英雄神の再誕。世界の安寧と必須な男。
卵となり眠りにつき2000年以上の歳月が経過しているようだ。この年月の間、息子や孫に曾孫たちより事の成り行きは聞いている。
孫の桜花にも" 子 "が産まれたようだ。話は聞けるものの実際に見ることが出来ない。
うん、実に見てみたいが……それよりも相手誰やねん!実に腹立たしい。
あ、そうだね。これは少し説明が必要かもしれないから先に話しておこう。
本来は100年で戻るって話はしてたと思うけど、実際は戻らなかったんだ。
孫の桜花との約束で100年後に会うと約束したものの、仲間と卵の状態になってから話し合いを重ねた結果、俺たちはここのままでいいのではないか……という結論に至っていた。
しかし息子や孫は今一度会う事を切望している。
なんでも曾孫世代の出来があまりよろしくないらしい。
このまま世代交代をすれば、3回目の混迷を来たす可能性があるという。
というよりさ、3回だったらまだいい方だと思うんだが、この世界の住人は考え方が極端だから可能な限り混迷なき世を続ける必要があるようだ。
これはつい最近の話になるんだが、孫の世代たち一同が俺たちの元へやってきた。
最初はいつもの世間話かと思いきや、全員が自分達の不甲斐なさを謝罪しに来たのだ。
桜花の涙……また泣かせてしまった。1番見たくなかった、あの子の涙。
「お祖父様……申し訳ありません。私たちの子供世代に特筆した者は残念ながらおりません。どうすればよいのでしょう……ねぇじーじ、助けて」
桜花は人払いをし号泣しながら俺に、俺たちに訴えかけてきた。
桜花が帰宅した後、ソールが話しかけてきた。
「健汰、これ助けた方がいいんじゃねーのか?流石に世界が混迷する可能性があると言われちゃ、このままって訳にはいかねーと思うが……」
「分かっている。だがよぉ、これもし俺たちが死んでたとしたらどうなんだ?もう世界を救えるのは生きている奴らしかいねーんだぜ」
「それはそうなんだがよ……そもそもこの世界が1つに纏まったのはお前という神が現れての事なんだぞ。だからその、何て言うか……」
歯切れの悪いソールに対しルドラが核心を突く。
「お前が戻れば世界は落ち着く。お前にしか務まらんと言うことだろう。代替わりするにしても最悪に備えて、お前が存在し続ける事が条件なのだろう。お前がバックに居たから秀光は神の務めを果たせた。
しかし桜花から下の世代はお前が居ない新たな時代になった。
そうなったときに民は欲してしまったのだ。お前という神を。信仰し続けれる神の不在に不安が煽られてしまったのだろう」
「んー……そうなると、下の世代を助けるというより元に戻すということか。それが正解なのだろうか……」
「正解もなにもお前という神が誕生したとき、俺たちの脳内に刻まれた言葉がある。
お前が常々言われてきた言葉だ。
" 英雄神 " 要するにやはりお前以外神は務まらない。秀光や桜花が神を継いだが世界の民たちは現在の神が登場した時より、お前が登場したときの方が一際大きな歓声を上げる。それはやはり皆が魂で理解しているのだろう。この世界にはお前が必要だと……」
すると忠臣であるリコ・ピン・パン太郎も懇願してきた。
「私たちも同じ思いです。どうかご復活をなさってください」
ウランからも安定のビッチなアホ回答が返ってきた。
「やっちゃえばいいんだよ。あっちの方もやりたくなったらやるでしょ?」
「うん、お前は一旦黙ろうか。
んー……俺はな、何もしないことが正解のような気がするんだよ。さっきも言ったように死んでたら生きている者で、何とかするしかない。今居る者が統治して荒れてしまっても、それはまた仕方のない事だと思う。こうして世界は次世代に託していくのだから」
「そうなんだけどよ、今俺たち死んでないし」
「でも存在していないようなもんじゃん。それにな、脳内で神の名を刻まれたって言うけどさ、それは秀光の時も桜花の時も一緒じゃん。俺はさぁこの世界に来たときから実質神の資格を持ってたらしいから、そこら辺の事は良く分からねーけど、どう違うんだ?」
ルドラはある伝承を伝えだした。
「俺たちも上手く説明が出来ねーんだが、まず状況から説明すると、脳内に刻まれるのは新しい神の誕生と名前なんだ。
ここからは先祖代々伝わる話なんだが" 魂に刻まれし神。此れ則ち真の神なり "って言葉があるんだよ」
「すげー今更感ない?」
「ま、まぁ否定はせぬ」
「だとしても結局は神としての力が減少すれば、代は変わらねばならん。変わった神が魂で刻まれてないって理由で混迷を来してちゃ、キリがないぜ。そんな理由で度々崩れる世界なら、いっそのこと消した方がいいんじゃねーの?アホらしい」
「お前の言い分も分かるぞ。でもな……そんなもんじゃねーのか?
