パチパチと若葉が目を覚ました。
すっと起き上がると若葉は隣に座る。
そしてぎゅっとその小さな手で、こちらの手を力強く握ってきた。
チラッと若葉のことを見るが平然のしており、なぜ急に手を握ってきたのか、疑問符を浮かべていた時だった。
「……若葉達、ママ知らない。でも、柊姉は知ってる」
「うん、そうだね」
「……認めたく、ない。……でも、若葉には分からない。えいゆー、若葉は、力不足……」
一番無関心そうな子が、一番気にしていたみたいだった。
眠そうなそれでも、長女のことを案じている顔で誰かを責めるでもなく、自分を責めるとんでもないほどのいい子だ。
「ううん。そんなことないよ、若葉」
頭を撫でて「いい子いい子」と微笑みかけ、若葉の自責の念を取り払ってあげたいと願う。
この問題に対する責任は誰のものでもない。
仕方のないことだと、誰もが思っている。
強いて言うならばこの子達の母親の生まれ変わりとか言われるくらいにそっくりな、自分に責任がある気がする。
若葉に、この姉妹達に責任は何ら存在しない。
責任とは大人が背負うもののはずだ。
「若葉はいい子だね、お姉ちゃんのことが好きなんだね」
「……んぅ、うん」
自分の頭を撫でてくれる手をガシッと掴み、ぎゅーっと頬に当てて猫のようにスリスリしている若葉に、笑みを浮かべる。
とても可愛い仕草をしている若葉の姿に悶えそうになるが平静を装いながら、
「そんな若葉に、一つだけお願いしていい?」
「……? なに?」
「柊お姉ちゃんのことを教えて欲しいんだ。……私は知らないことだけだから、知りたい」
柊のことを聞くのだった。
竜胆にはみんなの事を聞いた。が、今回は柊のことを。
末っ子の目には柊はどんなふうに見えていたのか。それはとても気になることだ。
「ん、わかった。……柊姉は、食いしん坊」
「…………ゑ?」
若葉が記憶の中の柊の姿を思い返して、口に出たのがこれだとすると、今までで構築されていた柊のイメージが、ガラリと変わってしまう。
「……? 意外、なの?」
「え、あー、うーん、意外と言われると……」
意外かと言われれば意外だ。出会ってから今日の朝までで食事する機会は二回。
昨日の夜と今日の朝だったが、今日の朝はいなかった。昨日の夜はどうだったか。
「意外かも……」
「そう、なんだ」
若葉からすれば、意外と言う反応が意外らしい。
だが食いしん坊というのはいい情報だ。食べるのが好きな子の胃袋を掴んでしまえば、楽に仲良くなれるだろう。
「じゃあ柊はどんな食べ物が好きなの?」
「ん、ママの料理、と竜胆姉の、料理」
「ん゙ぅ゙……」
若葉の言葉によって淡い期待は粉々の木っ端微塵に粉砕されてしまった。
胃袋を掴んでしまえば、本当にうまくいきそうだったのだが。
「じゃ、じゃあ他に、柊はどんなことが好き?」
「……ん、ごめん、なさい。若葉、もう、知らない」
食べ物系が無理ならばと代替え案の発案に必須の情報を聞こうとしたが、泣きそうな顔で顔を横に振る若葉の言葉に、その考えも粉砕されてしまった。
「え……。うん、じゃあしょうがないか」
詰みか? と考えるがまだ、後二人。椿と菜葉からも話は聞けるかもしれない。
若葉はとても仕事を新たしい偽物の母のためにしてくれた。
十二分過ぎるほどだ。
「ありがとう、若葉」
ポンと頭に手を乗せ、優しく思いやりと愛をしこたま込めて撫でてあげるのだった。
幸せそうな顔で喉を鳴らす若葉。
この子の笑顔を、幸せを守るために、そしてこの子の大切な姉妹も守るために、今は今だけは死ぬ気で頑張る時だ。
何より救って……いや違う、知らせてあげるべきだ、あの子に親の気持ちを。親の背中を忘れられず、今もなおその偉大な母の背中を忘れられない心に。
偽物の母親が本物の母親を騙って、救うのだ。
(我ながら、最低だね……)
目の前に美しく咲き乱れる花々はゆらゆらと、肌を撫でていく優しい風に見を任せ揺れていた。
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