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四十一人目
「はい、薔薇です」
「ありがとう」
毎週金曜日の夕方にくるお客様にいつもの薔薇を渡す。
以前、一度私は彼になぜ薔薇を渡すのかを聞いたことがある。
「幸せな毎日は小さなサプライズがもたらすんですよ。毎週薔薇を渡し、渡される。分かっていても嬉しいものなんですよ」
彼は少し照れくさそうに答えた。
「奥さんは幸せですね。こんなにいい人を旦那さんにしたんですもの」
「奥さんだけじゃないですよ。僕もあんなにステキな奥さんを貰えて幸せなんですよ」
彼は気づいているのだろうか。
目の前の女が元カノだということに。




