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Re:connect  作者: ひとやま あてる
第1章 王国編
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第18話 魔力

ロドリゲスの前まで連れてこられたが、ソフィアラの意図が分からずビクビクする情けない俺。


「どうした? ソフィアラ」


「お父様、MPを増やす危険な方法があるらしいの。

やってもいいかしら」


あ、そういうこと。


でもちょっと語弊があるぞ。


「家庭教師の初日から、君はソフィアラに何をおかしなことを吹き込んだのかな」


若干切れかけてる。


まぁ、この言い方だとこうなるよね。


「今日見せていただいて、お嬢様はMPが少ないものの、魔法操作においては素晴らしい才能をお持ちでした。

そのためMPさえどうにかなれば良い魔法使いになれると思い、MPを増やせる可能性があることを提示しました。

危険が伴う可能性があることもお伝えしましたが、お嬢様が即答でやるとおっしゃりまして……。

こちらが悩んでいると、ここまで連れてこられた有様でして……」


「そうなのか? ソフィアラ」


「そう」


「はぁ、なるほどな。

この子は見た目とは裏腹にかなり積極的だ。

しかし今のように言葉足らずなことも多い。

とりあえず話はわかった。

ちなみにどのような方法だ?」


ふぅー、あぶねえ。


まだ理解があってよかった。


「マナを注いで内側から魔力回路を広げようという方法です。

マナ回路は魔力の消費・回復を繰り返すことによって刺激されて、その内蔵量が増えると考えられます。

僕の場合は毎日気絶するまで魔力を使い続けた結果、MPを増やすことができました。

それは、マナ回路が形成されてからすぐに訓練を行ったからだと考えられます。

マナ回路が形成されてから長い場合は、恐らくその方法ではあまり効果がないと思います。

先程マナの譲渡を試してみたときに、他人のマナであってもしっかりとマナ回路を循環することがわかりました。

そこで、膨大なマナを注いで内側からマナ回路を広げてやればMPを増やすことができるんじゃないかと考えました」


「理解はできた。

しかしマナ回路は生まれつき備わっているものだ。

マナ回路が備わってすぐ魔法の訓練とは、君はいったい……」


「少々特殊な環境にいまして……」


すごい田舎から来たって設定だし、これで問題ないだろう。


ここからは俺が今まで体験してきてわかったことだ。


人間はマナをその身に受けることでマナ回路が形成される。


これが正しいはずだ。


俺がこの世界に来て気分の不調を訴えたのも、今まで触れていないマナというものに触れたからだ。


MPが極限に少なかったのは、そのときにマナ回路が形成されたから。


この世界の人間は、胎児として存在しはじめた時点でマナを受けてマナ回路が形成されているはず。


俺はマナ回路ができて間もない頃にマナを使い切ったり回復したりを繰り返したからこそ、その容量を増やすことができたのだ。


マナ回路は血管のようにマナが流れるものだが、血管と異なり物理的な実体は存在しないため、伸縮を繰り返して引き延ばすことができる。


ただ、今からやろうとしていることは、確実にできるという確証はない。


無理に注ぐと壊れてしまう可能性もある。


また、一時的にでも俺のマナでマナ回路を満たしてしまうことも懸念材料だ。


ここまでの説明を聞いて、ソフィアラはどう思っているのだろうか。


さっきは説明不十分だったからな。


「ソフィアラ、お前はこの説明をきいてもやろうと思うのか?」


親としては反対するところだろう。


「やる。 このまま学校に行っても落ちこぼれ」


即答かよ。


「今回ばかりはこの積極性は困りものだな……。

だが、やりたいと言っていることをやめさせることも私はしたくない」


若い娘に危険を侵させようとしてる俺は、相当やばいやつなんじゃないだろうか。


昨日初めて会って今日少し会話しただけなのに、なんだか俺はこの娘をすごく応援したい気になっている。


「いいだろう、娘の希望だ。

だが、危険と思ったらすぐに止める。

そして行うのもこの場でだ。

この条件なら私も認める」


いい親父かよ、ロドリゲス。


「分かりました。ではお嬢様よろしいですか?」


「そのつもり」


「危ないと思ったらこっちで止めますが、きついと思ったらすぐ言ってください。

それでは手をお借りします」


差し出された手を軽く握る。


ロドリゲスを見ると、娘を心配するただ親父だ。


「うっ…」


俺が魔力供給を開始すると、ソフィアラにすぐ影響が出てきた。


「いけそうですか?」


「まだ平気」


確かに抵抗が大きく、マナ回路が狭いのが分かる。


それを押し広げるようにしてマナを流し続ける。


続ければ続けるほどソフィアラの顔色が悪くなってきている。


ついによろめき、片膝をついてしまう。


俺が思わず供給を止めようとすると、強く手を握られた。


「まだ、大丈夫……だから……」


先程よりは魔力が多少流れやすくなっているのを感じる。


しかしそれに比例してソフィアラの体調も悪化し続ける。


顔が青いというより白くなったあたりで、限界だと感じた俺は供給をやめた。


やめると同時に床に倒れこみそうになったので思わず支える。


「ソフィアラ!」


「お嬢様、大丈夫ですか?」


返事はない。


「気を失っているだけです」


侍女が状態を確認し、気を失う程度で済んだと一安心する。


「あまり娘を危険な目に合わせたくはないのだが、強くならなくては自分の身も守れないしな」


「すいません。うまくいっていれば良いですが」


「そうだな。

今日はもういい。仕事に戻ってくれ」


「分かりました。失礼します」


しっかり仕事を思い出させるロドリゲス。


メインの仕事は魔榴石だしな。


残った時間で限界まで絞り出すとしますか。






「ん…」


気づけば自室のベッドの上だ。


先程の過程で意識を失ってしまっていたようだ。


他人のマナが入り込んでくる感覚は気持ちの良いものではなかったが、クロのマナ自体に不快感はなかった。


暖かなマナの残滓を体内に感じる。


そういえばMPはどうなったのだろうか。


試しに水球を作ろうと手のひらを上に向ける。


「わ」


注入するマナが思ったよりも多かった。


勢いよく水が溢れ出して慌ててしまったため、魔法のコントロールを失ってしまい水球が砕けた。


ベッドが水浸しだ。


やってしまった。


あとで謝らないと。


マナを放出するときの感覚が少し違う。


今までのような無理やり絞り出す感覚はない。


淀みなくマナが放出されているのを感じる。


体内のマナの入れ物が大きくなったのが分かる。


よかった。


ちゃんと効果があって。


それにしても不思議な男だ。


今までの家庭教師と違い、しっかり目を向けてくれている気がする。


魔法で1人遊びしてる時は若干引いたけど、悪い人間でないのは注ぎ込まれたマナからも再確認できた。


今まであまり魔法が好きになれなかったけど、マナに人の思いが詰まっていると思うと少し好きになれた。


私はソフィアラ=デラ=ヒースコート。


春から学園に通う予定の15歳。


魔法の楽しみが増えた。


今日はとてもいい日だ。


ーーーーーーーーーー


《名前》ソフィアラ=デラ=ヒースコート。

《Lv》1

《種族》人間族

《性別》女性

《年齢》15

HP 400/400

MP 40/40 → 80/80

STR 5

AGI 25

VIT 5

DEX 35

INT 10

LUC 5

《称号》

《魔法》生活魔法 攻撃魔法・水(初級)


ーーーーーーーーーー

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