心から頼れるものが居なくなった、代わりの者が誕生した。だが皆が本心で求めるものは前の者だった場合、その小さな思いの綻びは段々大きな渦を巻いていき混迷へと進んでいく。
いつの時代も、どの世界でも同じだと思うぞ」
「勝手すぎんだよ」
俺が渋っていると痺れを切らした女性がいた。うん。あのお方ね……
「旦那様……それが神というものではないのですか?人々を導く、世界を導き安寧を齎す存在の宿命ではないですか?
今回はいつものように、あなたの妻として折檻は致しません。この世界の住人として意見を言わせて頂きます。
私たちの子・孫は引き継ぎをされた神としては、良く頑張っていたと思います。平和を維持する努力も怠っていなかったように思います。
しかしながら絶対的に信頼し崇拝し安心できる神ではないと思います。
この世界の神には、武力・知力・指導力・慈愛・魅力・自信が必要になります。
その全てが揃い民たちの信頼・崇拝・安心の3つを得る事が叶い世界は平和を維持できるのです。
秀光は自信が欠けていました。
桜花は後人を育てる指導力が欠けています。だから曾孫の世代が育たなかった。
桜花は完全な武神ですので恐らく丁寧な指導が出来ないのでしょう。
ですが旦那様は全てが揃っています。だからこその英雄神なのです。
旦那様、勝手を言ってるのは皆重々承知の上です。どうかお願い致します。世界を守ってくださいませ」
なんなんだろうこの感覚。転移前は誰からも必要とされなかった。寧ろ煩わしいと思われていた類いの虐待子だった。
親に愛されず、兄弟には蔑まれ、学生時代も孤立し社会人になっても虐められていた俺。
毎日毎日、なんのために生きているのか分からなかった。
辛かった。
逃げ出したかった。
助けて欲しかった。
友達が欲しかった。
家族が欲しかった。
愛されたかった。
心の底から笑いたかった。
全て叶わないものとして心を無にして生きてきた。
そんな俺は突然家ごと異世界転移をしてしまった。普通の人なら絶望し卒倒すると思う。でも俺は何故だか安堵した。
やっと地獄が終わった気がしたのだ。
まぁ最初に会ったのが頭の可笑しい天使だったから和んだのかもしれないが……
取り敢えず生活してみることにした俺に会う奴のほとんどが、同じ言葉を告げる。
神様と。最初は気にもしてなかった。エンジョイライフだけを考えていたってのが本音なんだよね。
変態のリザードマン・ビッチな魔人・喋る刀・糞デカいパンダ・栄養成分のような名前の従者・オムツのような名前の奴・鬼嫁に変化したエルフ・どこか抜けてるドラゴン。というか、大体皆クセ強め。
それでも俺には大切な友であり仲間であり兄弟であり家族である。
それは本当に変えがたいほど大切な。
だから俺は何事も1人で決めていない。必ず皆と相談して決めるのだ。
神になるときも、代を譲るときも、今この状態になるときも。
しかし、この件に関しては俺も譲れないところがあった。
それは託されたものたちの甘えだ。
俺が居るからなんとかなる。助けてくれる。その考えは何千年経っても変わらなかった。
だから俺は物理的に相談が出来ないようにした。自分達で新しい世界を切り開いて欲しかったから。
結果は……はぁ、今一度教育をし直す必要がありそうだ。
それにあそこまで言った、アイツらからのお願いを無下になんか出来ないしね。
「あーも!うるせーな!分かったよ。じゃー全員目覚める準備はいいか?」
皆の言葉に力がこもった。
