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Re:connect  作者: ひとやま あてる
第5章 帝国編Ⅱ
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第68話 開始

またまた不定期で申し訳ありません。

とうとう中間考査の準備期間だ。


二週間後に中間考査を控え、すでに座学などの授業はすべて一旦終了している。


本来ならこの期間は各人自由に過ごすことができるが、現在起こっている殺人事件を鑑みてクラスごとに宿舎が用意され、そこで過ごすことが義務付けられている。


短期間だけの仮宿ではあるが、きっちりとした設備が確保されている。


それらは全て地下に作り出されていた。


今日は朝からその生活圏の内覧を兼ねた住居移動の最中だ。


と言っても、衣服と教科書くらいしか移動させるものなんて無いし、それ自体はすぐに終わった。


各学年毎別々の場所に生活圏が用意されており、またそこからクラス毎に分けられている。


全てのクラスに割り当てられているのは、各自の自室と共同トイレ、共同風呂、共同スペース、そして演習場だ。


よくこんなものをすぐに用意できると思うが、魔法を使えばなんでもござれのようだ。


共同と言ったが、当然男女は分けられている。


正直、旅館に泊まりに来ているような印象だ。


部屋は簡素なベッドと机が用意されているだけで、広さとしては六畳程度。


大学生の一人暮らしを彷彿とさせるが、その頃の方がまだ広かったな。


共同スペースを中心に、壁3面には各自の部屋の扉が10ずつ、残り一面には出入り口があるという状況になっており、部屋の行き来は非常に容易となっている。


その30の部屋に男女とも全員が入るわけだから当然女子からは文句が出たが、男子連中は大はしゃぎであった。


「不純異性交遊などは好きにしろ」


セアドの言である。


それで良いのかよという感じだが、恐らくそれに興じる暇なんてないだろうな。


試験の準備で手一杯だ。


狭いところに押し込められたような形だが、なんだかんだで普段あまり話すことのない連中と触れ合えるということについては喜びを感じている。


合宿のようなイメージだろうか。


クラスごとの入り口を抜けると初めにあるのは演習場となっている。


その次の扉をくぐれば共同バス・トイレのある空間、そして一番奥が共同スペースおよび自室だ。


つまり各クラスには入り口から、演習ゾーン、バス・トイレゾーン、そして宿泊ゾーンの3区域が割り当てられているわけだ。


そして担任も同じ空間内で生活して俺たちの活動を見守ることとなっている。


食事のために食堂に行く以外は他のクラスの人間が入れない造りのため、学生の保護に加えて教師たちによる監視の意味もあるんだろうな。


他クラスや上級生との触れ合いは、必然的に食堂でする形になるな。


部屋決めは揉めたが、セアドの部屋を境に男子と女子を分けることで合意がついた。


女子の一部が男子不潔って言い続けてたから、中坊みたいなやり取りでもあったのだろうか。


それを俺にまで向けてくれるのは勘弁してほしいんだけどな。


例外的にアルは一緒に寝ようとか言ってきた。


「痛い!」


引っ叩いておいた。


ひとまず部屋割りが確定したということで、チラホラと行動を始めている者が見受けられる。


共同スペースの机で勉強を始める者、とりあえず風呂に向かう者、様々である。


俺は自身の戦闘能力の甘さを鑑みて、みんなと戦闘訓練を行うこととなった。


というのも、魔法に関しては着実に成長している実感があるのだが、いかんせん戦闘能力はあまりそうは感じられていないからだ。


