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無価値と言われた人間が異世界では絶対必須でした  作者: メバル
外伝【冒険者編】

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冒険者始めました②

「んで、結局どっちから殺る?」


「ここは普通にBランクのグレートオークじゃね?」


「だな。それはそうとグレートオークってなに?俺たちが下界にいるときって、そんな生物いたっけ?」


「俺も長いこと竜族として下界にいたが聞いたことないな。ただのオーク族でグラドがいるが、アイツらに種族階級なんて存在しなかったような」


「階級ないんだ」


「グラドがいってたじゃねーか。言葉が話せる者とそうでない者で分けれても階級はないって。格差が付いてしまうから、平等に生きてるって」


「そう言えばそうだったな。まぁ種族長がしっかりしてたから、今後も無害だろうと判断して俺たちもあの時放置したんだもんな」


「だが今ではグレートオークとか階級を得て討伐対象になってるって事は、これはあれだな」


「んーそうだな。考えられるのは2つ。

 1つは俺たちの知らない間の数千年で進化したって仮説。

 もう1つは何者かが裏に居る」


「だが2つ目は考えにくいぞ。それこそ俺たちの目に止まる」


「じゃー進化?進化なら進化でもいいけど、進化ペース遅すぎね?」


「え!?2つ目!?だとしたら、何が?」


「まぁ今は考えても仕方ねー。全ては行ってみてからだ。さて、ぼちぼち食い物(獲物)を探しながら行こうか」



 と、ルドラと話をし懐かしの地を観光しながら、獲物を狩り久しぶりの下界暮らしを堪能していた。



「おい見ろよルドラ!パン太郎の住んでたとこ、笹が生い茂ってがパン太郎の子孫たちが住んでるぞ」


「あ、神様だ!」


「おー元気でやってるようでなによりだ」


「はい!ありがとうございます!神様、始祖様はお元気でしょうか?」


「元気だよ。昔より3倍くらいデカくなったけど……」


「そんなに大きくなられたのですね!やはり始祖様は我々と比べるには器が違いすぎます!凄いなぁ。僕たちも頑張って大きくなりますね!」


「う、うん。別にデカいのは凄いことじゃないと思うけど、ま、まぁ頑張れ」


「はい!ありがとうございます!」


「じゃー俺たちはそろそろ行くよ。グレートオークってのを狩りに行く途中なんだ」


「グレートオーク?何ですかそれ?」


「あら?お前ら知らんの?」


「グレートオーク……グレートオーク……んー……もしかしてあれですかね?」


「思い当たることあんのか?」


「多分ですけど僕らが知ってるのだとすると、デ豚の事だと思います」


「今なんかとんでもない悪質な悪口を聞いた気がするぞ」


「デ豚がグレートオークって言われてるのだとしたら、何であんなのが討伐対象なんですかね?ただの二足歩行の霜降豚ですよ」


「可愛い顔してるのに、無茶苦茶言うなお前たち」


「だってルドラさんたちが出ていって倒すようなレベルじゃないですもん。僕らでもワンパンで肉片に出来ますよ。まぁしませんけど」


「だから発言が怖いって」


「でも変ですね……アイツらが入り口まで来るなんて。まぁいいや。あ、そうだ!行くなら暖かい服装を推奨しますよ。霜降豚は結構寒い地にいます。」


 可愛いらしいお顔のデーモンパンダ君たちに居場所を聞いた。

 何やらライ麦畑に居るらしい。


「いやいやいや、ちょい待ちなさい。

 入り口まで来ないってどういうことだ?」


「はい。実はデ豚たちは非常に警戒心が強く臆病な生き物なので、通常誰かと鉢合わせになることを避ける習性があるのです」


「なるほどな。1つ聞いていいか?」


「はい。なんでしょう?」


「その中に言葉を話せる個体は居たか?」


「言葉ですか?いえ、私たちの知る限りでは居ないですね。本当に二足歩行するただの霜降豚ですよ」


「口悪いなぁ……」




 北に自生してあるライ麦畑か。

 ついでにライ麦も採取して帰るかな。



「なぁ、あいつらが言ってたように防寒対策はしなくていいのか?」


「必要ないだろ。お前は結局の所、全身鋼の鱗だし。それよりも俺たちは寒いときは暖かく、暑いときは涼しくと体を変化させられるじゃねーか」


「まぁそうなんだが、パン太郎の一族でも寒いと言ってるから少々不安になってだな」


