第66話 勧誘
「……ごほ……や、やめ……!」
「恨むなら、テメェの親を恨みな」
ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ。
刃物が何度かの出入りを繰り返すと、それは物言わぬ肉塊と成り下がった。
徐々に血溜まりが広がり、それを吸ったベッドは重さを増していく。
「対象の死亡を確認。
回収も忘れずに」
「分かってる」
今夜また一人、学生が命を散らした。
偽装工作を終えて、彼らは侵入に使用した窓から再び外に飛び出した。
▽
「今度は3年生だって」
「もう何人目だよ。
最初はEクラスだったのによ」
「今回も扉が開きっぱなしだったらしいから、俺たち学生の中に犯人がいるっぽいぜ。
隠す気もないみたいだな」
「実はあまり知られてないだけで、急に授業に来なくなったやつもいるらしいな」
「こんな事なら入学するんじゃなかった……」
今日も朝からラウンジが騒がしい。
また死者が出たようだ。
今学校で発見されてるのは、俺たちが直接目撃したのを含めて三人目。
実際はもっと多いかもしれない。
「あまりに物騒ですわね。
最早他人事ではなくなってきましたの」
「明らかに寝込みを襲ってるから、対処のしようがないよな」
「狙われてる人の共通点はあるのかしら」
「快楽殺人だった場合、どうしようもないと思うぞ」
「また私の安眠を……。
こっちから出向いて殺してやりたい気分なんだよ」
教会の巫女とは思えない発言だな。
「さすがに学園側も大丈夫とは言えなくなってきてるだろー。
この六人で共同生活できたら楽しいし安全なんだけどな!」
「複数の方が明らかに安全だけど、楽しさ優先するんじゃねぇよ。
それが叶ったところで男女グループは許可されないだろうし」
「危機を伝える手段があれば少しは違うんだけどな」
「それです、クロさん。
以前言っていたものがタイミングよく完成しましたのよ。
昨日の夕方届きましたので、今日持ってきてますの」
「お、マジ!?」
「皆さんの分もありますわ。
ここではなんですし、朝食を食べながら説明しましょうか」
「そうだな」
俺たちは暗い雰囲気のラウンジを抜けて食堂へ向かう。
殺人の話を聞いてあまり朝食を食べたい気分ではなかったので、軽めのものをチョイスして席についた。
朝食を取ろうと並んでいる最中に聞き耳を立てていると、どこもかしこも殺人の話で持ちきりだった。
どうやら3年のCクラスの男子生徒らしい。
名前までは聞き取れなかったが、聞き取れた会話から、殺されたのは特に他人と揉める理由もない冴えない学生だったようだ。
前日までも普通に学校に出てきていたし、交友関係に問題も無かったという話だ。
ガルドの言う快楽殺人ってのも、あながち的を射てるのかもな。
全員が揃ったので、食事を口に運びながらジュリの説明を受ける。
ジュリが俺たちに手渡したのは、銀色で金属製のブレスレットのようなもの。
大きさとしては首の太さくらいあるけど、どう使うんだろううか。
「皆さん受取りましたわね。
まずはそこに手首を通してください」
言われた通りに実践する。
「掴んだ状態でマナを込めますと徐々に縮んでいきますので、少し余裕がありなおかつ腕から抜けない程度の大きさに調節してくださいな」
みな、思い思いの大きさにできたようだ。
「これって、外す時はどうするんだ?」
「同じように掴み、広げるイメージでマナを込めれば外れますわ。
今の一蓮の動作によって、今後は皆さんのマナ以外では変形しないようにもなってますわ」
「お、そりゃいいな」
「ただ、今後はずっと装着していただいた方が良いかと。
もしもの時に装着していなければ持ち腐れになってしまいますので」
「そんなに嵩張るものでもないし、そうするか」
「では次に使い方を説明しますわね。
今は何の変哲もない金属製のブレスレットに見えていますが、皆さんそれぞれに色を振り分けています。
ちょうど皆さんの属性がバラバラですので、その属性に合わせた色分けをしてありますわ。
わたくしが赤、オリビアさんが白、ソフィさんが青、ガルドさんが緑、アルさんは黄、そしてクロさんは黒となっておりますの。
では試しにクロさん、そのブレスレットにマナを込めてくださいな」
俺は言われた通りにしたところ、俺以外の五人のブレスレットが振動し、一部が黒く染まる。
「危険があった場合そのようにマナを込めれば、全てが互いにリンクしておりますので、他の全員に信号が振動として伝わり、なおかつその色でどの人かを特定することができます。
