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Re:connect  作者: ひとやま あてる
第3章 帝国編
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第41話 閑話

恒例の、なかなかメインストーリーが始まらないやーつ。

おや?


久々にこのパターンだ。


おそらく医務室だろう。


ガルドに攻撃したところまでしか覚えていない。


どうなったんだろ。


左を向くと、壁。


こっちじゃないのか。


右を見ると、誰もいない。


なんだよ。


誰かいるんじゃねーのかよ。


「起きたのね。

ひどい怪我だったけど、大丈夫?」


俺がゴソゴソしていると、シスター風の装束を纏った女性が顔をのぞかせた。


今回は女の人か。


また男だったらどうしようかと。


「はい、どれくらい寝てました?」


体を起こそうとすると、胸部が痛む。


「いってぇ……」


「数時間かしら。今はお昼過ぎよ。

お友達は昼ごはんを食べに行ったわ。

回復魔法を掛けたけど、完全には治っていないみたいね。もう少し大人しくしていなさい」


「すいません、そうしてます」


俺は再びベッドに身体を横たえる。


はあ、ジリジリと鈍い痛みが残るな。


というか、あいつら優雅に昼ごはんかよ。


ちくしょう。


こんなことなら回復魔法を覚えておきたかったな。


MPが多いから、重ねがけしまくったらすぐ治るはずだろうし。


いや、回復魔法の原理をしらないから一概にそうだとも限らないか。


とりあえず聞くか。


「あのー、すいません」


「何かしら?」


「回復魔法ってどうやって覚えたらいいんですか?」


「光属性の選択授業を取れば教えてもらえたはずよ。

もしくは教会に入信したら教えてもらえるわ。

どちらにしろ、光属性の適性がないと覚えられないけどね」


属性ごとの選択授業もあるのか。


流石に教会に入る気はないよなぁ。


「わかりました、ありがとうございます」


天井を見つめたまま過ごす。


暇だなぁ。


こんな時、スマホがあればよかったんだけど。


スマホがないのだけが、この世界の嫌なとこだな。


「クロ、起きてるー?」


アルの声か。


「おう、起きてるぞ」


応えると、カーテンを開いて3人が顔をのぞかせる。


「クロ、大丈夫か!?

一瞬死んだかと思ったんだからな」


アルがいきなり抱きついてくる。


内部の傷がいてぇ。


ちょっと派手に痛がってみるか。


「っ……!」


「え、ご、ごめん!

そんなに痛んでるとは思ってなくて……。

ほんとごめんなさい……」


めっちゃシュンってなってる。


かわいい。


「クロ」


流石にソフィアラはお見通しか。


「冗談だよアル。

ちょっと痛む程度だ。

からかって悪かったな」


「でも痛いんだろ?

だからごめん……」


アルが涙を浮かべている。


ちょっとだけからかうつもりだったのに、罪悪感がすごい。


あんまりイジメるのはよしておこう。


「クロ、やりすぎよ」


「すいません……」


普通に怒られた。


怪我人なのに。


「アル、ごめんな?」


「ううん、うちこそごめん」


身体の痛みも合わせてツライ。


「クロ、悪かったな。

オレも本気でやりすぎた」


空気を読んでガルドが口を開いてくれる。


「いや、いい。

本気でやってくれてよかった。

むしろすまん。

最初、俺の方がガルドを侮ってた。

ガルドこそ大丈夫か?

試合は最後どうなったんだ?」


「クロの攻撃でオレが壁に叩きつけられて試合は終わりだ。

オレも攻撃された直後の記憶がない。

気づいたらこの医務室で寝かされていたよ。

オレの方は大した怪我はなかったようだ。

その間のことは2人がよく知っている」


ガルドがソフィアラとアルに視線を移す。


アルはまだシュンとしている。


そんなアルを見てソフィアラが切り出した。


「クロの魔法でガルドが叩きつけられて動かなくなって試合は終わったわ。

その時点でクロはまだ立ってたけど、私がクロとちょっとやりとりをしたらクロも倒れたわ」


「あれ、俺ってお嬢様と会話しましたっけ?

その時点で記憶がないです」


「そうなの?