「あーそういうことか。それはな、パン太郎は神化してるから大丈夫だが、あの子達はその能力を持ってない」


「え?そうなの?」


「いや、いい加減お前も誰かを見るときにまず神眼を使えって言ってんだろ?初期スキルくらい使いこなせよ。何千年経ってるんだよ」


「ははは。すまんすまん」


「お前もそういうところはソールとどっこいだよなぁ……」


「まてまてまて!アイツと一緒にするな。アイツは天才的なアホだぞ」


「ははは。ぶっちぎりだからな、アイツは。本来ならアイツと今こうやって旅をする予定だったんだが、なぜか神として活動することになって……

 神になり世界を纏めあげるまでは、本当にドタバタだったなぁ」


「俺も途中からの参戦……いやまぁお前からウンコしてるときに強制的に召喚されたに過ぎないが、お前の忙しさはよく分かっている」


「その件は何度も謝っただろうが」


「あのなぁあの瞬間にどれだけ準備を整えたと思ってるんだよ。ウンコだぞウンコ」


「連呼するな!」


「いやだってよ!ウンコが出る瞬間に召喚魔法が始まったから、思いっきり引っ込めて格好いいポーズを決めて待機したんだぞ!」


「汚いわ!つーかケツ拭けよ!」


「言っとくけどケツ拭き習慣があるのは人族とエルフくらいなもんだぞ。ったく神経質なんだよお前らはよ」


「拭かねーとケツがムズムズしない?」


「それは歴史と慣れだな」


「……そこはよぉ慣れないように歴史を繋いでほしかったなぁ……」


「そんなことよりも着いたぞ」


「あ、ああ。おー!一面ライ麦畑じゃねーか。豚は……豚、豚、豚、豚」


「豚いねーなー」


「もっと奥に進んでみよう」



 俺たちは着いてから、結構奥に進んでみた。

 すると、見るからにそれだろ!っていうような洞窟を発見した。



 だが1つ俺たちの中で思い出した言葉と共に疑問が生じたのだ。



「あのさぁ、まぁ確かにここが住みかって事は言うまでもないんだけどさぁ。パン太郎の一族が言ってたように、こんな奥地まで入ってこないと出会わないって事だよな?なんで討伐対象に指定されるんだ?」


「確かに危険は少ないな。これなら立て札だけ貼っとけば問題なく共存できる」


「何か別の意図があるな」


「調べよう。健汰」


「そうだね。恐らくギルドは……依頼者から何も聞いてないだろう。それどころか虚偽の話をされて信じて討伐依頼を出している。そうとなればギルドと密接になってる権力者。と、仮定できる」


「ああ、恐らく健汰の推測が1番太いラインだろうな」


「だったらグレートオークから情報を抜き取るか」


「そうだな。いや、それしかなかろうな」



 俺たちは豚さんを誘き寄せる為に豚さん専用であるフェロモンの香りを解き放って暫く様子を見ることにした。


 ブヒブヒと集まってくる豚さん御一行さま。



「よし行くぞルドラ」


「おう」



 " ブッヒー!ブッヒー!ブッヒー "


「うるさい……少し寝ててね」


 俺は集まってきた10数頭のオークを眠らせた。すると遠目からでも分かる一際大きなデ豚、ではなくグレートオークが登場した。


 勿論言葉を話せない動物ゆえの行動、彼らなりに状況を判断して直ぐに敵対行動、即ち攻撃を仕掛けてきた。


 攻撃力だけを見ればギルド的には討伐対象になれるだろう。

 しかしながら今回、俺とルドラの目的は違う。



 討伐対象にされてしまった経緯の抜き取りである。


 あー、抜き取りってのは一旦行動不能にして脳から直接情報を読み取る。

 殺す殺さないは情報次第でいいと考えている。



「本命さまのご登場だな」


「ルドラ眠らせといて」


「俺はその間に情報を読む。

 ふむふむ。はぁ……やっぱりこのパターンか」


「どうだったのだ?」


「仮説的中だ。彼らは犠牲者で自分達の欲望のために利用されただけだ」


「しかし目が覚めてもコミュニケーションが出来ない以上は、またいずれ誰かに利用されかねないぞ」


「そもそも、なぜこいつらはここまで退化したのかね。グラドが言ってたように二分化してたのは確かだが、ここには話せるヤツが1頭もいないじゃないか」


「しかし、そのグラドもいないし……困ったもんだな」


「アイツは神になって種族を見守ることよりも、オークとして天寿を全うする道を選んだからな。だからこそオーク族を委任という意味で放置してた。これは俺の判断ミスで起きた事件だな」


