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第87話 明日に向かって走れ!

地下にある牢獄にて。

ウンコは今、シクシクと泣いている。


ウンコ、死刑だって。

『死ぬまで死刑』なんだって。


議会にて、満場一致で、そう決まったんだって。

 

数の暴力って、最低だよね。


民主主義なんてクソ食らえ!


ああ、木星帰りのあの男の遺志なんて、

継がなければよかった。


だって、死刑の理由がさ。

『お前は、生きていてはいけないウンコなんだ!』


はあ。

明日の朝から、死刑が始まるんだって。


まずは、釜ゆでの刑からだって。


朝まで、あと何時間あるだろう?


地下だし、時計はないからさ。

今は何時だか、全然わからないんだ。


ああ、腹減ったな。喉が渇いたな。


この牢獄さ。


パンはおろか、水すら飲ませてくれないんだ。



とりあえず、体力温存のために、ふて寝をする。

程なく、深い眠りに落ちた。

 

「起きろ」

と声が聞こえた。


目を開けると、覆面をかぶった2人組がいた。


「ウン公、大丈夫か?」

覆面を脱ぎながら、ヘンデルがそう言った。


「ウンちゃん、助けに来たよ」

覆面を脱ぎながら、オーちゃんがそう言った。


看守は寝ていた。


神ミミックさんからもらった、

『眠れる森の美女の杖』で、眠らせたらしい。


看守からカギを盗むと、

ヘンデルは牢の扉を開けてくれた。

そして、薬草とパンを食べさせてくれた。


これで、元気100倍。 

勇気1万倍だ。



ウンコは脱獄を開始した。

通り道にいる衛兵は全員、

ヘンデルとオーちゃんが既に眠らせていた。


大した問題もなく、裏口までたどり着いた。


外は真夜中。

王都は静まりかえっている。

 

これなら、問題なく脱出できるはず。

 

だが、外に出た瞬間。

天空から、神の特大音声が響き渡ったんだ。

「皆の者!!! ウンコが脱獄したぞ!!! 

 出会えぃ!!!」


建物という建物からさ。


ウジ虫のように、愚民どもが湧き出てきた。


全員、殺意の波動に目覚めた狂人だ。


どこにも、逃げ道がない。

どうしよう?

 

そう思っていたらさ。

神ミミックさんが天から降臨して、言った。

「お前ら、我の背中に乗れ! 

 全速力で正門まで突っ切るぞ!」


神ミミックさんに乗って、

ウンコたちは大通りを疾駆する。


狂人たちがゾンビみたいに、襲いかかってくる。

 

だが、『貨物コンテナ級の大きさの物体』が、

『F1のフォーミュラカー)』並のスピードで、

移動しているのだ。


誰にも止められるはずがない。

その証拠に、

狂人どもは次々とはね飛ばされていく。


神を止められるのは、神だけだ。


そう、神だけなのだ。


前方の空間が、突如歪んだ。

そこから、ゴジ○並に巨大な石像が現れた。


天から、神が言った。

「借金により私の奴隷になった『不動明王』よ。

 ウンコをぶっ殺すのだ!」


「ウガー!」

そう叫ぶと、不動明王は剣を振るった。

地を這う斬撃が、

断層を作りながら、襲いかかってくる。


神ミミックさんは、ギリギリ回避に成功した。

狂人どもが100人くらい、

断層に飲み込まれて、落ちていった。


「お前たち、降りろ」

神ミミックさんはそう言った。


悲壮な覚悟がヒシヒシと伝わる。

どうやら、不動明王とガチで戦うつもりらしい。


神ミミックさんの全身から、金色のオーラが迸る。


これから、神と神のガチバトルが始まる。


巻き込まれたら、たぶんウンコでも死ぬだろう。

 

「ここは我に任せ、全速力で逃げよ! 

 決して振り返るでないぞ!」


そう叫ぶと同時。

神ミミックさんは光の速さで、

不動明王にかみついた。


俺たちは、振り返らずに走る。


それがさ。

死亡フラグを立ててしまった、

神ミミックさんの遺言だから。


「うぉおおお、

 生きて帰ったら、娘と仲直りするんだぁ!」

はい、死亡フラグの2本目が立ちました。


「うぉおおおっ! 勝ったぞぉおおおおおおお!」

あれ? 勝っちゃったの?


「ぐはぁあああ! おのれ、幼女め! 