そのあとは出血がひどかったから医務室の先生を呼んで運んでもらったわ」


「そうなんですか、ありがとうございました。

全く記憶にないですけど」


「あとは、そうね。

終始アルがオロオロしてたから、逆に私も落ち着けたわ」


「ソフィ、それは言わないでくれよな」


アルは顔を赤くしている。


ちょっと調子が戻ってきたか。


「と、そんなところらしい。

お互い無事で何よりだ。

試合中、特に最後は全力だったし、力の加減なんてできないよな。

ところでクロ、最後どうやってオレの攻撃を止めたんだ?」


あまり魔導書のことは知られたくないなぁ。


せっかく友達になったとはいえ、まだ知られるには早いかな。


「いや、言いにくいならいいんだ。

秘密の1つや2つ誰にでもあるしな」


俺が黙っているのを見てガルドが引いてくれた。


ガルドもいいやつだな。


「いずれ教える機会があると思う。

でも今じゃないんだ、すまんな」


「俺こそ答えにくいことを聞いて悪かった。

いい試合ができて良かったよ。

機会があればまた相手してくれ」


「ああ、俺からもお願いする」


俺はガルドと固い握手をする。


いいな、これが友情ってやつかな。


「そうだガルド。

さっきのクロとの試合を見てた連中の中でガルドの評価が上がってたぞ。

ガルドも要注意だなんとかって、うちの近くにいるやつは言ってたな。

早速2人とも有名人になっちゃったなー」


そうなのか。


むしろガルドのお陰で俺への注目が薄くなってくれていると助かるな。


「そういえば、クラス分けってまだなのか?」


「おっと、それを含めてここに来たんだった。

オレたちは4人とも全員同じAクラスだったぞ。

これからよろしく頼むぞ」


「お、そうなのか。

それは良かった。

お嬢様とも一緒で良かったです」


「そうね」


まぁ、知ってたんだけど。


「一緒に研鑽していけると思うとオレも嬉しい。

でもこの中で1番喜んでたのはアルだけどな」


「おいガルド、それを言うなって!」


すっかりアルはいじられキャラだ。


「ガルド、例の2人は?」


「ああ、奴らは揃ってEクラスだ。

一緒じゃなくて安心半分、不安半分だな。

近くで能力を確認したいのも少しはあったからな。

そうだ、スペデイレがクロを探していたぞ?」


え……。


あんまり関わりたくないんだけど。


「あいつもAクラスなのか?

というかスペデイレはそもそも俺の名前なんて覚えてないだろ」


「奴はSクラスだ。

クロの名前はオレたちに聞いてきたんだ。

それで同じSクラスにクロの名前がないことを怒っていたな。

クラス分けを見るまでは、オレもクロはSクラスだと思っていたよ」


「スペデイレには勝ったけど、どこを評価されてるか分からないしな。

あとは一次試験が結構ギリギリだったんじゃないかな」


「そういうものか。

でもそのおかげで同じクラスなんだ。

これは喜んでいいかもな」


「ああ、そういうことだ」


スペデイレとか一生絡みたくないわ。


俺があえてAクラスに降りたって聞いたら更に怒りそうだ。


というか何で怒ってんだ?


恨みでも晴らすつもりだったのか?


はー、やだやだ。


目立つとロクなことがない。


「クラスって何人ずつなんだ?」


「25人ずつみたいだな。

1番上がSで、あとはAからEまでの成績順らしい。

全部で6クラスだな」


「そこまで1クラスの人数は多くないのか。

全部で150人なら全員同じクラスでもいいと思うけどな」


「それだけいたら教師側も生徒を把握できないだろう」


「確かになぁ。

まぁ、明日以降の授業を楽しみにしておこう。

とりあえず俺はこんな状態だし今日できることもないから、みんなやりたいことやってていいぞ」


もうしばらく痛みは続きそうだしな。


「クロも無事みたいだし、オレはトレーニングでもしてくるか。

じゃあまた晩飯の時にな」


ガルドは医務室を出て行った。


「んー、うちは特にやることはないな。

あのあと何事もなければクロとかガルドとかとも試合してみたかったけど。

そうだクロ、お腹減ってるだろ?

うちが何か買ってくるよ。

ソフィと待っててくれ」


アルも医務室を出て行った。


ソフィアラと2人になった。


アルは買いに行ってくれたけど、医務室って食事オッケーなの?


まあいいや。


注意されたら外で食べよう。


それまでは安静にしていよう。


「クロ、無茶しちゃダメよ。

あとアルをいじめちゃダメ」


「わかってますよ」


「ガルドとの試合、わざと使わなかったの?」


「見てる人が多かったので露呈することを避けて使わなかったらこのザマですね。

あ、伝えてなかったことがありました。

魔導書を持ってる、もしくは引き継いでるってバレると命を狙われるみたいです。

なので、魔導書を解放したとしても人に見せるべきではないですね」


「そうなの。 気をつけるわ」


「そういえば、魔導書ってもう解放できました?」


「昨日の夜、全部マナを使ってもダメだったわ。

まだ足りないみたい」


「そうですか。

俺はまだ試してないので近いうちに試しておきますね。

ちょうど時間もあることですし、久々にやりますか?」


「そうね。

いざという時に魔導書を持ち腐れはナンセンスだわ」


ソフィアラが両手を差し出してくる。


久々だが慣れたことなので俺はその手を取る。


変な煩悩など湧かない。


ヤベェ、もはや仏の域かもしれん。


「じゃあ、いきますね」


お互い目をつぶってマナを循環させていく。


どれくらい時間が経っただろうか。


もう昔のようのソフィアラが俺の魔力に抵抗を示すことはない。


完全に順応している。


ふと目を開けるとソフィアラと目があった。


今微笑んだか?


いや、気のせいか。


すぐに目を閉じる。


ソフィアラに妖艶な何かを感じる。


ダメだ、集中しないと。


仏の域一瞬すぎぃ!