「おう!!」
「では、転生開始」
時間にして3日くらいだったであろうか。
まずは俺が再誕して、1人また1人と元気があり余ってた当時の姿でカムバックした。
体を動かしながらバカ代表が言わなくても分かる当然の事を得意気に喋り出した。
「うむ。やはり体があると落ち着くな。動けるって素晴らしい!これでまたバカ出来るな!」
「いやお前は行動全てがバカだから、もはやどれがバカかわからん」
ルドラ、ナイス突っ込み!って俺は思った。
って談笑をしているが、ここは別空間。
俺は事も無げに結界を解除し神界へ戻ってきた。
まずは俺たちが老後に住んでいた空間へ。
「うん。見事に荒れ果ててるね。引くほど腹立ってきたよ。あいつどこ行った?ぶっ飛ばさないかん」
「あ、来たみたいだぞ」
「父上ー!お戻りになられたのですっグッヘェーーー」
俺は秀光の顔面をおもっくそ殴った。
50mくらいはふっ飛んだだろうか。我ながらまだ甘さが抜けておらん。
どうしても可愛さの余りに手加減してしまうなぁ。
ご覧のように秀光の悪いところはもう1つあるのだ。任された事すら出来ない。
全く……たかが二千年の任務というのに。
あ、ちなみに秀光ぶっ飛ばしたあと、鬼嫁からしこたま怒られたのは言うまでもないよね……
「秀光、いつまでそこで寝ている。行くぞ、この世界の中枢へ」
「はっ!」(超痛いんだが……えっと鼻血止まらないんですけど……あ、あーそこはガン無視なんすね。いやまぁ僕が悪いんですけどね……フルパワーの父上エグすぎるんですけど)
「何してる!秀光!」
「も、申し訳ございません!」(こっわ……父上のあんな姿、初めて見る。これは余計な事をすると雷が落ちるな。あ、父上にも……)
秀光を連れた一同は世界の中枢である桜花の元へ向かった。
到着し下界を見下ろした健汰は一言呟いた。
「なるほどな」
ルドラはシンプルな疑問を投げかけてきた。
「どういうことだ?」
「あ、ああ。全然変わってねーなって思ってな。悪い意味でだが……」
「そうか?町は発展し経済も上手く回ってそうだぞ?俺たちが居た頃より良くなってるようにしか、俺には見えねーけどな」
「それが全てではないだろう。確かに経済の発展と町の成長は大切なことだろう。
だが民が心から笑いあっていなければ、それは安寧とは縁遠い。俺は1つ過ちに気付いたよ。
この世界において神の代替わりは、ほとんど必要のないことなんだな」
「ああ、そうだな」
俺自身が民を苦しめてしまったようだ。
今一度俺が皆に安寧を齎そう
俺は再度大きな覚悟をもって桜花の元へ向かった。
桜花は俺の顔を見るや、鼻水・涙・よだれを全力で滴しながら抱きついてきた。
き、汚い……
「お祖父様!お祖父様!お祖父様!」
「何回も呼ばなくても分かったから」
「戻ってきてくれた……戻ってきてくれた」
久しぶりに見る桜花は素敵な女性に成長していた。
妖艶差がありながらも強き者しか纏えぬ闘気を全身に纏っていた。
いい面構えになってんじゃねーか。って俺は思った。だから桜花に神をこのまま任せたいってのが本音だったんだけど、それじゃ何も変わらず前に進めない。
今回ばかしは俺が全ての責を負う必要がありそうだ。
その後、俺たちが死んでしまった後の世など知らん。勿論いい状態を維持して欲しいが、自分のいない世の中なんぞ心配しても仕方ないしね。
せめて自分がいる間は、誰にも泣いてもらいたくない。
なぜならそれは俺が英雄神だからかな?