 不意打ちとは卑怯な……バタ……」


あっ、やっぱり死んじゃった。


「安心しろ、神の情けで、峰打ちじゃ」

よかった、死んでいなかった。


よし、ガンバって逃げ切るぞ。

ゴールはもうすぐ……


なんだけどさ。


正門の前では、ガルドの指揮の下、

『狂人精鋭部隊』が続々と集まり、

守りを固めていた。


ウンコたちだけじゃ、絶対に突破できない。

だから、一時撤退。


ほとぼりが冷めるまで潜伏だ。


そう思ったんだけどさ。

 

囲まれちゃった。

前後も左右も、狂人どもで埋め尽くされている。


狂人どもが、武器を鳴らし合いながら、

残虐に叫んだ。


「「「ウンコを殺せ!!! 

   その仲間も殺せ!!!」」」


「ウン公、怖いよ」とヘンデル。

「ウンちゃん、死にたくないよ」とオーちゃん。


覆面をつけた2人は、哀れな程、震え怯えていた。


どうしよう?

このままじゃ、2人が死んじゃう。


ウンコを助けに来るくらい、良いヤツらなのに。


ああ! ああ! 全ては俺のせいだ!


俺は土下座して、絶叫した。

「神よ!

 全て、俺が悪かった!

 俺はどうなってもいい!

 だから、2人の命だけは助けてやってくれ!」


返事は即座に返ってきた。

「嫌じゃ」


俺は絶望した。


だが、天空からもう一つの声が響いた。

「悔い改めたようですね」


声の主は、仮面をつけた『謎の女騎士』だった。


というか、服装で即バレ。

姫騎士ルルナだ。

その肩には、迷彩柄の職証君が乗っている。


「とおっ!」

ルルナは3階の屋根の上から、飛び降りるとさ。

「姫のように可憐に。騎士のように華麗に。

 姫騎士ルルナ、参上です!」

そう名乗ってしまった。


うわ、仮面をつけている意味がねえ。


バカ騎士は、必殺技の構えをとった。

「一気に突破しますよ!」


賢王オーちゃんは、心配そうな顔になった。

「必殺技なんて使ったら、

 民たちが死んでしまうよ」


ミリタリー職証君は、

先任軍曹みたいに偉そうに言った。

「問題ない! クソったれども!

 民間人は全員、神様の魔力で強化されている。

 行くぞ! ゴミクズ童貞野郎ども!」


ルルナは必殺技を放った。

「ベヒーモス・ハードタックル!」


剣を突き出しながら、ルルナが突進する。

狂人どもが、どんどん吹き飛ばされ、道ができる。


その道を、俺たちは駆け抜けた。

 

そして、全員が正門を抜けるや、

ルルナは必殺技を放った。

「姫騎士斬鉄グングニル!」

正門は破壊され、正門は瓦礫で封鎖された。


それから、俺たちは走りに走り。


腹時計で1時間後……

「ふうぅ、ここまで逃げれば、もう安心ですね」

根拠もなしに、ルルナがそう言った。

 

「本当に安全なのか?」

疑わしげに、ヘンデルがそう聞いた。


「はい、とりあえずは安全です」

職証君(元の白無地に戻った)がそう答えた。


まあ、職証君が言うなら、安全だな。


ヘンデルもそう思ったみたいで、

胸をなで下ろした。


「そっか。ふう。でさ……」

ヘンデルが上目遣いで、言葉を続けた。

「ウン公、お前。

 ズキンさんと仲が良いんだよな?」


「兄と言っても過言ではない」

当然のように、俺はそう答えた。

でもなんでズキンのことを知っているんだ?


ヘンデルは照れ臭げに、

懐から手紙を取り出すと、言った。

「お、お礼の手紙を書いたんだ。

 機会があったら、ズキンさんに渡してくれ」


なんでも、ヘンデルとグレーテル。

2人は入院している間、

ズキンに看病されていたらしい。


クソ! ニアミスだ!

ウンコもズキンに看病されたかった。


うらやましいな。

嫉妬の余り、殺意が芽生えるよ。

 

だけど、友の頼みだ。

「わかった。快く引き受けよう」


ヘンデルは元気よく、叫んだ。

「ありがとう! ウン公兄さん!」


その表情はさ。

ヘンデルが初めて見せた、

少年に相応しい笑顔だった。 

 

やれやれ。

この手紙、絶対にズキンに届けてやらないとな。


朝日が昇り、別れの時間となった。


名残惜しいが、ヘンデルとオーちゃんは常人。

これ以上、ウンコのそばにいては、命に関わる。


「ウン公、もう調子に乗るなよ。またな」

「ウンちゃん、もう調子に乗っちゃダメだよ。

 またね」 

そう言い残し、2人は去って行った。


これにて。

この章は、終わりを迎える。

この章にて、

ウンコが伝えたかったことはただ1つ。


『情けは人の為ならず』

人に優しくすると、

いずれ、自分に返ってくるのだ。


うん、カッコいいことを言った。

ウンコは満足した。


これにて、この章はおしまい。


と言いたいところなんだけどさ……


「ウンコぉおおおおおおおおぅ!!!」

地平線の彼方から、

猛烈な勢いで走ってくる人間がいる。


姫魔女アゼレアだ。

その表情は、殺意に満ちている。


「ウンコぉおおお! 