そしてそれだけではございません。
今はブレスレットの一部分だけが黒くなっておりますが、これはクロさんの方角を表しています。
腕をいろいろな方向に動かしていただければ、その黒い部分が常にクロさんの方向を向いていることが分かりますわね」
ジュリの言う通り、俺が試しに少し動いてみても、ブレスレットに灯る黒い部分は絶えず俺を追い続けた。
「マナを込めるたびに振動として伝わりますので、非常事態には何度もマナを込めることをお薦めします。
複数同時にマナを込めた場合も、同時に複数の色が灯るようにもなっております」
色々試してみると、全員でマナを込めた場合、それぞれのブレスレットに自分以外の5色が灯ることとなった。
なるほど、こいつは便利だな。
「会話する機能は流石に付いてないよな?」
「このサイズとなると刻み込める魔法も限度がありますので、この程度で納得していただけると助かりますわ」
「納得も何も、これ以上ないってくらい便利な代物だ。
無理言ってすまないな、ジュリ。
お金を払うから、いくら掛かったか教えてもらってもいいか?」
「お代は無しで構いませんわ。
一つにつき10プラチナも掛かっておりませんので」
高すぎワロタ。
「おいおい、そんな高価なものオレは貰えないぞ」
「わたくしにできることといえばこのくらいですので。
わたくしたちは助け合っていかねばなりません。
どうかお気になさらず」
「ああ、ではありがたく受け取っておくとする。
お礼はいつか別の形で必ずするから、何かあればいつでも言ってくれ」
「ええ、覚えておきますわ。
ところでそろそろ中間考査ですけれど、皆さんどうされますの?」
ジュリの言う通り、そろそろ中間考査──つまり中間試験が始める。
「クロ以外は悩む必要もないと思うんだよ。
自分の属性だけやってたらいいんだし」
「複数属性持ちは選択できるからいいよな。
その中で一番成績がいいのがチョイスされるわけだし」
「それは自分の属性を全部しっかり同じレベルで鍛えられてるやつの話な。
結局どこかで不得手があるわけだから、単一属性持ちと状況は変わんないぞ。
それに複数受けられるってことは、それだけ勉強に割く時間も増えるわけだしな。
総合的にみたらマイナスだろこんなの」
中間試験は複数属性持ちのことも考慮して、属性の選択授業と同様に複数日程に振り分けられている。
試験内容は筆記試験と実技試験。
一般的な魔法から魔道具学などの各分野の試験は全員が受けることを義務付けられている。
その上で属性の実技試験の日にも各々の属性の筆記試験があり、その後に実技試験が控えている。
実技試験は実際に魔法陣を描くものから、魔法の詠唱速度や威力、規模など様々な角度から評価を受けることになる。
そして実技試験にはもう一つ追加で試験が存在する。
実質的にこれが本当の実技試験とも言われている。
学生の間では『腕試し』とも呼ばれ、実技試験で行われるそれは、上級生相手に魔法戦闘を行うというもの。
これは全学年に共通したもの。
先日アルがルー先輩相手に行った模擬試験と同様のもので、あれと同じ試練が一年生には課されることとなっているのだ。
アルの戦いぶりを見て奮起するもの、怯えるもの様々だったが、結局あれは避けられないものらしい。
腕試しを行うにあたり、一年生は自分から上級生を指名することもできるし、決まらない場合は学校が斡旋してくれる。
上級生からしてもこれは歓迎すべきもので、本来の試験以外で自身の実力を発揮する場でもある。
上級生が一方的に一年生をボコることは逆に評価を下げることにつながるが、一年生の力量を判断してうまく力をコントロールするなど、上級生からしても腕試し的な意味合いも強い。
高火力ブッパでも戦うことはできるが長続きはしない。
少ない力で相手を圧倒し、長く戦い続けられることが最も重要だということだ。
そして入試同様、実技試験は外部から学生の力量を見ようと様々な部門から多くの人間が見物にやってくる。
実技試験は毎回学園の枠を超えた一大イベントであり、少しの気も抜くことはできない。
そんなこともあって、全学年が揃う食堂では上級生からの勧誘活動が行われ始めている。
「さっき並んでいる時にも、色々な方からお声掛けをいただきましたわ。
クロさんは五属性の腕試しを受けることもできますわね」
「ジュリは早速勧誘受けたのか。
俺は五つとも受けたら、五回も先輩にボコられることになるぞ?