ペーターに訓練をつけてもらった以降は、結局攻撃魔法ブッパな戦闘が多かったし、剣を使った戦い方にも少し違和感を感じてしまっている。


身体強化魔法も少しは覚えたし、近接もできるようになれば戦いの幅も増えていくだろう。


もしマナが枯渇するような状態や魔法が使えない状況に陥った場合、近接戦闘ができる、もしくは逃げられるだけの肉体能力がなければ生き残ることも難しいだろう。


なにより、ヴィクターの戦闘スタイルが近接+魔法って感じだったらしいから、そこに引っ張られている部分も大きい気がする。


あと、この学園で剣を学ぶ機会なんてあまりないしな。


結局は剣も使わなくなってしまうかもしれない。


んー、困ったなぁ。


今度ダメ元でスペデイレに教えを乞うてみるか。


いずれ戦闘訓練の授業も始まるっちゃ始まるが、そこまで待ってられないし、魔法戦だって棒立ちで行うものでもない。


少なくとも動き回るだけの体力は必須だし、地形を利用した戦い方なんかも学んでいく必要がある。


まぁここまで長々と考えちゃいたが、実際に身体を動かした方が早いということで、早速戦闘訓練開始だ。


と思ったら、先にソフィアラとジュリがやるみたいだ。


ジュリとオリビアに関してはその辺情報がないから、どんな戦い方をするか見ものだな。


オリビアに関しては、以前にどんな状況でも戦えるって豪語してたからそれも確かめてみたいな。


ということで俺とガルド、そしてアル、オリビアは絶賛観戦モード。


今のところ俺たち以外に演習場を使いそうなのもいないし、ど真ん中でガンガンやりあってもらおう。


演習場もかなりの広さが確保されてるし、同時に数グループが戦っても問題無さそうだけどな。


「ソフィさんとの手合わせは初めてですわね」


「そうね、手加減なしでお願いするわ」


「ではお手柔らかに」


「ええ、よろしくね」


「じゃあ、好きなタイミングでどうぞー」


二人の準備ができたっぽいので試合開始だ。


「「ロード」」


二人同時の魔法詠唱から試合が始まる。



            ▽



「ウォーター スフィア」


ソフィアラは武器を用意するところからか。


「ロード、ダンプ コントロール」


例によって左腕の小手を水球に突っ込んで水を纏わせると、残りの水は一瞬で消えてしまった。


なんだ、今回は上空で待機させないのか。


「パーレリック サークル」


ジュリの方を見てみると、彼女の頭上には謎の輪が現れていた。


それは実態がなく、光の屈折によって生じる幻日環にも似た形をしており、その中心には太陽を思わせるような球体が浮かんでいる。


ジュリもソフィアラ同様、何かを出現させたな。


さてどう動くのか。


「ソフィさん、しっかり防御されることをお勧めしますわ」


ジュリアーナの言葉に合わせて頭上の輪の中心が輝きを増していく。


「──っ!?」


何かに気づいたソフィアラは氷の盾を自身の前方に出現させながらその場を飛び退いた。


その瞬間、ジュリアーナから一筋の光がソフィアラを射抜く。


ジュッ。


音のした方を見れば、先ほどまでソフィアラがいた場所のタイルがドロリと溶けている。


「凄まじい威力の熱線ね。

一瞬光線だとも思ったけど、光ならこうはならないわね」


ソフィアラが作り出した盾の中心には、熱線が通過した痕跡がありありと刻まれている。


あのまま盾を出現させただけでは熱線は容易にソフィアラを焼き、大ダメージを免れなかっただろう。


ジュリも固定砲台みたいな真似ができるってことかよ。


それにしても、ソフィアラの見立て通りヤバイ威力だな。


もしノータイムで連射できるとしたら……。


「さあ、どんどんいきますわ」


先ほどとは段違いの速度で光が収束し、ソフィアラへ殺到する。


「まずいわね」