「よしよし桜花、大変だったな。あとの事は全てじぃちゃんに任せなさい」
「うん」
桜花はまだ子供なのだ。無理をさせてしまった。
子供?ん?なんか子供居るって言ってなかったっけ?
「お、桜花、お前子供が産まれたって言ってなかったかね?」
「うん!産まれたよ!可愛いんだよ!ちょっと待っててね、連れてくるから!」
……………………
………………
…………
……
「NOーーーーーーーー!!!!!」
「健汰!落ち着け!白目向くな!あ、いかん!コイツ泡吹き出した!」
「神様!正気を保ってください!」
「こっちではルドラが暴れだした!ダメだ!収集がつかん!!秀光何とかしろ!」
「む、む、む、無理ですよ!桜花早く帰ってこい!桜花!!」
「なーに?父上。あれ?お祖父様たちどうしたの?」
「お前に子供が産まれたと聞いて、暴れだしたのだ……ちゃんと真実を話したのか!?」
「んーん」
「いや!言えし!ペットの犬って事を!」
「ん?犬?いーぬ……いぬっ!?」
「うん。ペットの戸河ちゃんが子供産んだの」
「紛らわしいわ!戸河て!俺やないか!なんちゅう名前付けてんの!?」
「可愛いでしょ?」
「そういう問題じゃないでしょ!秀光!お前ちゃんと教育しろよ!バカタレが!」
「いや、私はしましたからね!寧ろ甘やかしたのは父上のほうですよ!」
「……あなたたち。少し静かになさい」
「すみません。母上」
「お前のせいで怒られたやないか!」
「旦那さま……」
「あ、はい……すみません」
「本日は何をしにここまで来ましたの?」
「う、うん。そ、そうだ!
秀光!桜花!お前達の世代を全員集めろ」
「はっ!」
「うん。わかったよ」
そう言い残してアイツらは仲間たちを呼びに行った。その間に俺の仲間と妻にしっかりと俺の考えを話しておこう。
「お前ら少しだけ耳を貸せ。レインも。
今から俺が言うことに異を唱えるな。特にレイン」
「承知いたしました」
皆は当然だが、鬼嫁も察してくれたらしい。
「えっとな俺さ、戻るよ。お前達の思い、民達の思いに応える。正直さ、甘えてんじゃねーよって思いはある。でもさ、色々考えたんだけど俺やっぱりこの世界が好きなんだ。この世界の皆が好きなんだ。
だから世代交代するにも、もう一度根本から教育をし直して、心から認めてもらえるような神を育成するつもりだ。
お前たちも、そのつもりで頼む。
その為に秀光、桜花の世代を叩き上げる。その教育に関してレイン、口を挟むことを神として禁ずる。その他、この教育に携わる者の嫁たちも同様とする。
旦那に対しての強めの物言いはいい。しかし神に対しての物言いは、以降断じて許さぬ」
「承知した」
「承知いたしました。旦那さま」
「戻りました」
「ただいまぁー」
「うん、揃ったな。お前たちに話すことがある。俺は7代目の神として務めを果たしてきたが代替わりをし、今では9代目にまでなっている。しかし世界は良くなる所か次の世代が育ってない有り様だ。
お前ら今まで一体何をやってたんだ!」
少し強めに言ってみた。
「困ったら俺がいる。助けてもらえる。
その甘さがあるから世界の根幹を見ることが出来ないのだ!
分かってんのか!?お前たちは神なのだぞ!そしてそれに従事している者達なのだぞ!お前たちの行動が則ち世界の平和を左右するのだ!