勘弁して欲しいんだけど……」
「うちはこの間やってるから受けなくてもいいみたいなんだけど、ルー先輩からやろうぜって言われてるからやることにしたぜ。
ルー先輩もロックダウンをブチ殺すって燃えてたし、前より激しく戦えるかもな!」
「ルー先輩よりも強い人がいるのは驚きよね。
想像もつかないわ」
「あれだけやられたのに、アルはよくやるな。
オレはあんな体験をしたら立ち直れなくなってたかもしれない。
それにロックダウンと言えば三年生ながら地属性でいえば実質この学園のトップだろう。
強い人たちと巡り合えているのは素直に羨ましいと思う」
「ガルドでも怯えることがあるんだな」
「あれだけハイレベルの戦闘を見せられてはな。
オレはまだなんだが、クロは勧誘を受けてないのか?」
「さっきも結構な視線を感じたけど、まだ声を掛けられてはいないな。
やっぱり入試でやりすぎたか……」
「かなり警戒されていると見えるな。
むしろ引く手数多になりそうなのは歓迎だろう?
経験としてもクロは全部の属性で腕試しを受けることを薦めるぞ」
「やっぱりそうだよな。
今のところ勧誘を受けてるのはジュリとアルくらいなもんか」
「恐らくそうかと。
わたくしも決めあぐねておりますわ。
お声掛けしてこられるのは見たところ自信に溢れている方々ばかりでしたので、どの方も相当な実力者だとお見受けしました。
それに今後も勧誘は増えていきそうですし、ギリギリまで悩みますわ」
「それはこわいな。
俺たち四人はこれからの勧誘待ちか」
「私はまだだけど、もう決めてるんだよ」
「そっか、指名できるんだもんな。
知り合いでもいたのか?」
「そんな感じかな。
だからみんなはじっくり相手を選ぶといいんだよ」
「なんだ、教えてくれないのか?」
「これは内緒なんだよ。
みんな悩むといいんだよ、ふふふ」
「くっそー、俺たちも早めに決めないとなぁ。
早く決まればそれだけ対策を立てやすいし……って、そうか。
相手のリサーチをしたりするところまでも、この試験は織り込み済みなのか!」
「おお、それは気がつかなかったな。
クロ、いいところに気づいてくれた」
「悩んでいたらそれだけ時間を無駄にしてしまうということね」
「そうと分かれば、まずは情報収集か。
ただ、誰を選んでいいのかさっぱりだな。
声さえかけて貰えたら、そこから広げていくことができるんだけどな」
「ルー先輩に聞いてみるのはどうだ?
先輩たちの間でも、誰を指名するのかは話題になっているだろう。
人脈も多そうだし、きっかけとしてはいいと思うぞ」
「そうだな。
そうと決まれば放課後先輩のところに聞きにいくか。
殺人のこともあって色々考えることは多いだろうけど、身を守る意味でも試験を乗り切る意味でも、しっかり訓練しないといけないな」
「そうですわね。
アルさんとルー先輩の戦闘での皆さんを見ても感じましたが、悩んでいては何も始まりませんわね。
いっそのこと、挑戦者募集ってプラカードでも作りますか?」
「さすがにそれは最終手段だろ。
さて食べ終わったし、ひとまず教室に向かうか」
立ち上がり、ぞろぞろと教室へ向かう。
その道中でも、勧誘活動は行われているようだ。
その中で、多くの人に取り囲まれて困っているやつを見かけた。
スペデイレだ。
ジュリの場合といい、先輩らは実力がありそうな学生を指名する傾向がありそうだ。
彼の動きを見ていると、彼も先輩たちを捌くのに必死なようだ。
あいつも困ることがあるんだな、驚きだ。
彼が忙しなく先輩の対処をしている中で、ふと俺と目が合ってしまった。
あ、なんか起こりそうな予感。
「おいクロカワ、ちょっとこっちに来い!」
急に大声を張り上げるスペデイレ。
周りの視線が俺に一点集中する。
うぜぇ!