 よくも私のへそくりぉおおお! 

 殺す! 殺す! 殺す! 殺す!

 殺してやるぅううううううううう!!!」


どうやら、この章のラスボスは、

あのケチ魔女らしい。


「ルルナさん、よろしくお願いします」

ルルナ(女)の陰に隠れて、

ウンコ(男)はそう言った。


「はい、姫騎士は2度も不覚はとりません。

 レーヴァテイン・バハムート」


ルルナはそう言うと、必殺技の構えをとった。


「邪魔する奴は皆殺しだぁあああ!

 クリムゾン・ドラゴンフレア

 ・ファイナリティー!」


アゼレアの手から、巨大な炎竜が放出された。


やばい! やばすぎる!

食らったら、絶対に死ぬ!


だが、ルルナは超然と迎え撃った。

「姫騎士斬鉄グングニル!」


姫騎士斬鉄グングニル

VSクリムゾン・ドラゴンフレア・F。


2つの超技が激突し、爆音が轟いた。


そして、結果は……


アゼレアの脱衣KO!

ルルナの大勝利だ!


おっしゃあ! 

俺はアゼレアの元に駆け寄った。


当然、乳房と股間を隠す、

邪魔な布きれをはぎ取る為だ。


でも、目前でさ。

ルルナに首根っこをつかまれちゃった。


「殺・シ・マ・ス・ヨ」

怖い笑顔で、ルルナがそう言った。

 

ウンコは泣く泣く、この場を去ることにした。

 

「ま、待ってくれ……」 

後方から、

アゼレアの弱々しい声が聞こえてきた。


姫騎士の情けで、

薬草を1枚は食べてはいるけどさ。

まだまだ、アゼレアは瀕死の状態である。


アゼレアは立ち上がると、

仲間になりたそうな顔で、こっちを見てきた。


いや、まさかな。


でも、一応聞いてみる。

「お前、俺たちと一緒に旅したいの?」


アゼレアはうなずいた。

「そうだ。もう金がない。

 だから、金を稼ぐ旅に出たいんだ。それに……」


「「「それに?」」」

俺とルルナと職証君は、そう聞いた。


アゼレアは顔を真っ赤にして、叫んだ。

「寂しいからじゃ、絶対にないんだからな!」


萌えぇええええええっ! 採用決定!


こうして、新たな仲間を加え、

ウンコの旅は続くのだった。


めでたし。めでたし。


と言いたいんだけどさ。


「ぐはぁああああああああああああっ!」


あ、これ。

今、神に雷を落とされた、ウンコの断末魔だよ。


幼女の奴。

してやられたまま、

エンディングを迎えるのが、嫌なんだってさ。

 

クソ野郎!


あ、これは余談なんだけど。


この後、ウンコはさ。

ヘンデルの手紙を、ビリビリに破り捨てました。


理由は、手紙を検閲した結果。

『ズキンへのラブレター』

であることが判明したからです。


ズキンは俺の妹。

絶対、嫁には出しません!


それと、もう一つ余談。

この後、

ヘニクス国は赤ズキン国に併合されました。


なんでも、ズキンは、ウンコが知らない間にさ。


『病院にて、

 石像病に苦しむ患者を、素手で触れて看病』


『飲まず食わずで、

 強制労働していた男どもに、食料を支援』


『財政破綻したヘニクス国に、緊急財政支援』


等々、色んなことをしていたんだって。


これら、聖女の如き功績によってさ。


ヘニクス国内で、ズキンの人気が大爆発した。


『ズキン様の治政で暮らしたい』

そんな内容の署名が、

目安箱3万個分集まってしまった。


結果、国民投票が行われ、満場一致の結果にて。

ヘニクス国が赤ズキン国に

併合されることが決まった。


『ウンコの免罪』

を条件に、ズキンはヘニクス国の併合を承認した。


ズキンの活躍により、

『ウンコ王の暴政での死亡者がゼロだったこと』

もあってか、

ヘニクス国議会は渋々、ウンコ免罪を承認。


ズキン、マジ天使。

ズキンがいれば、全てがハッピーエンド。

 

これにて、この章は本当に終わり。

以上!


第2章 ウンコとダンジョン。おまけに姫騎士。完。 

第3章 ウンコと憎しみの連鎖。おまけに姫騎士。に続く。


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