次々と降り注ぐ熱線を回避しながらソフィアラはジュリアーナを見るが、熱線が襲い来るペースは短くなるどころか速度を増しているようにも感じる。


長期戦は不利と判断したソフィアラは即座にターン。


ジュリを見据えたまま一直線に突撃する。


「それは悪手だと思いますわよ」


ソフィアラは前方に氷の盾を複数枚張った状態でジュリに向かっている。


恐らく盾を重ねれば耐えられる腹積りだろうと判断したジュリアーナは、収束頻度を下げることで威力を上げてその盾さえも打ち砕こうと考えた。


しかし次の瞬間には盾を放棄してソフィアラは飛び上がっていた。


そのままジュリに飛びかかるつもりだろうか。


よくもまぁ、すぐにそんなに色々と考えられるものだ。


ジュリアーナは一瞬虚を突かれたが、それでも空中で無防備なソフィアラに向けて熱線を放出した。


ジュリアーナの脳裏には、熱線に焼かれて打ち落とされるソフィアラの姿がありありと想像された。


「なっ!?」


だが、そうはならなかった。


ソフィアラは空中で進行方向を急転換。


空中を蹴って縦横無尽に飛び回る。


ソフィアラの動きをよく見ていれば、彼女が空中を蹴る瞬間、その足元に氷の足場が形成されていることがわかる。


ただそれも一瞬だけの早技。


俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。


ジュリは必死にソフィアラの動きを追いながら熱線を吐き出し続ける。


しかし地上以上に行動制限が少なく動きが読みにくいため、ジュリの攻撃精度は先ほどから明らかに落ちている。


そうやって必死になった瞬間をソフィアラは見逃さない。


空中からジュリアーナ目掛けて直線降下。


ジュリアーナが気づいた時には、すでにソフィアラが懐に入り込んでいる。


「ロード、フレ──ぐぅ!?」


ジュリアーナが魔法を発動させるよりも早く、ソフィアラの小手がジュリアーナの腹部を捉えた。


身体をくの字に折り曲げながら、大きく吹き飛ぶジュリアーナ。


そんな威力込めて殴って大丈夫か?


「ロード!」


とも思えば、ジュリアーナは空中で体勢を立て直し、数回転すると即座にソフィアラの上空を指差しながら魔法を唱えた。


「ファイアピラー!」


ソフィアラの周囲数メートルが、赤く円形に染められる。


「まず──」


そして逃げる間も無く、ゴォッと火柱が立ち昇った。


ソフィアラの姿が全て火柱に飲まれる。


おいおい、さすがにそれはやりすぎなんじゃ?


ある程度の魔法耐性があっても耐え切れる威力なのかね。


逃げ切れる間もなかったし。


数秒の後に火柱が止むと、その中からシュウシュウと湯気を立て続ける氷の塊が見えた。


「結構ギリギリだったわね」


バリンと氷が砕け、中からソフィアラの姿が現れた。


そういえば、俺って防御系の魔法って使ってないよな。


防陣以上に使い勝手いい魔法無いんだよなぁ。


ソフィアラは攻撃にも防御にも氷を使ってるけど、どっちかといえば防御方面で使うことが多いよな。


彼女のスタイルは場をコントロールして相手を追い詰めるパターンが多い。


対してジュリは圧倒的攻撃力でと詰めていくタイプか。


今はジュリもあえて攻撃を止めている。


本来ならまだ攻撃できそうだよな。


「続けますか、ソフィさん?」


「そうね、まだまだ大丈夫よ」


「では、再開ということで」


「再開の合図として、受け取ってくれると助かるわ」


「それはどういった……」


「ロード、サークル ソード」


突如出現する、数百の氷の剣。


それが半球状にジュリアーナを覆い、全ての鋒が彼女を見つめている。


「じゃ、はじめましょ?」


それらは一斉に動き出した。


「ブースターオン!