あいつ、俺を巻き込みやがった!
だが、いいだろう。
対抗してやる。
「やだ!!!」
俺も全力で叫び返した。
「な……!?」
そしてスペデイレを見捨てて走り出す。
お前なんかに構ってやれるかってんだ。
「おや、クロカワ君じゃないか」
しかし、回り込まれた。
なんて速さだチクショウ。
俺に気づくや否や、数人の先輩が俺の前に立ちはだかった。
「それに周りの子たちも。
腕試しのことで少し僕たちの話を聞いてくれないかい?」
爽やかなイケメン集団が、笑顔を輝かせて俺たちに問い掛ける。
マズい、これは勝てない……!
そう、彼らは見るからにカースト上位の存在。
心なしか彼らの周りの風景さえもキラキラと輝いているように見える。
陰キャの俺は、戦うまでもなく屈服してしまっていた。
「……はい……」
そしてそのままスペデイレのところに連行されてしまった。
「スペデイレ、覚えてろよ……」
憎しみを込めてスペデイレ睨みつけてやった。
とはいうものの、声を掛けてもらえるのは実際はありがたかったりする。
嫌なのは、そこにコイツが介在してること。
その一点に尽きる。
「今回は本当にすまない。
他の面々も悪かった」
なんだ、今回はやけに素直だな。
だが許さん。
「ちょうどオレたちもそういう話をしていたところだ。
まだ勧誘もされていなかったし、むしろありがたいくらいだ」
ガルド理解ありすぎぃ!
「それは助かる」
「そろそろいいかい?
僕は二年生のジャン=エスト=ヘッダーというものだ。
腕試しのことは聞いていると思うけれど、僕たちはここで色んな子たちに声を掛けさせてもらっている。
それもただ僕たちが相手を指名したくてやってるわけじゃない。
君たち一年生にどういう希望があるのかを聞いて、希望にあった相手を選べるようにしてあげたいと思ってこういうことをやっているんだ。
なるべく僕たちも強い子と戦いたいってのもあるけど、それはおまけさ。
ここまではわかってくれたかな?」
眩しい!
底無しにいいやつかよ。
負けた……。
顔でも気持ちでも、彼に勝てるとは思えない。
一体どこで戦ってるんだよ、俺は。
「僕たちも初めの頃は戸惑ったからね。
なるべく同じ思いをして欲しくないと思ってこういう活動をしている、ってことを理解してほしい」
「それで、スペデイレを取り囲んでいたのとどういう関係が?」
「ああ、スペデイレ君は人脈も広いからね。
申し訳ないけど、ここで一年生に声をかける足がかりになっていてもらったのさ」
全部はっきり言うなぁ。
「知り合いを捕まえるまで帰さないって言われたんだ。
本当にすまない……」
スペデイレ、結構ひどいことされてる!
