最後の勇者 番外編「困った恋人」
本日、9月1日は設定上のシュウの誕生日!
というわけで、誕生日の記念にシュウの番外編です。
(と言いつつ、誕生日のことを思いだす前に思いついた短文を丁度いいので持ち出しただけなのは内緒です)
息の合った様子で実験してるヴァイスとカラミティを見てむくれるシュウのお話。
時系列は番外編の「バレットとカラミティ」のしばらく後で、ツイッターで呟いた妄想ネタが元です。
「――――……!」
「――、――――」
……ヴィスとカラミティさん、仲良さそうだなあ。
オレが見つめる先には、大好きな恋人と、彼と息が合った様子で何かの実験をしているカラミティさんの姿がある。
話している内容はヴィス曰く一応魔法のことらしいが、専門的すぎてオレにはさっぱり分からない。
カラミティさんは、ヴィスが静かにキレたあの日以降、不思議なぐらいに大人しくなり、バレットさんにべったり引っ付くようになった。
方法を聞いたオレが、丁度遊びに来ていたヴィスのお兄さんと一緒に「ヤバい薬以外には何が入ってるんだ?!」と問い詰める……なんてこともあったのだけど。
ともかく、そうしてヴィスに言わせるような「過剰な悪戯」はしなくなり(と言っても、子供の悪戯レベルのことはまだたまにするらしいが)、代わりにバレットさんとヴィスの言うことをよく聞くようになったカラミティさんは、かなり真っ当だ。
前はオレを睨んで徹底スルーの構えだったけど、今のカラミティさんは普通に挨拶してくれる。
まあ、逆にいうと積極的に話しかけてきたりもしてこないのだけど。
そこは別にオレは気にしてない。お互い、恋人以外の人と特に仲良くしたいと思うような性格はしていないからな。
「――なるほど、この実験の結果を見るに、」
「はい。ヴァイス様の推論が概ね合っていたみたいですね。でもあの理論では矛盾する所もあります」
「そうだな。君はどう思う?」
「私は――」
聞こえてきた2人の会話に、もやもやした気持ちがどんどん溢れてきて。
……ヴァイスって、前はヴァイスハイト様って呼んでたのに今はヴァイス様って呼んでた。
我ながら心が狭いと思いつつ、オレはつい子供っぽく頬を膨らませた。
「困った方ですね、お二人とも」
「バレットさん?」
どうしてここに、とカラミティさんの恋人兼従者の顔を見つめると、そっと時計を示された。
「あ、そっか……。もうすぐ夕飯の時間か」
「はい。カーラを迎えに来たのですが……今お二人に話しかけても、返答は返ってこなさそうですね」
「だろうね……。ヴィスもカラミティさんも、研究者気質だもん」
すっかり話し合いに熱中している様子の魔術師2人を見て、オレたちは揃って苦笑を浮かべた。
美人と話し込んで恋人はほったらかしとか、困った恋人だよなあ、ほんと。
……キリが良くなったらヴィスはバレットさんに気づくだろうけど、いっそのことその前に強引に割り込んでしまおうか。
おしまい。
なお、シュウとバレットはこの後夕食の席でお互い恋人に文句言うし、夕食の後がっつりイチャイチャします。
ストレートにむくれてそっぽ向いてヴァイスを慌てさせるシュウと、敬語のまま控えめに、でも切々と「自分が不安になるから異性と仲良くするのは止めてください」と言ってカーラをにこにこさせるバレット。
うん、想像するだけで可愛い。




