最後の勇者 学パロ
ツイッターで仲良くさせてもらってる親友発案、最後の勇者で学パロです。
双子系列世界の現代日本、本編とは違う形で日常を送るヴィスシュウ&バレカラのお話。
細かいことは気にするな! が合言葉。
ヴァイスがシキのポジションにいるのに名前はヴァイスだったり、ヴィスシュウがしっかり成立してたり、ヴァイス兄が双理家の長男に居たり、いつもの4人が同い年だったりします。
「おはよう、ヴィス」
「ああ、おはよう秋」
玄関先で挨拶してきた幼馴染に返答しつつ、きっちりドアを施錠する。
「今日はヴィスが最後だったの?」
「ああ」
我が家……双理家は両親が共働きで、昼間は基本家に誰もいなくなる。
ゆえに最後に家を出た人間がドアの鍵を両方掛け、母さん謹製の結界を張る道具を起動させてから登校する決まりになっている。
「遊は文芸部に小説を提出しに、糸は部活の自主練に、兄さんは先生に質問があるとかで早めに出て行ったぞ」
「陽は?」
「あいつは俺と同じタイミングだったが、先に行かせた。シュウと二人で登校したかったしな」
「……ヴィス、そういうとこ」
「ははは」
さらりと告げてそのままシュウの手を握ると、シュウはもう片方の手で顔を覆って俯いて。
隙間から見える彼の頬は赤く、思わず笑みがこぼれた。
うん、今日も恋人が可愛い。
■
校門前。
「ヴァイス様ー!」
「カラミティ……」
ぶんぶんと手を振り喜色を振りまくこの少女は、カラミティ=フォルテ。
隣のクラスの秀才で、部活が同じなためたまに話す仲だ。
「おはようございます、ヴァイス様!」
「様付けはしなくていい」
「はーい」
(これは分かってないな……)
ニコニコと上機嫌なカラミティに内心で溜め息をついて、秋の様子を伺う。
「…………」
複雑、とはっきり書かれた顔にちょっと笑って、その頬をつまんだ。
「んえ?」
「顔に出てるぞ、シュウ」
今日は俺がそっちの部屋に遊びに行こうか、と囁くと、ぱっと顔が輝いて。
――単純で可愛いな。
なんて、本人に聞かれたら怒られそうなことを俺は考えた。
「カーラ、早いです、よ……はぁ」
「あらバレット、思ったより早かったわね」
息を切らしながら合流した少年……カラミティの幼馴染兼恋人に、彼女であるはずのカラミティはにっこりと笑顔を向ける。
彼はバレット=トゥライト。誰にでも敬語を使い話すが、恋人であるカラミティにだけは少し砕けた対応を取るのをたまに見る。
「ふぅ……おはようございます、ヴァイスさん、アキさん」
「ああ、おはよう」
「おはよー、バレット」
挨拶を交わして校舎に移動しようとして、バレットがつんのめった。
振り返るとカラミティがバレットの学ランの裾を掴んでいて、その悪戯っ子の笑顔に俺とシュウは顔を見合わせる。
「ねえねえバレット、わたしは?」
「え?」
また始まったね。
いつものだな。
先に教室行っちゃう?
まだ時間に余裕はあるし一応待とう。
シュウとアイコンタクトを交わしつつ靴を内履きに変え、そのまま玄関先で二人のやり取りを眺めた。
「わーたーしーはー?」
「カーラには玄関前で言いましたよね?」
「もーいっかい!」
「ええ……」
「もう一回言って!」
「……おはようございます、カーラ」
「ん! おはよう、バレット!」
「待っててくださったんですか?」
「ああ」
「一応ね」
「今日はヴァイス様とも教室まで一緒ね!」
「……そうだな」
話しながら階段をのぼり、到着したのは1組。
ここでシュウが離脱。
「またお昼休みにね」
「ああ」
――アキ、今日も旦那と昼メシ食べるのか?
――旦那じゃないけどそーだよ
――ラブラブだなー!