「どうする?」


「ただのお遊びで下界に降りてきたつもりだったが、これは神の仕事になりそうだな。仕方がない……この子を特殊種族(眷属)にする」


「いいのか?今後はこの世の断りを書き換えないって言ってたじゃねーか」


「ああ。俺はな、この下界に置いて討伐対象はモンスター化してしまった種族ならば許す。しかしコイツは、コイツらは一切何も害を与えていないのが分かった。

 それに害を与えない種族に共通しているのは会話、つまりコミュニケーションが取れる事と長が居る事だ。

 嘗て共に生きたグラドの働きにも免じて、俺は神としてこの子達に慈悲を与える」


「では助けよう。コイツら全員を」


「ああ。ルドラ、ラスクを呼んでくれ」


「承知した」



 ルドラは神界へ通信を行いラスクと連絡を取った。


「久しぶりですね!ルドラさん!神様が何処に行ったか分かります?報告書を持っていったらそのー、レインさまが激おこでして……今も横に……」


 顔面蒼白の健汰が声を絞り出して言葉を発した。


「レレレ、レイン……」


「旦那さま。なにゆえ神としての仕事を放棄して下界へ遊びに行ってるのでしょうか?説明をお願いできますか?」


 全力ビビりマンに変貌した健汰ではあったが深呼吸して自分の状態を整える。


「ふー……レイン。説明というか言い訳は帰ってするし説教も受ける。

 だが今は急を要する。ラスクと話に集中したいから割り込まないでくれ」


「承知いたしました」


「ラスク、昔グラドというオークが居たことを覚えているな?」


「勿論です。グラドは大切な親友でした」


「ああそうだな。そのお前にとって大切なグラドの一族が今、討伐対象として扱われている」


「そんな!なぜですか!?」


「全貌は不明だ。理由は今のオークに会話が出来る者が1頭も居ないからだ。また、その理由も不明だ。お前は元々犬人族、いわば獣族だ。

 獣族が持っている共通の能力である他種族対話で力を貸して欲しい。

 更に今回はオークが望むのであれば、お前の眷属にしてあげてくれ」


「承知しました。ありがとうございます神様。私はどうしたらよいでしょうか?」


「ソールと共に下界に降りてきてくれ」


「ソールがなぜ必要なのだ?」


「次の討伐対象の事も考えてだ。何もなければいいが、万が一に備えてな。」


「万が一?」


「もしまた眷属契約が必要だった場合、眷属として選ばせてあげたい。リザードマンの下か。竜族の下か」


「なるほどな」


「話を戻すぞ。ラスク、ダッシュで降りてこい。それとこの通信をこのまま秀光に繋いでくれ」


「父上、お話は伺っておりましたので全て理解しております。父上の居ない間の神界はお任せください」


「宜しく頼むよ」




 数分の時間が経ち、ラスクとソールが合流した。




「健汰、ルドラ!久しぶりだな!久しぶりの下界だ!ワクワクするな!」


「バカかお前。話聞いてなかったのか?

 まぁまぁシビアな状況だぞ……」


「いや健汰よ、今更言ってもだぞ。こいつのバカさ加減は。時間の無駄だ」


「そうだな」


「あっさりと久しぶりの俺を一言で片付けるなよ!寂しいじゃねーか!」


「分かったから。取り敢えずまだ出番じゃねーから一旦黙れ。命令だ」


「はっ!…………

 ずっりー!神の命令はズルいぞ。俺たち眷属は絶対に逆らえないからな……」



 取り敢えずうるさいトカゲには静かにしてもらって本題に入ろうと思う。



「ラスク。この子を見てどう思う?」



 ラスクは獣族がゆえの技能を色々と持っている。


 ・言葉が話せない他種族との対話

 ・種族間に関係なく種族の状況掌握

 ・嫁によって育てられた絶倫(被害者と言っても差し支えない)