ロード、オーバーヒート!」


ジュリアーナは右腕のアームリングに触れ、そして魔法を唱えた。


周囲が紅く光ったかと思うと、それはジュリアーナの全身を形取るオーラのように彼女に纏い付いた。


そんな彼女に向けられた氷刃が彼女に触れる。


そして一瞬で気化した。


ジュリアーナはソフィアラの攻撃を物ともしていないが、氷の剣は生成と攻撃を延々と繰り返している。


恐らく気化した水蒸気が再利用され、そして攻撃に利用されるというループが形成されているのだろう。


「であれば、この空間から出て術者を潰すしかありませんわね」


ジュリアーナはそう理解すると行動を開始。


現在のジュリアーナは多少の水属性の攻撃程度なら肌に触れる前に処理が可能。


怖いのはマナを大量に込めた一撃。


それは流石のこの状態でも受け止め切れるとは思えない。


ソフィアラもすぐに気づくだろうとの考慮を含めての行動開始だった。


「ロード、ヒートジャベリン」


ジュリアーナは武器を生成しながらこの空間を抜ける。


一方でソフィアラはそんなジュリアーナを見て、盾を生成しながら応戦の準備を開始している。


「さすがは反応がよろしいですわね。

でもそんな盾程度なら容易に貫きます……わよ!」


しかしジュリアーナの予想は大きく外れる。


ジュリアーナの炎槍はソフィアラの盾に半ば刺さった辺りで停止した。


ソフィアラが盾を無理矢理に外回転させたため、ジュリアーナは槍を握った状態のまま体勢を崩す。


その腹部にソフィアラは右の蹴りを見舞う。


それもご丁寧に脚部に氷を纏わせて。


ソフィアラの氷がジュリアーナの纏うオーラで溶け切れる前に、ジュリアーナの腹部に蹴りが届く。


ジュリアーナは炎槍を手放し距離を取ろうと動くが、ソフィアラはピタリと張り付いたまま攻撃の手を緩めない。


ソフィアラの攻撃力自体はそれほどでもないが、その機敏さと攻撃速度、そこに氷を纏わせることにより攻撃力は格段に上がっている。


だがそこはジュリアーナ。


体術は覚えがあるのか、体勢を立て直すとそこからは無手で容易にソフィアラの攻撃を捌き始めた。


ソフィアラの攻撃が当たる部位に紅のオーラを集中させることで、氷は先ほどまでとは異なり容易に溶かされる。


打って変わって肉弾戦の攻防が続けられる。


ソフィアラの攻撃を簡単にいなし続けるだけでなく、今度はジュリアーナが攻撃を入れながら逆に押し返す流れとなってきている。


ソフィアラは素早い。


だがその攻撃自体は軽いのだろう。


蹴りも含めて、ジュリアーナは腕だけでその全てを受け止めている。


対してソフィアラはジュリアーナの攻撃には、触れる部分に氷の盾を出現させて防御に徹している。


「女子なのに、よくあんなにも格闘できるもんだなぁ」


「確かにな。

ジュリは元々格闘術の心得があるのだろう。

ソフィも拙いながらスピードを生かして良くやっていると思うぞ」


俺の言葉にガルドが返してくれる。


「俺は格闘はからっきしだからなぁ。

早く格闘関連の講義が始まって欲しいよ。

ガルドはどうやって覚えたんだ?」


「オレは幼い頃から狩りに出たりしてたからそれで覚えたな。

あとはハンターとして色々な魔物と戦ううちに自然と、って感じだろう。

一年間だけだが、軍の訓練でもかなり仕込まれたと思う。

こればかりは環境によるだろうな」


「格闘はガルドにこれからお世話になることが多いと思うが、よろしく頼む」


「ああ、足りない部分はみなで補い合えば良いだろう」


「アルはどうなんだ?」


「うちは全部一人で頑張ったぞ!」


「そうなのか?」


「そう!