――付き合ってないけどねー
そんな風に、シュウがクラスメイトに揶揄われ、あしらっている声が聞こえてくる。
実は、俺とシュウの付き合いは周りには隠している。
知っているのはお互いの両親・きょうだい、そして今横で苦笑いしている友人カップルだけ。
常日頃から仲の良さを揶揄われているとはいえ、「ガチで付き合ってます」と公表したら好奇や嫌悪の視線に晒されてしまうだろう、という考えから二人で話し合って決めたことなのだが……。
嘘だと分かっていても、シュウの口からはっきりと言葉にされているのは……。
少しきついな。
(今日の放課後、シュウの部屋でたっぷり甘えさせてもらおう)
さて、気を取り直して。
隣の2組が俺のクラスで、その向こうの3組がカーラとバレットのクラスだ。
2組のドアを開ける直前、ふと思い出してカーラに顔を向ける。
「あ、カラミティ」
「はい!」
「今日は俺、部活は行かないからな」
「はぁい……」
伝えた途端にしょぼんとするカラミティに少しだけ笑う。
「後は頼んだぞ、彼氏さん」
「彼氏さんは止めてください……」
「ははは」
そこで照れるから男のヒロインとかカラ×バレとか言われるんだぞ、バレット。
■
■
■
お昼休み。
シュウのクラスで昼休憩を取っていた俺は、聞こえてきたバレットの悲鳴に反射でシュウの耳を塞いだ。
次に起こることが予想できたからだ。
『カーラ!!!!!』
「うおっ」「ぎゃっ!?」「えっなになに」「今の声トゥライトだよな?」「何事ぉ!?」「トゥライトが叫ぶとか何があった?」「み、耳が……耳が……」
「くっそ、リアルで耳がキーンとした……アキ、なんか知ってるか?」
「まあ一応?」
詳しく。
たまにあるバレットの爆発だよ、こんなに盛大なのは久しぶりだけど。
なるほど……? つかあの声になんで平然としてるんだお前。
直前で耳塞いだから無事だった。
えっズルい!
ズルいって言われてもなあ……。
ぽんぽん交わされる会話に笑っていると、またバレットの声が聞こえてきた。
『実家に帰らせていただきます! カーラなんて知りませんから!!』
「実家(黒川家)」
「実家(双理家)かもよ?」
バレットの実家、もう無いからな。
こういう時、カーラと距離を取るために彼が身を寄せるのは、大抵がシュウか俺の家だ。
そんな風にシュウと軽口を叩き合っていると、勢いよく教室のドアが開いて。
「ヴァイスさん! 匿ってください!!」
「うちか。いいぞ」
「オレも遊びに行くね!」
「カーラは連れてこないでくださいね、アキさん」
……うん。
今頃ふてくされるかオロオロしまくっているだろうカーラに黙祷。
これは結構長引くやつだ。
■
そして、一週間後。
「おはようバレットくん」
「バレットにぃ、おはよー!」
「「おはよう、バレット」」
「はいはい、朝ご飯できたよー」
「今日の当番誰だっけ、ヴィス」
「母さんだから期待できるぞ」
バレットはすっかり双理家に馴染んでいた。
「バレット、このままヴィスんちの子になっても違和感なさそうだな」
「確かに」
シュウの呟きに頷いて、「でもそれじゃあいつが可哀想だろう」と続ける。
……カラミティ、昨日なんて休み中ギャン泣きしてたからな……。
「カーラから謝って来るまで許すつもりはありませんからね」
「「知ってる」」
この少年、意外と……というとアレだが、一度決めたら頑固なところがあるもので。
彼女が謝りに来るまで、徹底して幼馴染に関わらないつもりで居ることは、俺たちにはよく分かっていた。
(まあ、前世からの付き合いだしね)
(だな。あと正直バレットが今世特有の振る舞いをしてるの見るのが好きだったりする)
(わかる。喧嘩してツンツンするバレットとか前は見れなかった)
おしまい!
ただの現パロに見えた? 実は転生パロでした!
ヴィスシュウは記憶あり、バレカラ&兄夫婦は記憶なし。
「シキ」の位置に「ヴァイス」が居て、その上にヴァイス兄が居る双理家の世界線。
黒川は何も変わらず、追加されたカーラ家に居候しているのがバレット。
ちなみにバレットはカーラ家と養子縁組はしておらず、カーラとも書類上は他人なので普通に結婚できます。
シュウがバレットにアキ呼びされているのは、「日本ではシキと両親以外にはアキと呼ばれていた」という設定を反映したから。環境の違いで呼び方変わるのが好きです。