 他にも色々と優れたスキルを持ってはいるが、今回必要なスキルは上2つになる。



「確かに仰る通り、この現代に置いては種族の間で言葉を使えるオークは居ないです。少し歴史を遡って探ってみますね」



 ラスクはオークという種族の莫大な歴史を遡り探り始めた。


 ちなみにこれは俺に限らず神化してる者なら誰でも出来るが、結局のところ種族の相性も重要な要因になるので今回はラスクに依頼したという流れだ。



「分かりました。そんなに昔ではなく今から200年前に言葉を話せる最後のオークが死んだことにより、対話スキルを持ったオークは絶滅したようです」


「わりと最近だな。死因は?」


「……殺されたみたいです」


「誰にだ?」


「ジ、ド?ジドという名前で種族は、え?なんだこれ、そんなわけない」


「なんだ?」


「ダ、ダークエルフです……」


 俺は直ぐに通信を神化した主要幹部全員に回線を開いた。


「全員聞こえるな。今から言うものは全員下界に降りてこい。

 ウラン・オルタ・レイン。

 この3人は今直ぐに下界に降りてこい」


「神様、どうして妻を呼び寄せたのですか?」


「他種族による陰謀で今後尋問が必要になったとき、ウランより尋問が優れた者はいない。君の奥さんは優秀だよ。

 まぁ超絶ビッチではあるけどね……」


「ははは。確かに最後の評価は夫として毎晩自覚しております」


「その報告はあんまり要らない情報だったな」



 こうしてビッチ……いや、ウランの話をしていると呼ばれた3人が下界に降りてきた。

 これはこれで懐かしいメンツが揃ったのである。



「旦那さま……」


「話は聞いていたよね?原因は分からないけど、どうやら200年前に言葉を話せた最後のオーク殺した犯人がダークエルフだそうだ。

 これはレインに説教される覚悟で話すが元々下界に来た理由は、俺がこの世界に来た当初にやっていた仕事でトップ取ってやろうかと思って、気晴らし気分で来た。

 そうしてギルドで登録を済まし討伐依頼の出てる任務を引き受けたところ、この子達を討伐するに当たって様々な謎が生まれた。

 ラスクによって種族の歴史を調べてもらったところ、200年前にダークエルフの手で言葉を話せる最後のオークが殺されたことが分かった。

 オルタは自身で経験してる通り、ダークエルフになると自身の意思と反して心を失った道具になる。

 その為、本当にダークエルフが関わっているなら君たちの能力も必要だ。

 そしてその場合は必ず背後に何者かがいる。

 その際に必要な人材がウランって事だ。

 理解できたかな?」


「うん。今回の任務については理解したよ。でもね、下界に気晴らしに行ったのは別の話だから全てが終わったら、ゆっくりお話ししましょうね」


「……は、はい」



 俺は思った。もうレインに言い訳するのは辞めようと心に誓ったのである。



「ラスク、ダークエルフの場所は分かるか?」


「あ、はい。たぶん分かると思うのですが、その為には一度この子を起こして対話をする必要がありますが、よろしいですか?」


「ああ。構わない」


「はい」



 ラスクに言われたので強制睡眠を解除した瞬間に暴れ出そうとしたところ、ラスクにより指1本で制御(お座り)された。



「どうだ?」


「分かりました。ここから北側に見えるあの山脈からダークエルフが執拗に攻撃が来るようです」


「名前はジドか?」


「そうみたいです」



 オルタとレインが驚いた表情を見せる。



「ん?どしたの?」


「旦那さま、あの……そのジドって名前が本当なら私たちは知っています。

 ただ、エルフの寿命を大幅に越えてますし、下界の者にはあり得ないことです」


「健汰さま、ジドとは俺とレインにとって幼馴染みの子供です」


「なんかこれ、すんごい面倒に臭いがしてきたけど、ここまで来たらなぁ。

 もうやるしかないな……」


「まぁそうだな」


「よし!皆で行こう!」



 本当に気晴らしできたのになぁ……

 すんごい面倒な事に巻き込まれた気がする。

 結局さぁ下界でも神の業務をやってんじゃないのよ!


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