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Re:connect  作者: ひとやま あてる
第1章 王国編
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第16話 労働

俺はメモに従って、指定の場所にたどり着いた。


すっげー豪邸。


やっぱ貴族様だったか。


貴族の作法とか知らないんだけど、粗相したら打ち首とかないよね?


正面の一番大きい門にきたが、門番らしき男たちの視線が怖い。


来たはいいけど仮面被ってたから顔分かんないんだよね、お互いに。


不審者認定される前に保護して欲しいんだけど…。


あ、隣の通用門からひときわ屈強そうな男性がこっちに来てる。


あー、終わった。


「貴様、要件は?」


圧がすごいっす。


「あの、競売でこういうのをもらって…」


恐る恐るもらったメモを差し出すと、乱暴に取り上げられた。


こえー。


「あの時の小僧か」


あの時の護衛の人でしたか。


「付いて来い」


なんだよ、めっちゃこえーよこの人。


黙って付いて歩くが、屋敷まで遠いこと遠いこと。


歩くこと想定してんのか?


屋敷の中も結構歩かされて、屋敷の中でも一番大きな扉の前に到着した。


「ここに伯爵様がおられる。失礼な態度は許されぬぞ」


睨まないでください、分かってますので。


伯爵か、そこそこハイレベルなとこにやってきたな。


「客人をお連れしました」


護衛に付き従って部屋に入ると、40歳くらいのナイスミドルが偉そうに机に踏ん反り返っている。


あ、先に挨拶しなきゃな。


「クロと言います。本日はお招きいただきありがとございます」


こんな感じ?


「よく来た。

私はロドリゲス=デラ=ヒースコート。

君はMPに自信があるということだったな。

ものは試しだ。これにマナを注いでみろ」


護衛が俺にピンポン球程度の大きさの黒い石を渡してきた。


言われた通りにマナを込める。


結構入るなコレ。


かなり時間がかかるが、その間中ずっと俺は観察されている。


何も言われないし、これでいいんだよな?


そろそろ満タンかと思ったくらいで石が赤熱し始めた。


これヤバくね?


「やめろ」


そう言われたので、なんか怖いしやめた。


「……あといくつなら即座に注入可能だ?」


「えっと、あと5つくらいなら大丈夫だと思います」


素直に答えると、護衛共々驚いている様子だ。


「なるほどな、規格外のMPということは理解した。これなら使えるな」


「あの、自分は一体何をすればいいんですか?」


「順を追って説明しよう。

まず先ほどマナを込めてもらった石だが、これは魔榴石と言われるもので、マナを限界まで注ぐと励起してしばらくすると爆発する。

君にはコレにマナを込めて量産する仕事をしてもらう」


なんてもの渡してんだよ。


爆弾の量産とか物騒すぎだろ。


「一体どのような用途で…」


「魔人や魔獣討伐のために大量に必要になる。

特に魔法の効かない性質のものには効果は絶大だ。

それと私には15歳の娘がいるが、戦争のためには性別など関係なく強くなってもらわねばならん。

だからレベル上げにも使う。

君がギリギリまでマナを注いだ魔榴石を使って、娘が最後のマナ充填を行って起動させる。

これが最も効率的だな。

あとは遺跡発掘のためにも使えるな。

大きさに比例するが、さっきの魔榴石ひとつでも民家1つ程度なら簡単に消し飛ぶ威力だ。

用途は腐るほどある」


そうか、魔界から遠いとはいえ出兵はしないといけないのか。


戦わなければ滅んでしまうし当然か。


「理解しました」


「君には一室貸し与えよう。

そこで暮らして働くが良い」


え、ちょっと待ってくれ。


話の進行が早すぎる。


働くことは別に問題ないんだけど。


「えっと、自分は今初等学校に通っていまして、そこに宿舎があるんですが…」


「初等……? なぜそんなことになっているんだ?」


「実は3ヶ月ほど前までだいぶ辺境で暮らしていたので共通語を知らず、言葉を覚えるために通っているところでして……」


「もう十分話せているではないか。

やめても問題なかろう」


「確かにそうですが…」


「それなら私が話をつけておいてやろう。

これで問題はないはずだな」


「そ、そうですね……」


かなり強引だが、変にやめてほしいとか言っても、おかしなことになるだけだろうな。


未練はあるが、学ぶことは大体学んだしな。


「じゃあ、挨拶だけしてきてもよろしいでしょうか?」


「いいだろう、ではコレを持て。

これで自由に出入りすることができる。

あと、そうだな。

働くにあたりMPを使い切ったら時間ができるだろう。

MP回復にあてる時間は娘の家庭教師でもしてもらおうか。

なに、勉強を教えろというわけではない。

教えてやって欲しいのは魔法だ。

君は魔法に長けているのだろう。

娘はあまり魔法が得意ではないからちょうど良いだろう」


どんどん仕事増えるやん…。


娘がじゃじゃ馬だったら扱いきれないぞ?