それを分かってるのか!?なんだ!下が育ってないって!育ってないなら育つまで責任をもって職務を全うすべきだろうが!いい加減甘えてんじゃねーぞ!クソバカ共が!」
「ご、ごめんなさぁーい」
「…………」
号泣しだす桜花と何も言えない秀光。
ごめんね、桜花。泣かせたくなかったけど血の情と職務は別だから。秀光、すまん。
「旦那さ……」
「レイン。俺は先ほど口を出すなと言ったはずだぞ。いいな?次は許さんぞ」
「申し訳ございません」
「秀光、桜花。今回に限り俺はお前たちの要望を聞き届ける。それに俺自身がが招いたことでもありそうだし、お前たちには再教育を施す必要があると判断した。
そこで俺は今一度、神の座に戻ろうと思う。桜花、この世界の住人全てを会場に集めろ」
「承知しました。お祖父様」
桜花により下界に住む全ての者へ呼び掛けが行われた。
内容は9代目神より最重要なお知らせがあるから会場へ赴ける者は会場へ。厳しい者はモニターを必ず見るようにと。
民は思ったであろう。また世代交代か。
もう従わないとも思った奴もいるだろう。
安心するがいいさ……俺が皆を導こう。
皆の言う英雄神である、この俺がな。
呼び掛けも通じかなりの数が会場へ赴いたようだ。神界から見ていたが、うん、懐かしいメンツもいるな。
変わらず安定のビッチ属もいる。
「結構揃ったな。よし俺たちも行くか。
あ、そうだ。秀光、お前たちの世代はここに残り仕事してろ」
「えー!?」
「えー!?じゃない!アホかお前は。桜花たちが居ない間の現場はどうすんだよ。今回の話で唯一関係ないのはお前たち世代だろうが。経験もあるんだ、留守番してろ」
「残念ですが、分かりました」
留守番も任せたので俺たちも会場入りをすることになった。
まずは現在の神である桜花が壇上に上がり説明を始めた。
なかなか人気ではあるようだ。
「今回皆さんに呼び掛けをしたのは他でもありません。私は神の座を辞します」
「辞する?」
「辞するって……え?次の神は?」
「またか……よく交代するものだ」
当然ながら、善くも悪くもざわついている。俺が思ってる以上に民との溝が出来ているようだ。
「皆さんから色んな意見が出るのは当然だと思います。神が交代しすぎ、先代と私の任期が短いということ。
何より7代目が優秀すぎたと言うこと。皆さんにとって、やはり最も信頼できる神は7代目だと分かっております。私もそう思います。やはりあの方を越える神は存在しませんよね?」
「7代目は英雄だ!」
「英雄神だ!」
「この世界の唯一神だ!」
我ながら凄い人気……気持ちわる。
「先ほどもお伝えしましたが、今日この日、新たに神が変わり新たな世が幕を開けます。これが皆さんへ出来る私の最後の責務です」
そう言って桜花が壇上から降り、俺は空から壇上へ舞い降りた。
勿論仲間たちも皆、会場へ降り立った。
一瞬会場が静まり返り、" ドン "というような音を立て会場が大歓声に包まれた。
溢れる喝采。泣き笑いする民。安堵した表情に包まれる民。感謝する民。拝み倒す民。
一瞬で会場の空気が変わったのである。
「この世界の民たちよ。長い間色々と不安な思いをさせてすまなかった。
俺なりに考えての行動だったんだが、皆を余計に混乱させてしまったようだ。
新しい神が発表される前に、物凄い歓声が上がった所をみると皆感ずいてるようだね。
発表するまでもないかもしれないが、次の神は俺が今一度する」
「おぉーーー!!!」
「やったーーー!!!」
「ありがとうーーー!!!」
「ありがたやー南無南無!!!」
「次の世代に引き継ぐにしても、俺が今からしごいて引き継げるようなら、いつかは引き継ぐ。その時までは俺が神をし仲間たちが皆を支えよう!
