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第117話 戦友。

「ツイテクルナ」と修羅ウンコ。


「いいえ、貴方を見守ることが、

 職証たる私の責務ですから」と職証君。


「フン、カッテニシロ」


当てもなく、

ウンコは職証君と共に、歩き続けた。


なにかしなければ、なにも始まらない。


世界を変えるのは、小さな1歩から。


神と人間を滅ぼすのも、小さな1歩から。


ウンコは、荒野を耕しているハナ爺と遭遇した。


ハナ爺は平和主義者だ。

戦いには向かない。仲間にはならない。


ウンコは素通りしようとした。


すれ違いざまに、ハナ爺は言った。


「ウン公よ。わしは参った。

 この荒れ地では、どんなに頑張っても、

 薬草は実らん様じゃ」


ハナ爺は落ち込んでいる様だった。

ハナ爺が落ち込むと、ウンコは悲しい。


「コレヲ、ヒリョウニシロ」

俺はそう言うと、

ウンコを1個召喚し、荒野に落とした。



その後も、俺は歩き続けた。

「ムッ」

不意に思い立って、

しゃがんで、俺は地面を嗅ぐ。


「ドウホウノニオイ、アチラカラ、スルゾ」


そんな俺を見て、職証君が悲しそうに言った。


「ああ、ここまで、

 人間離れしてしまいましたか」

 


魔族の匂いを辿り、俺は歩き続けた。


結果。

魔族解放戦線のアジトに辿り着いた。


アジトである洞窟の入り口で、

番をしているネズミ魔族が言った。

「お前は誰だ?」


ウンコは残された知性の全てを使い、

自己紹介した。


「ワガナハ、ウンコー。

 カミト、ニンゲンドモニ、

 フクシュウヲ、チカイシ、マモノダ」


職証君が遠回しにお墨付きをくれた。

「確かにこのウンコ、

 もはや人間と言ったら語弊がありますね」


魔族解放戦線は、深刻な物資不足で、

ギリギリの生活をしていたのにさ。


魔物であるウンコに優しくしてくれた。


3食食べさせてくれた。

ワラの寝床で眠らせてくれた。


尊厳ある生活を送り、

徐々にウンコは人間性を取り戻していった。



「今日も行くのか?」

ヴァイテガにテロをしに行く魔族たちに、

ウンコはそう言った。


「「「ああ、

   散っていった仲間たちのためにもな」」」


決死の出撃をした魔族たちは、

誰一人戻って来ない。


昨日も3日前も1週間前もだ。


彼らは今、牢獄にいるのだろうか?


それとも、死刑になってしまったのだろうか?


遺される悲しみに耐えきれず、ウンコは訴えた。


「俺も一緒に行きたい」

「ダメだ」


魔族たちは首を振った。


ヴァイテガでテロをするには、

高い城壁を越える必要がある。


仲間たちは、

翼の生えた豚(翼豚)に乗って、

出撃をする。


ウンコは翼豚には乗れない。


翼豚>ウンコ。


それが世界の理だからだ。


それでも、今日も、

ウンコは翼豚に乗る訓練をする。


だが、翼豚たちは、

絶対にウンコを背中に乗せてくれない。


必死に暴れ、

後ろ足で乱れ蹴りを放ちながら、

抵抗してくる。


ウンコは無力に泣いた。


最初の涙が地に落ちたと同時に、

天から天馬が降りてきた。


見覚えがある天馬だった。

と言うか、忘れるはずもない。


この天馬は勇者傭兵団と死闘を繰り広げていた、

あのゾンビペガサスだ。


ゾンビペガサスは傷だらけで、衰弱していた。


体力を回復させるために、

パン屑を与えたが、1口も食わない。


薬草も同様に、1口も食わなかった。


ゾンビは腐っているから、

腐った物しか食べないのかもしれない。


ふと、そう思った俺はウンコを召喚すると、


「ほら、食えるもんなら、食ってみろ」


と言って、

ゾンビペガサスの口元に、ウンコを差し出した。


ゾンビペガサスはウンコをモグモグ食べた。


ゾンビペガサスは元気になった。

なんと、全身の傷も癒えている。


ゾンビペガサスは首を曲げて、

背中の辺りを示した。


乗れという合図だと、

判断したウンコはその背に乗った。


ゾンビペガサスは天に向かって羽ばたいた。


空高く舞い上がり、

ウンコを乗せて、超スピードで空を駆けていく。


雲を突き破る。

眼下の世界がミニチュアの様に見える。


今、ウンコは風になっている。


ヒャッホー。

 


腹時計で30分後。


俺たちは再び、

魔族解放戦線のアジトに戻ってきた。


着地するや、ゾンビペガサスの腹が鳴った。

俺は、ゾンビペガサスにウンコを食べさせた。


その際、1つ気づいたことがある。

ゾンビペガサスの全身に、

苔が生えていることだ。


しかも、この苔はさ。

ウンコを食わすと、一回り大きくなる。


腐葉土があるくらいだからさ。


腐った皮膚でも、

植物は生きていけるようだ。


ならば。


ウンコは、パンツの内ポケットから、


『永遠薬草の種(ハナ爺からもらった)』

を取り出し、ゾンビペガサスの頭頂部に植えた。


俺は再び、ゾンビペガサスに薬草を食わせた。


すると、種は即座に芽吹いた。


それだけではない。

芽はニョキニョキと成長し、

花が咲き、葉っぱは薬草になった。


芽から、薬草まで。


この間、約5秒。


驚くべき、成長スピードである。

 

俺は、その薬草を食べてみた。

「美味い!」


俺はおかわりと思ってさ。

ゾンビペガサスにウンコを食わせた。


『永遠薬草の種』

というだけあってさ。


ゾンビペガサスの頭頂部に、薬草が再び生えた。


薬草は食べても食べてもさ。

ゾンビペガサスにウンコを食べさせれば、

頭頂部から生えてきた。


ヒャッホー。

もう、回復アイテムの心配はいらないぞ。



ウンコはゾンビペガサスに乗って、

単騎出撃した。


ヴァイテガの心臓部である証券取引場の屋根に、


『ウンコノ、フクシュウ、ハジマリダ』


とウンコで書くと、俺たちは逃げ出した。


ついでに、ヴァイテガの正門前にて。


入都審査中の輸送馬車の荷台を、

ウンコでビチャビチャに汚してやった。


してやったり。


「超気持ちいいぜ。なあ、そうだろ……あっ」


そう言えば、

ゾンビペガサスに名前をつけていなかったっけ。


ウンコの天馬だから、うん。

「お前の名前はクソだ!」


ハナ爺。

俺はついに、安住の地を見つけたよ。


そこは、クソの背中だ。

ウンコとクソは、常在戦場。

人間どもを滅ぼすまで、戦い続けるだろう。


そんな修羅の道でもさ。

クソの背中でならば、

俺は安らぎ続けることができる。


なぜなら、ウンコとクソはさ。


フン怒を分かち合う、

無二の戦友だからだ!



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