冒険者始めました③終話
長々とお待たせしてしまいました。
これで一応全ての作品が完結しました。
次回作の構想はありますが暫く出すことはないと思いますが、また作品を出しましたら皆さまよろしくお願いします(^^)
ジドは幼馴染の子供かぁ、んー……ありえんだろうよ普通に考えれば。
俺たちは各種族の神や、その系列に成している。
ゆえに寿命はない。
元々人間だった俺ですら既に数千年の間、存在し続けている。
恩恵を受けてない者が天寿を超える命を得ることは断じて無い。
まだあくまでも仮定に過ぎないのだが、考えられる事は2つある。
1つ目は、まぁこれが王道だろうが”呪い”により死ねなくなった。
もう少し詳しく言うと、呪いにより死んでるのにまるで生きてるかのように生活している。
ゾンビではなく、魂が抜き取られないがゆえに肉体の崩壊もなく半ば永遠の命になることだ。
これはこれで可哀想ではあるが、大体何かやらかしでもしないと呪いなど受けないから自業自得な所もある。
そしてもう1つの考えられる線だが……
これはぶっちゃけ、あまり考えたくないことだ。
だが十分に有り得ることなので万が一には備えておくつもりだ。
以前、紅羅真を生き返らせたときに微量ながら、もう1つの魂が付着していることには気付いていた。
気付いていたが、これはどうにも仕方のないことでもあった。
同年同日同時刻同タイミングに死んだものを生き返らせると、生き返らせる予定のない魂や魂の残存が付着することがある。
本来であれば時と共に薄れ消えていくものだが、紅羅真に付着しているものは"アイツ"だ。
完全に禊をしておけば、このような杞憂など生まれなかったのだが……
これは俺の落ち度だ。
このパターンだった場合は非常に面倒臭い。
なぜなら、肉体は別の者になるからだ。
なぜ面倒かと簡単に説明すると、肉体と魂が一緒であれば、それを消せばすぐ終わる。
だが肉体と魂が別であれば切り離して魂のみを消す必要がある。
両方のパターンも呪いにより生かされてる事は間違いない。
だがこのパターンだった場合、肉体の魂と切り離すと勝手に新たな器を探し入り込む危険性があるので、くそほど神経を使う。
あー……まじで面倒くせーわ。
じゃあ、奏汰を生かしてあげればいいじゃんって思う人達も居ると思うけど、俺は絶対に生かさない。
野心大きく反乱の可能性を大いに秘め、最悪サミュエルまでも転生させようとするアイツだけは生かすことが出来ないのだ。
災いしか生まぬ混乱の火種というのが俺の見解だ。
これには皆も納得してくれている。
でもさぁ、俺遊びに来ただけなのに災いに巻き込まれるの嫌なんですけど。
こんなん、体は子供!頭脳は大人!って言ってるメガネ小僧と一緒じゃないのよ!
おまけにさ!神界から鬼まで来るしさ!
「旦那さま……旦那さま」
はぁ俺って本当に災いから好かれてんのかね?
「旦那さま」
「ん?どうした?レイン」
「神界からの鬼とは、もしかして私の事でございますか?」
「ん?え?いや、あの……え?あれ?も……もしかして俺、声に出してたの?」
「はい。遊びに来ただけというお話からは全てお伺い致しましたよ」
「お……鬼は、れれれレインの事じゃないよ……」
「では誰のことですか?」
「あ、あれだ。ルドラだ。うん。ルドラのことだ」
「そうでしたか。しかし仲良くお二人で出て行ったルドラ殿が鬼とは……やはりルドラ殿を鬼と考察するのには無理がありますよ」
「け、健汰……ご、ご愁傷さまだ。合掌」
「れれれレインさん?あ、あれは言葉の綾で御座いまして……あのーそのー。す、すみませんでした」
「いえ。問題ありませんよ。今は……」
この時、俺の全身から大量の発汗と恐怖に支配された心が生まれたのは言うまでもない。
ごほん。話を戻そうではないか。
うん。戻させて!
一時でもいいから忘れさせて!
おねがーーーい!!
