↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Re:connect  作者: ひとやま あてる
第1章 王国編
22/170

第17話 教育

王宮内の一室。


「対象がヒースコートと接触しました」


「なんですって!?

ちっ、あの夜ね。あの夜に何かがあったはず……。

まだあの日の足取りはつかめていないの?」


「はい、申し訳ありません。

乗り捨てられていた馬車から所有者を辿ることはできていません。

今のところ馬車の御者などもこの国の人間で一致する者も見当たっていません」


「そう、分かったわ。

あの夜の調査は継続して行ってちょうだい。

クロの監視も同様に続けて」


「畏まりました。では」


監視役は仕事に戻っていった。


「ヒースコートの守銭奴め、何を考えてる。

クロもどうやってヒースコートに取り入った?

報告で聞いた限り接点などなかったはず。

グランベル商会も何か噛んでるのか?

分からない……。

ただ、良からぬことを考えているのは間違いない。

くそ、忌々しい」


エリザの呪いにも似た呟きが響く──






伯爵の屋敷そばに住居を移した俺は、寝る前に残ったマナを魔榴石に注ぎに行くくらい熱心に働いた。


働きに応じて評価される世界であることを願うぜ。


そしてクロの新生活が幕を開けた。


次の日。


朝から仕事をこなし、終えたところでお嬢様の授業へ向かう。


向かうのは彼女の自室ではなく魔法演習場だ。


呼びに行ってもらっている間、演習場で待機する。


実際に何を教えていいか分からない。


基本独学だしな。


独学に習うとか、彼女のプライドが許さない場合もありうる。


やってくるまで慣らしておくか。


俺ができるのは、魔法球を無意識化でもある程度待機させるとこまで。


魔法球を形成さえすれば、あとは消えないようにマナを注いでやるだけだしな。


ただ意識から外しすぎると、あったことさえ忘れるトリ頭っぷり。


自由にコントロールできるのは、せいぜい体の周り半径1メートルくらいだ。


この範囲内ならブンブン振り回すことができる。


だが遠距離を狙う場合は、真っ直ぐにしか飛ばすことができない。


今ではボールを投げるようにしなくても飛ばすことはできるが、そんなにスピードは出ない。


まだ曲芸師程度のレベルなので、戦闘が可能な程ではない。


今の課題は魔法操作範囲を拡大することだ。


次に必要なのは威力。


こればかりはINTを上げるしかない。


ステータスの上昇は、単純な訓練によるものとレベルアップによるものの2つがある。


特定のステータスを伸ばしたい場合、そのステータスの成長率が高い場合は訓練による恩恵が大きい。


しかし伸ばしたくてもなかなか伸びない場合は、レベルアップによる上昇が望ましい。


訓練を経た上でのレベルアップが一番上昇率が大きいらしい。


こればかりはやってみないと分からないため、ステータスの伸びをみてどちらかを選択する必要がある。


魔法に関して俺の場合は前者だろうか。


比較対象が欲しい。


魔法以外のステータスは訓練を行っていないため、これらの訓練も行う必要が出てきている。


うーん、やることが多い。


ロドリゲスのおっさんはレベルアップをさせたいみたいだから、ソフィアラの魔法の才能は本当に低いのかもしれないな。






「ほらほら、追いつかれちまうぜ!どうすんだ!?」


まだしばらく来ないので魔法を使って遊んでいる。


2つの魔法球を縦横無尽にビュンビュン動かして追いかけっこだ。


自分で2つとも操ってるんだから、何言ってんだって話だが。


ん?


あ、めっちゃ見られてた……。


ソフィアラと侍女の視線が痛い。


恥ず……。


「………」


「………」


「え、えっと…」


「楽しそうね」


「すいません……」


「もういいかしら」


「はい……」


気まずい。


感情の起伏は乏しいが、しっかり動ける格好で来ているソフィアラ。


やる気はあるんだろうな。


「じゃあ始めましょ。何をするのかしら」


進めてくれるから逆にありがたい。


「そ、そうですね…。

ではまず得意と不得意を教えてもらっていいですか?」


「今まで教えてくれた人たちには、私はMPが少ないって。使える系統は水だけ。他は全然ダメ」


表情が動かないし、淡々と話すなぁ。


「そうですか。今までどのような訓練を?」


「水を霧にしたり、氷にしたり。

それだけよ。すぐ疲れるから魔法はあまり好きじゃないわ」


おや?


状態変化まで分かってるってことは能力高いぞ。


「え、すごいじゃないですか。

水の状態変化ってかなり難しいんですよ。

イメージする力がないとなかなかできないですから」


「そうなのね。でもそれだけよ。

お父様もレベルをあげた方がいいって言ってるから、見込みが無いのよきっと」


うーん、一切彼女の心に響いてない気がする。


「じゃあ一度見てみたいので、魔法を使ってもらっていいですか?」


やってもらわないことには何も分からないしな。


「何をすればいいの」


「いつもやってることをやってみてください」


こくりと頷くと、ソフィアラは手のひらの上に頭部ほどの大きさの水球を形成した。


形成するやいなや水球が弾け、一瞬でミストに変化した。


かと思いきや、ミストがすぐに水球に戻った。


そして何を考えたのか、俺に水球をぶつけた。


…なんで?