「おーい、戻ったぞー」


ちっ、いいところで邪魔が入ってきたな。


俺がソフィアラに合法的に触れられる憩いの時間なのに。


「あなた、医務室では大声を出さない。

それと、なにをご飯なんて持ち込んでるの!」


シスターも大声出しちゃってるじゃん。


今は完全にソフィアラと繋がって流し込んでいるところなんだぞ。


この文面だけだとやべぇな。


「今度から気をつけるんで!

クロ、待たせたな!」


シャッとカーテンを勢いよく開けるアル。


「……」


「……」


「ソフィ、クロと何やってるんだ……?」


おい、なんだその顔は。


アルは浮気を見てしまったみたいな顔をしている。


「大事なことよ」


ちょ、ソフィアラさん?


説明不足すぎでしょ。


「やっぱり、そういう関係だったのか……」


アルは荷物を取り落とし、後ずさる。


うわー、コイツめんどくせぇ……。


「お……」


お?


「お大事に!」


アルは走って医務室を出て行ってしまった。


カーテン向こうのシスターの視線が痛い。


というかお幸せに、じゃないんだ。


お大事にって、俺の身体を気遣って出て行った。


なんだ、いいやつかよ。


って、ちゃうわ!


「お嬢様のせいですよ……」


「そうね」


「アルをいじめちゃダメですよ?」


「わかってるわ」


「わざとやりました?」


「そんなわけないわ」


ほんとかなぁ〜?


「説明はキチンとしておいてくださいよ……」


「まかせて。

じゃあこれ終わりかしら?」


「そうですね。

今日は終わりにしましょう。

毎日やった方がいいですか?」


「そうしてくれると嬉しいわ」


「わかりました。

まだ痛みますが歩くのには支障がないので、アルが持ってきた弁当を持って出ましょうか。

いつまでもここに居ても迷惑でしょうし」


「うん」


「怪我の治療ありがとうございました。

そろそろ戻りますね」


「そう、完全に痛みがなくなるまでは運動しないようにね。

あと女の子は大切になさい。

入学早々痴話喧嘩なんてしてると、いつか刺されるわよ」


違うんだけどなぁ。


アルのバカが勘違いしただけで。


「はい、気をつけておきます」


俺とソフィアラは医務室を後にした。






「クロ、早くやってくれ!」


ソフィアラが事情説明をすると、アルすぐに俺の元まですっ飛んできた。


俺の手を強引につかんで、爛々とした目を向けてきている。


「効果は人それぞれだぞ。

あと、確実に効果があるという保証もない。

それでもいいならやるが」


「いいぞ、やっちゃってくれ!

それより手を繋ぐより抱き合った方が効率良くないか?」


あーもうめんどくせぇ。


「マナを循環させるためには、片手から流してもう片方から吐き出させるのが1番効率がいいんだ。

抱きついてきたらぶっ飛ばすからな」


「うちは女の子なんだから大事にしろよな!」


こういう時だけ女の子アピすんな。


まぁいい。


思いっきりやったら、気持ち悪さでもう一回なんて言ってこないだろう。


「じゃあ、やるぞ」


「ああ、楽しみだ!」


マナを最初はゆっくりと流していく。


「クロ、これって」


アルはちょっと顔を歪めている。


ここからはどんどんマナを流す。


「ちょ、クロ……!」


「どうした?

お嬢様はいつもこの苦しみに耐えてるんだぞ?」


「え、ちょ、無理……」


御構い無しに流す。


そして大して続けないうちに、アルは吐いた。


これでもかってくらいに吐いた。


たまたま吐いたんじゃなくて、ゲロを吐くまでやってやった。


テレビ番組みたいにキラキラ編集をできないことが非常に残念だ。


俺の服が汚れたが、必要経費と思って我慢することにした。


これでまたやってほしいとは言わないだろう。


その後は、ぐったりとしたアルを抱えて医務室に向かった。


「どれだけここにきたら気がすむのよ……」


シスターは呆れ顔だ。


そしてゲロまみれの俺らに若干顔が引きつってる。


今度はベッドに寝かされたアルを2人で見ている形になった。


当然、着替えは済ませてあるぞ。


これで今日はソフィアラ以外全員倒れたな。


なんて1日だ。


「ソフィ、あんなのに耐えてたなんてすごいんだな……」


横になったアルが弱々しく話す。


「アル、気分が良くなったらまたやるぞ!

だから早く体調を治すんだ!」


アルに駄目押しの一撃を入れる。


「い、いやだ!」


「MPを増やしたいんだろ?

じゃあゲロ吐きまくるしかねえよ。

頑張ろうな!」


「そうよアル、頑張って」


ソフィアラの援護射撃を入れてくれる。


「勘弁してくれ!

おいクロ、そんなマジな目で見てこないで!」


これでもうやりたがらないだろう。


「あなたたち、医務室では騒がない!」


どこにいても騒がしい俺たちだった。

合格人数が多すぎたので調整しました。


なぜか、アルがどんどん可愛くなってしまっている……。

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