俺の未来に暗雲が齎されてる間に、ダークエルフが住んでいる山に到着した。
「ここか」
「なーんか、如何にもって場所だな」
「ルドラ、この山全部に索敵してくれ」
「分かった」
ルドラによりアリ1匹逃す隙間のない高密度な索敵が行われ、ダークエルフの居場所を探知した。
しかしまぁ相変わらずエグい精度だ。
「見つけたぞ。捕縛するか?」
「いや、普通に対面しよう」
「大丈夫か?」
「まだ確定的に、ただの罪人とは限らないしな。
それにぶっちゃけ如何なる相手だったとしても、俺たちが負けることは絶対にない」
「了解した」
「あ、ただ包囲だけは完成させておこう。
全員、魂を絶対に逃がすな。これさえ逃さなかったら面倒なことにはならん。いいな?」
「承知!」
うん。相変わらずコイツらは仕事とプライベートをしっかりと切り分けてくれるから、本当にやりやすい。
俺は少し安堵していた。
最悪のシナリオにならずジドの闇落ちという実に楽勝展開だっただけに、心の中で俺はこう呟いた。
神様ありがとう。
自分に祈ってどうするんだって話だけどね。
仲間たちが包囲してくれてる間に、さっさと事を済ませようと思う。
「やぁダークエルフのジド君。君の悪行の数々、遂に俺たちの耳に入ってきたのだ。君がダークエルフに落ちる前、どんなエルフだったのか?最早今ではどうでもいいこと。これ以上は見過ごせないし君の言い分も聞かない。
君が苦しめてきた多くの種族に対し罪を償ってもらう」
「神か……殺してくれ」
「いいだろう。殺すというより、魂そのものを消滅させる。ここに君の両親と近しい者たちが居る。普段は彼らの思いを汲み恩情を掛けるが、今回はなしだ。君は魂から消滅し二度と復活することは出来ない。魂は洗浄され別の何かに生まれ変わるため再利用されるだろう」
「お願いします」
「1つだけ君にはバツを課す。それは今の苦しみよりも何十倍何百倍も苦しい罰だ。
君は死を迎えたあと魂が消滅するまでの間、何度も何度も罰を受けてもらう。
君の過去や君の呪いがどうであれ、きみのやった罪は非常に重い。
種族の知恵を奪い、種族の使役化。種族間抗争を起こし大混乱を齎した。
万死に値する罪だということを胸に刻み、死後に償ってもらう」
「分かりました……」
「レイン、オルタ。残念ながら恩情はなしだ。
いいな?」
「承知いたしました」
「何か話したいことがあれば、今のうちに話しておけ」
「健汰さま、私もダークエルフでしたが恩情を頂きました。なぜ私は助かり彼は助からないのでしょうか?」
「あの時と状況が全く違う。
お前はサミュエルに洗脳と支配を受け行っていた悪事だ。ジドは……ジドはお前たちが思っているような男ではない。ダークエルフに落ちる前から様々な悪事を働いていた。自然の摂理でダークエルフに闇落ちした。言わば自分の意志で闇落ちしたのだ。
そして闇落ち後も世界を牛耳りたいという欲にまけ更に悪事を重ねていき、今ここにいる。
情け容赦をかけれない、ただの罪人だ」
「なんと……大馬鹿者が!!
ルーフがどんな思い出お前を育ててきたと思っているのだ!」
「親父は母さんが死んでから人が変わったように俺を見放した。1度も優しさをくれなかった!
あんな奴!俺の親父じゃねー!」
「何言ってやが……!」
「だから殺したのか」
俺の言葉でエルフたちに動揺が広がった。
「殺した?父親を……殺したっていうのか?」
「殺して何が悪い!あいつが母さんを殺したようなものじゃないか!俺は母さんの敵を討っただけだ!殺して何が悪い!!」
「お前の母は病死だよ。エルフにとって不治の病に罹ってしまったんだ。延命するために必要な薬草を買うためにお前の父は必死に働いていただけだ!何にも知らず逆恨みをして殺すとは……俺はお前を絶対に許さない!」
「もういい!オルタ、黙れ。
こいつも実のところ分かっているんだ。
大罪を犯してしまったこと。罪を罪で洗い罪を重ね続けてしまったこと。
だからこその罰だ。
ウラン、事後処理を宜しくな」
「分かったよー。健汰はどうすんの?」
「俺とルドラは取り敢えずギルドに任務完了を伝えて直ぐに神界へ戻る。後のことは任せるぞ」
「おっけー」
これにて見苦しい騒動は一応の完結を迎えた。
ギルドに報告したところ、現状のSランク冒険者でもなし得なかった大業に評価が爆上がりし前代未聞のSSランク冒険者の称号を得てしまった。
物凄いお祭りムードではあったが、我に返ったときに鬼嫁の顔が思い浮かび酒も飯も喉を通らなかったのは言うまでもない……
俺とルドラの冒険者ツアーは終了し神界に戻ったときには、ウランたちが事後処理を完璧に終えていた。
流石できる仲間たちだ。
ジドは甘んじて罰を受け入れ地獄の苦しみを耐え抜く日々を送っているとか。
良い心がけだ。
俺はというと、帰ってきた直後は恐らくジドよりも地獄を見た!という自負がある。
今はいつも通りの激務に追われながら生活をしているが、今までと変わった点が1つだけある。
なんと!俺の執務室とルドラ、ソールの執務室に大量の監視カメラが取り付けられた。
更に新たな部署が設立され、監視課という部署が設けられた。
単純に鬼嫁3人による日々の監視である。
さらに鬼嫁たちに降った者たちも多数。
というより嫁同盟が出来て監視下に入った旦那たちが従っているだけなんだが……
そんな鬼嫁同盟に対抗して最近密かに社畜ならぬ嫁畜同盟が結成された。
我ら嫁畜同盟の会長は勿論ソール。
情報共有のために会長より毎日回覧板が回ってくる。
回覧板といっても中学校の時に授業中回していたノートの切れ端に書いたメモみたいな文通。
だって大々的にやれないじゃん!
それもこの前見つかって俺たちは即座にソールを売って事なきを得た。
やっぱり会長に責任を取ってもらわないとね。
まぁこんな感じで虐げられた生活をしながらも、やるべき仕事は全うし下界の平和も改善され、俺たち以外には平穏が訪れたので良しとしよう。
最近では息子世代の成長も著しく、本当の世代交代も近々なのかなぁ?って思ってる。
親としては嬉しい限りだ。
長々と続いた俺の物語は一応の終着を迎えたようだ。
いずれ息子に代を譲るときまで、もう少し頑張るとしますかね。
なんせこの世界には俺が必要みたいなんでね。
完