というか、水の操作早くね?


再度水球を形成するソフィアラ。


水球が形を変えながら凍りついていく。


これまた一瞬で氷の薔薇が形成された。


「あげる」


俺が声を失っていると、作品をくれた。


「あ、ありがとうございます…」


もらった薔薇を見ると、驚くほどに精緻だ。


だがすぐに砕け散った。


「もうMPはほとんどないわ。おわり。

見る目ないでしょ」


「え、めっちゃすごいじゃないですか!

魔法操作の能力がぶっ飛んでますよ!」


「ぶっ飛ぶ……?」


急なテンションに若干引いた顔をしている。


あ、不快の感情は出せるのね……。


「いえ、なんでもないです。

能力がとても高いってことですよ!

見る目ないなんてことはないです」


「そう」


全然響かん!


でもあの速度はすごいぞ。


イメージする力と魔法操作能力の両方が高くないとできない芸当だ。


俺だって氷を作るのにもっと時間がかかるし、何より成型しながら凍らせるなんてできない。


DEXが高いんだろうな。


INTは分からないが、MPさえ増やせばあの速度を生かしてできることは多いだろう。


「お嬢様、あの、MPを増やす訓練などは行なっているんですか?」


「疲れるまで使うんでしょ。

すぐ疲れるからあまりできていないわ」


この世界では疲れるまでなのか?


俺は意識失うまでやるのが一番良いと思うんだけど。


「意識を失うまでマナを使ったりとかはしたことあります?」


「そこまで変態じゃないわ」


くっ……!


真顔で変態って言われた……。


というか、MPを使い切るのは変態に分類されるのか?


「お嬢様はMPさえ増やせば素晴らしい魔法使いになれると思うんですけど」


「そう」


「お嬢様、MPを増やしたいと思いませんか?」


俺に1つ考えがある。


「あるに越したことはないわ。

春から学園に入るし、このままじゃ落ちこぼれね。

お父様に迷惑がかかるわ」


ただこれは、魔法の原理を理解してない俺にしたら賭けみたいなものだが。


おそらくこうだろうという予想に過ぎない。


この娘は感情の起伏がほとんどないが、しっかりと自分の考えを持っている。


こちらから提示すれば、きちんと考えてくれるだろう。


「1つ確かめたいことがあるので、俺にマナを渡してもらって良いですか?」


マナの譲渡はやったことないけど。


「やり方が分からないわ」


「じゃあまず手を繋いで──」


「クロ、あなた何を!」


そう言ったあたりで、今まで静かにしていた侍女がストップをかけてきた。


あれ、何言ってんだ俺。


いきなり手を繋ごうなんて、まさに変態だろ。


「いい。考えがあるんでしょ」


「しかし…」


「すいません!いきなり変なこと言って。

でもこれを確かめたら、MPを増やせるかもしれません」


「大丈夫よ。変なことはしてこないわ。

信じてあげて」


「わかりました……」


しぶしぶという感じで侍女がひいた。


でもしっかり俺を睨みつけている。


「変なことはしません。誓いますので」


そう言ってソフィアラに向かい直す。


「じゃあ、はい」


一切の警戒などなく手を差し出してくれる。


恐る恐る手を繋ぐ。


そっと握るだけだが、女の子の手なんて握ったことないので心臓がばくばくする。


やべ、やわらけぇ。


ダメだ、これじゃ変態だ。


まずい、手汗で不快にさせてしまうから早くしてしまわないと!


「それじゃあ、俺にマナを流すイメージお願いします」


ゆっくりとソフィアラのマナが流れ込んでくる。


なんだひんやりとして心地よいマナだ。


だが…。


うっ…やっぱりか。


これで少し予想は立った。


「もう大丈夫ですよ、ありがとうございました」


そっと手を離す。


「もういいの」


「はい、疑問が解消されました。

確定ではないですが、MPを増やすことは可能だと思います。

しかし、お嬢様の負担がかなり大きくなることは間違いないです。

下手したらかなり危険な目に合わせてしまうかもしれません」


確かめたのは、他人にマナを譲渡できるかということと、それがマナ回路中を流れるかということ。


結論としては、できることはできた。


しかし、流れ込んできたマナはいわば異物だった。


イメージとしては、血液と同じ。


血液型の違うものを入れているというような感じか。


おそらく取り込んだマナは、入った個体ごとにやや変質するのだろう。


色がつくというか、なんというかそんなイメージだ。


「いいわ、やって」


しかしソフィアラの答えは意外なものだった。


「危険性が伴うのであれば、もう少しきちんと考えられた方がいいと思います。

クロ、あなた何を言っているのかわかっているのですか?」


ご立腹だ。


侍女がソフィアラに言うが、彼女の意見がもっともだ。


俺も提案をしたが、意見としては侍女よりだ。


「そうね。じゃあお父様の所へ行きましょ」


え…?


急にどうしたんだソフィアラは。


まさか、手を握られたとかチクられないよな?


カテキョ初日からまさかのゲームオーバー?






俺はロドリゲスのおっさんの前に訳もわからずドナドナされていくのだった。

ストーリー全然進まない。

ヒロイン出るまで長過ぎですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。