それに、魔法が得意かどうかは比較対象がいなかったから分かんないぞ。


ごねても仕方ないし、そういうことにしておこう。


「では行って参ります」


護衛に連れられて俺は屋敷を出た。






「えー、クロやめちゃうのかー!?」


「なんでだよー、もっと遊ぼうぜ!」


口々に喚く子供達。


「アレニア先生、急な話ですいません」


「子供達とも仲良くしてくれてたんだけど、仕方ないですね。

お仕事が見つかったなら良かったじゃないですか。

またいつでも遊びにきていいですからね」


「はい、ありがとうございました。

俺もこいつらと遊ぶのは楽しかったので、時間があればすぐ来たいと思います」


後ろ髪を引かれる思いだったが、俺は初等学校を後にした。


いつでも会いにこれる距離だしな。






屋敷に戻ると、侍女が部屋へ案内してくれた。


ここは使用人達が使う、屋敷に併設された宿舎だ。


部屋は初等学校の頃より少し大きい。


宿舎から通うなら生活はさほど変わらないな。


仕事場はどこだろうと思って侍女に尋ねると、今から案内するところだったようだ。


そして連れてこられたのは、屋敷の中からかなり下った部分に設計された地下施設。


爆発したら困るし、こんな所なのも当然か。


あ、そうか爆発するんだった。


下手したら俺死ぬじゃん!


給料はいいけどリスク高いって感じの職業みたいだ。


この空間は魔法で防御がされてるらしいが、俺を守るものじゃあなさそうだしな。


気をつけよう。


防御魔法も覚えたいなぁ。


伯爵様に言ったら魔法の関連書籍見せてくれたりしないかな。


そうそう、俺以外にも同じ仕事に関わる人がいるようだが、魔榴石ひとつ仕上げるだけでも1日かそれ以上はかかるらしい。


ひどい時はマナポーションガブ飲みとか。


マナを注ぐ時以外は別の仕事をしているのだと。


はぁーやだやだ、ブラック企業かよ。


侍女がまだいるのでどうしたらいいか聞くと、とりあえず早速仕事をしろってさ。


これが終わったら娘さんに挨拶らしい。


はいはい、ちゃんと働きますよ。


残ったMPの限界まで使っていくつかの魔榴石を仕上げた。


結構時間はかかったが、マナを注ぐだけの簡単なお仕事だ。


ナメて仕事をやると爆発させる危険があるので、注意してやる。


終わればすぐに移動させられる。


ヘロヘロだが、侍女は待ってくれない。


この仕事の離職率高そうだけど大丈夫か?


次に連れてこられたのは、豪華な扉の前。


侍女がノックをして部屋に入ると、ストレートの青い髪をした少女がいた。


青と言うよりはシアンに近いか。


これまた美人さんの登場だが、はたしてどう転ぶかな。


「あなたは?」


視線がすでに冷たい。


声は案外ハスキーでタイプだ。


違う、こんなこと考えてる場合じゃない。


「あ、えっと、本日より魔法関連の家庭教師をさせていただくことになりましたクロと言います。

よろしくお願いします」


「そう。私はソフィアラ。よろしく」


そっけない!


あまり心開いてくれなさそう。


「じゃあ明日からお願い。今日は帰っていいわ」


うーん、クールというかドライというか。


暗い子なんだろうか。


でもホモルートまっしぐらだった俺にも正規ルートが見えてきたかもしれないぞ!


あの伯爵のことだから、この子に変なことしたら酷い目に合わせてくるだろうけど。


異世界まできてセクハラで逮捕とか勘弁だわ。


魔導書のためだ、しっかり働こう。


「はい、では失礼します」


俺はソフィアラお嬢様の部屋を後にした。






異世界労働、スタートだぜ。

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