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七十一人目
「残念ながら、子供は難しいかと……」
目の前のおっさんが告げた内容に驚きはしなかった。若い頃にあれだけ無茶をしたのだから当然の結果と言えるだろう。だから、私は、大丈夫だった。私は。
「そんな……何故ですか!どうにかしてくださいよ!あなたは医者でしょう!?」
だけど、この男には衝撃が強すぎたらしい。ひどく狼狽している。
「現代医療に、奥さんを救う方法はありません。悪化を遅らせるくらいならできますが、それはあくまで遅らせているだけです。回復には繋がりません」
「そんな……」
男が大粒の涙を流しながら医者に縋りついているその光景はドラマならば名シーンになるのだろう。しかし、私の目には茶番にしか見えなかった。
「落ち着いて、あなた」
「落ち着けるか!この一大事に!」
一大事、ね。この男にとっては一大事なのだろう。自分の嫁がDVによって子供を産めなくなった。なんて、外に漏れたら大変なことになるだろうさ。