色々あって家庭教師を沢山つけられるほど裕福じゃなくなってたから、ゴーレム作って模擬戦繰り返してたぜ。

最初は手探りでも、今ではそこそこ戦えるようになったと思うぞ」


「なるほど、そんな手があったか。

今度ゴーレム関連の魔法教えてくれ」


「ああ、大歓迎だぜ」


「オリビアは……戦えるのか?」


小柄だから、先入観であまり格闘術は得意でないと思ってしまう。


「クロ、今度私のこと小さいって思ったら問答無用でぶん殴るんだよ」


すごい不機嫌な顔で睨んでくる。


「すまんすまん。

オリビアの戦いは見たことないから、ついそう思っちゃうんだわ」


「私は戦える魔法があるから大丈夫なんだよ。

そのための身体の柔軟性と体力の維持は欠かしてないから、今度クロをボコボコにして証明してやるんだよ。

というか次クロと私がやればいいんだよ」


「殺意マンマンでこえーよ。

しかしまぁ、いい経験だしやってみるか」


「泣いても許さないから覚悟しとくんだよ」


「へいへい、よろしく頼むわ。

っと、ちゃんと見ておかないとな」


二人の近接戦闘は続いている。


「ソフィさん、近接格闘ではわたくしに軍配が上がるようですわね。

先ほどまでより余裕が無さそうですわ」


攻撃とともに言葉を交わす。


「そうね。

こればかりは経験の差かしら」


ソフィアラの攻撃が児戯同然に処理されているのを見れば、格闘技能の差は歴然だろう。


「ではこのような攻防もいい加減おしまい……ですわ!」


ジュリアーナは右上段の蹴りを当たる直前で止め、器用に脚を折りたたみながらそのまま右脚をソフィアラの腹に叩き込む。


「ゔっ!」


フェイントのより一瞬硬直してしまったソフィアラの隙を狙って、今度はジュリアーナの蹴りがソフィアラの腹部を貫く結果となった。


うげぇ、痛そう。


盛大にソフィアラが吹き飛び、そして地面を転がる。


やられたらやり返すってか?


二人ともお構いなしに腹パンやら腹蹴りしてるからヒヤヒヤするんだよな。


だが追撃は行わないジュリアーナ。


ソフィアラはお腹を押さえながらゆっくりと立ち上がる。


「これで最後にしますわ。

しっかり防御してくださいまし」


「ごほっ……ええ、しっかり受け切ってあげるわ」


「それでは、いきますわよ!」


ジュリアーナのオーラが解かれ、マナが右手に集中していく。


「いけー、ジュリアーナさん!」


「頑張れソフィアラちゃん!」


いつの間にやらギャラリーが増えてる。


作業中だった連中も、足を止めて彼女たちの攻防に集中していた。


まぁこんだけバチバチやってたら見ちゃうわな。


クラスメイトの戦い方も色々見ておきたいよな。


どこにヒントが隠れているかも分からないし。


少なくとも今の俺にはジュリアーナの固定砲台やガルドの格闘技術、アルの根性、そしてソフィアラのような戦闘中の判断力、色々なものがまるで足りていない。


どこから補っていけばいいものやら。


自由時間の多いこの期間に詰め込んでおきたいな。


っと、そろそろか。


高らかにジュリアーナが叫ぶ。


「フレア アンスプレッド!」


放射するように放たれた赤熱が一本の線として収束し、ソフィアラへ向かう。


ジュゥゥゥ!


ソフィアラの作り出した盾を熱線が焼く。


バリンバリンと盾は壊れ、ジュリアーナの攻撃が盾を侵食する。


ソフィアラは絶えず盾の内側に薄い氷を貼り続けることで熱線を食い止めてはいるが、それも一瞬。


そして遂に盾は破られ、熱線がソフィアラに触れた。


既のところで盾を放棄して回避に向かうも、通り抜けた熱線がソフィアラの脇腹を焼いてしまう。


「ぐぅぅ……!

こ、降参ね……」


思わず崩れ落ち、ソフィアラは腹部を抑えて苦悶の表情を浮かべている。


「お疲れさまですわ、ソフィさん。

すぐに医務室に向かいましょうか」


「ええ、お疲れさま……。

今回は私の完敗ね」


「二人ともお疲れー!」


「凄かったぜー!」


各所から労いの言葉が飛ぶ。


いやぁ、いいもの見せてもらったな。


それらの言葉を受けながら、ジュリアーナに肩を借りつつソフィアラは医務室へ向かっていった。


いくら魔法を覚えたって戦闘中に使いこなせなきゃ意味無いからな。


戦い続けないことには仕方ないよな。


先に立ち上がったオリビアが顎でクイッと俺に立てと言っている。


こえー、完全にやる気だわ。


「んじゃ次は俺の番だ。

ちょっくら揉まれてくるわ」


「ああ、頑張ってくれ」


「ガンバだぞー」


二人に見送られ、オリビアとともに演習場の中心に位置取る。


「クロくん、頑張ってね!」


ジュリエットも見てんのかよ。


普段つるんでない連中に見られるのは気恥ずかしいな。


「じゃあ始めるか。

ほどほどに頼むわ」


「殺してしまわないように気をつけるんだよ」


いつもフラフラしてるオリビアとは打って変わって、今回は真剣な面持ちだ。


気合入れないといけないな。


「んじゃ行くぜ!」




「「ロード」」




俺たちは、どこまでいっても戦い続けないといけないみたいだ。

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