「普通に声をかけても、なんとなく流されてしまうからね。
お友達が捕まっていたら、助けるしかないだろう?」
人の良心を逆手に取る、ひどい作戦だ。
イケメンは何やっても許されるのか……。
世知辛い世の中だこと。
「まだ相手が決まっていない子はいるかい?」
スペデイレも含めて、アルとオリビア以外が手を挙げた。
「すでに決まっている子もいるようだね。
初めは二年生を指名することが多いんだよ。
だからクラスと属性を教えてくれれば、この時期に同じくらいの能力だった先輩を選んであげるよ。
その先輩が一年間でどれくらい成長したのか、そういうことも感じられる結果になると思うんだ。
どうかな?」
全くもって非の打ちどころのない話だ。
「それは大変ありがたいお話です。
ちなみに先輩方の希望とかはあるんですか?」
「それはもちろん。
でもまずは君たちの希望を聞いてからだね。
僕たちの学年で話に上がっているのは、特に爵位の高い子たちかな。
一番と二番人気はスペデイレ君とフレアマイナさんが拮抗している感じだね。
その次に名前が上がっているのがクロカワ君さ。
基本的にはSクラスの子と戦いたいって同級生が一番多いんだけどね。
ほとんどは同じ属性で組むんだけど、あえて不得意な属性相手に挑む子もいる。
君はすごくイレギュラーだから、僕たち上級生も君に挑みたいと思ってたりするんだよ」
どんだけバトルジャンキーが多いんだよ。
こえーよ。
「僕たちは運がいいのか、ここにいる君たちは特に今注目されているんだよ。
先日のウッドフォール嬢とグランドノットさんの戦闘は感動ものだったよ。
その後のクロカワ君たちの活躍も含めてね」
「え、先輩方あれを見てたんですか!?」
恥ずかしい俺たちのやりとりが拡散されてしまっているようだ。
「この学校でのあらゆる戦闘は記録されているからね。
閲覧権限Ⅲ以上になれば図書館で見られるようになるよ。
各々の技術が盗まれないように魔法陣は見えなくしていたりと、色んな修正が入ってはいるけどね」
「先輩って二年生ですよね?
どうやって閲覧権限上げたんですか?」
閲覧権限に関しては今最も欲しているものだ。
テンションが上がってきた。
「腕試しでいい成績を出せれば、閲覧権限を上げることにもつながるんだよ。
たった一回程度じゃ上がらないけど、この一年で複数回結果を出せれば、学年が上がった頃には閲覧権限がⅢになっているかもしれないね。
他にも魔法開発とか色々な分野で結果を出せたらいいんだけど、手っ取り早いのが腕試しというわけさ。
そういう意味でも、あまりに格上を指名して実力を出しきれないっていう状況はあまり薦められないんだよね。
もちろんそれをクリア出来るのならそれはそれでいいんだけど、そこまで腕試しは甘くないかな」
みんなジャン先輩の話に聞き入っていた。
「そろそろ時間もないから、また話を聞きにきてくれると助かるよ。
流石に毎朝こんなことは出来ないからね。
君たちの口で周りのみんなに伝えてくれるのが、一番情報としては伝わりやすいんだ。
だからそれも君たちにお願いしていいかな?」
「ええ、させていただきます。
何から何まで教えていただいて、ありがとうございました!」
「僕たちも初日から有名人の君たちと話せて良かったよ。
何かあれば二年生のSクラスに来てね。
ウッドフォール嬢には負けるけどこれでも学年ナンバー2だから、挑戦してくれるならいつでも受けるよ。
じゃあね」
イケメン集団は去っていった。
「いい人たちだったな。
スペデイレ、最初は面倒だと思ったけど色々情報が得られたし、感謝するよ」
「そう思うのなら、今度手合わせ願おうか」
「どんだけ戦いたいんだよ。
でもまぁ、試験が終わった後なら相手してやる」
何事も経験だしな。
「そうか、その言葉忘れるんじゃないぞ。
ジュリアーナ、また時間をとってくれ」
「分かりましたわ」
それだけ言うと、スペデイレは早足で自身の教室へ向かっていった。
「今の話を聞いて、少し不安になってきたんだよ」
「それなら相手を変えた方がいいんじゃないか?」
「でもこんな機会あまりないから、このままでいいんだよ。
クロたちもそれぞれの考えがあると思うから、それに従って決めるといいんだよ」
「そうか。
閲覧権限権限も含めて尚更結果を出さなくちゃならなくなったから、俺も少し格上を狙ってみるかな」
「そういうことならオレも頑張ってみよう」
「ズルイですわ、それならわたくしも!」
「みんなやる気ね。私もだけどね」
「んじゃいっちょ頑張るか!
アルもルー先輩に勝つくらいの気持ちでやれよ!」
「おう、みんなも頑張れよな!」
気持ちを引き締め直し、俺たちは今日も教室へ向かっていくのだった。