民たちよ!今この瞬間より安堵せよ。
我、英雄神が今一度皆を導くことを約束する!」
「おぉーーー!!!」
「やったーーー!!!」
「ありがとうーーー!!!」
「ありがたやー南無南無!!!」
さっきから変なの混ざってる気がするが……ま、まぁいいか。
で、俺って今回、何代目になるんだろ……
んーーー……まぁいいや。7代目って事で通しておこう。皆が喜んでくれているし、それでいいや。
その後俺たちは神界に戻り役職の配置転換を始めた。何しろ3世代もの人材がいるからね、とんでもなく時間を割いたのを覚えている。
俺たち7代目世代が長として各部署に散らばり、そこに8代目と9代目が部下として加わる形となった。
ただし、8代目のレッドフィーアと桜花の世代で幹部に関しては見聞を広げる為に下界で旅をすることを命じた。
これは俺の経験上、そうした方がいいと考えたからだ。
結局のところ信頼信仰が得られない理由なんて単純な話だ。
実際に会って話をして、苦楽を共に分かち合えた神の方が親密度って高まるでしょ?
俺は見えないものは信じない主義だ。
だから、俺自身も定期的に民の前へ姿を見せる。安心させたいからだ。
秀光もだが、桜花に関しては全く足りていないと判断した。
この世界の民の寿命が平均して100年くらいになるから、その100年間だけ下界で暮らしてもらう。全て0からやってもらうつもりだ。
金がないならギルドに行けばいい。
自給自足でもいい。
何とでもなる。実際に俺がそうしてきたから。もう甘えは許さないと決めたんだ。
だってそれって結局アイツらの為にならないじゃん?
アイツらの仲間たちは帰ってきたときに、ある程度使える素材にまで叩き上げる。
勿論アイツらも帰ってきてからは、より一層叩き上げる。
俺たち世代は決めたんだ。
憎まれ役を買って出ることを。
甘やかすのは誰にでも出来るんだよ。でも甘やかすことが、優しさではないときもあるって事を理解してもらいたい。
間違いを正す優しさ。
間違いを起こさせない優しさ。
間違ってもいい。だけど、それを学習できない、学習しない環境が問題なんだ。
だから俺たちはアイツらを厳しく律する。
これが例えば、アルバイトとかであれば厳しく接することはない。
アイツらは会社で言えば会長・役員・社長になる為に存在する。
となれば、アホではダメだよね。
ってな訳で配置転換も終了し、不詳の息子と不詳の孫たちも旅立った事だし本格的に世直しを始めますかね。
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5000年後。
「秀光!桜花!お前らいい加減なれろよ!ポンコツ丸出しやないか!」
「申し訳ございません!父上!」
「お祖父様、申し訳ございません!」
「それだよ!仕事中は7代目って言えと何度言ったら分かるんだよ!」
「はい!父う、グッヘェーーー」
「なぜ5000年経っても学習できないんだお前は……あー頭痛い。ルドラ、パス」
「ふっざけんな!こっちも桜花だけで手一杯や!」
「レイン!秀光の教育係してくれ」
「大丈夫ですわよ」
「くれぐれも甘やかさないように」
「ふふふ。では昔の旦那さまに接してたように教育しましょうね」
俺はその時、久々に物凄く背筋が凍ったのを鮮明に覚えている。
当然、秀光は命乞いをするように懇願していたが……うん、アイツが悪い。
ドンマイ秀光。南無南無。
桜花もお目付け役を増やした。
聡明なドラゴンでもあるヴァイスである。
祖父の建琉とスレイさんも付けた。
このくらいのメンツで固めれば大丈夫であろう。大丈夫だと思いたい。切実に……
俺が復帰することになり、天に召された者たちも俺の独断で連れ戻してきた。
ブーブー言ってたが、事情を話したら直ぐに理解してくれた。やはりいい奴らだ。
5000年という歳月が過ぎても、この様っていったい……まぁそれだけ神を育成するのは難しいってことだろうね。秀光と桜花には言葉使いだけでなく、足りないところは探せば鬼のように出てくる。
はぁ……まだまだ隠居は出来ないようだ。
民からも仲間からも部下からも、結局毎回同じことを言われる。
この世界には英雄神が絶対必須だと。
もう少し英雄神として頑張ってみますかね!
完
とてつもなく時間がかかってしまった。
本当に最後の話しになりますので、時間を書けてしまいました。
我ながら良く頑張った笑




