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第115話 正義の戦い。

翌日の朝。


人間どもがやって来た。


ルルナがいる。アゼレアがいる。


グレンとミランダとダモフがいる。


勇者傭兵団の連中もフル装備だ。


人間どもは、

持てる戦力の全てを投入してきたようだ。


ルルナは殺気を放っていた。

「魔族に味方するなんて、

 死ぬまでお仕置きです!」


アゼレアも殺気を放っていた。

「がま口のことを考えると、

 まだ殺し足りねえ!」


グレンも殺気を放っていた。

「魔族どもがサボタージュされた腹いせに、

 てめえを殺す!」


ミランダも殺気を放っていた。

「私の本性を見破ったウンコは、

 この世から消滅させます!」


ダモフも殺気を放っていた。

「よくも、

 わしの森林と倉庫を爆破してくれたのう! 

 完殺しじゃ!」


残りの人間ども(モブ)も殺気を放っていた。

「「「ウンコ、汚いから殺す!」」」


どうやら、全員がウンコを殺す気満々みたいだ。


でも、今のウンコは最強なので、気にしない。


そんなことよりもさ。

今、この瞬間に気になったことがある。


だから、聞いてみた。


「お前らさ。

 俺のミニスカメイド服姿を見て、

 ツッコミの1つもないのかよ?」


ルルナが答えた。

「今更、ウン公さんがなにを着ていたって、

 誰も驚きませんよ」


アゼレアが答えた。

「わいせつ物を陳列していないだけ、マシだな」


ルルナが再び答えた。

「ウン公さんの奇行は一般常識ですからね」


最後に、人間ども(雑魚モブ)が答えた。

「「「いちいちツッコミを入れていたら、

   身が持たない!」」」


ふっ。酷い言われようだ。

一応言い訳をしておくとさ。


このミニスカメイド服を着続けているのは、

丈夫だからだ。


その証拠に、

このミニスカメイド服のタグにはさ。

『全属性耐久』と書いてある。


だからさ。

勇者にボロ布の服を与え、

ウンコはミニスカメイド服を着続けているのだ。


まあ、薄汚い人間どもに、

どう思われても、俺は構わない。


俺の仲間は、ミーニャと魔族たちだ。


でもさ。


このウンコのミニスカメイド服姿。


ミーニャと魔族たちからも、

何のツッコミもなかったっけ。


なんか悲しくなってきた。

ウンコはしゃがみ込んだ。


でもさ。

ウンコの双肩には、

ミーニャと魔族たちの運命がかかっている。


だからさ。


ウンコよ、立て!

悲しみを怒りに変えて、立てよ、ウンコ!

ジーク・ウンコ!


という訳で、

怒りMAXのウンコは立ち上がった。


ウンコは天を仰ぎ、神妙に語り始めた。

「これから――」


「「「ウンコにとっての地獄が始まる」」」


クソ、人間どもめ。

ウンコの台詞をインターセプトしやがって。


まあいい。

仕切り直しだ。


「神に祈る必要はない。なぜなら――」


「「「ウンコは生来、

   神に見放されてるもんな」」」


クソ、またしても人間どもめ。

ウンコの台詞をインターセプトしやがって。


今度こそ、3度めの正直だ。


「命乞いをするなら――」


「「「今のうちだぞ!」」」


クソ、クソ、クソ。

仏の顔も3度までだ。


「きぇええええええええええええっ!」

ウンコは怪鳥の様な奇声をあげた。


でもさ。


「ハッタリですね」とルルナ。

「ハッタリだな」とアゼレア。


「だが、今回はハッタリではないぞ!

 人間ども、刮目せよ!」


ウンコはそう宣言すると、

両腕を翼のように広げて、片足立ちした。


この不死鳥の構えを維持したまま、

ウンコは絶叫した。


「ファイナル・ファンタジック・フレアぁあ!」


でもさ。


なにも起きなかった。

バグかな? 


まあいい。次だ。


俺は、両手で竜の口の形を作った。


この竜砲の構えを維持したまま、

ウンコは再度絶叫した。


「ドラゴニック・エスト・サンダーぁあああ!」


でもさ。


またしても、何も起きなかった。


発音をもうちょっと、

ネイティブにするべきだったかな? 


まあいい。3度目の正直だ。


俺は、全身をブルブル震わせた。


この凍死の構えを維持したまま、

ウンコは再再度絶叫した。


「グランヅィア・ヴァリザードぉおおお!」


それでもさ。


なにも起きなかったんだ。


人間どもは、大爆笑している。


「「「ひゃははは! ウンコ、マジ芸人! 

   超ウケる!」」」


人間どもは楽しそうに、ウンコの物真似を始めた。

 

「「「ファイナル・ファンタジック・

   フレアぁあああ!」」」

「「「ドラゴニック・エスト・

   サンダーぁあああ!」」」

「「「グランヅィア・

   ヴァリザードぉおおお!」」」

 

畜生、徹夜で考えた決めポーズなのに。


生き恥だ。


ウンコは天に向けて、叫んだ。


「神様! 

 最期の幻想の炎は!? 

 究極の巨雷竜は!? 

 偉大なる猛吹雪は!?」


天から、神様は答えた。

「もう一度、呪文を唱えてみよ」


ウンコは言うとおりにした。

「ファイナル・ファンタジック・フレアぁあ!」


そう叫ぶと、七色の炎がウンコの全身を焼いた。


「ド、ドラゴニック・エスト・サンダ~」

そう言うと、

究極の雷竜がウンコめがけて、雷ブレスを吐いた。


「グ、グ、グラ……、ンデア、ブ……、リザード……」

そう息も絶え絶えに呟くと、

ウンコの周りにだけ、極寒の猛吹雪が荒れ狂った。


「種明かしをするとな」

と神様が言った、神様いわく。


ウンコが呪文を唱えたタイミングに重ねてさ。

神様が小声で呪文を唱えていたらしい。


だからさ。

最期の幻想の炎も、

究極の雷竜も、

偉大なる大吹雪も、全て神様の力。


それを、ウンコはさ。

自分の力だと勘違いして、赤っ恥。


そんで、

3大超神魔法を身に受けて、

ただ今ウンコは、瀕死中。


「か、神様。な、なんで……こんなことを……」


「この機会に乗じて、

 ヴァイテガの魔族を皆殺しにしようと

 思ったんだよ」


「そ、それは……どういう意味ですか?」


「ウンコに全魔族を指揮させて、

 人間どもと全面戦争させるつもりだったんだよ」


「そんなことをしたら、

 魔族たちが皆殺しになるじゃないですか」


人間どもには、勇者セインがいなくてもさ。


姫騎士、姫魔女、

大戦士、大僧侶、大魔法使いがいる。


対する魔族には、魔王ネメアは既に亡く。

特記戦力は、ウンコとミーニャだけ。


しかも、2人とも役立たず。

だから、結果は目に見えて明らか。

確実に、俺の仲間たちは全滅するところだった。


「それでいいのだ」

神様は天から、そう冷酷に言った。


「この外道が……」 

ウンコは天に向かって、そう吐き捨てた。


「神を外道呼ばわりとは……

 なんたる無礼。神の子たる人間たちよ!」


幼女の呼びかけに、

その子供である人間どもは答えた。

「「「なんですか? 神様?」」」


「神の名の下に命令する。

 ウンコを死ぬまで殺すのだ!」


「「「イエス! アイ! マム!」」」


人間どもは武器を構えた。

人間どもは、ウンコを殺すために、

ジリジリと距離を詰めてくる。


「話せばわかる。話せばわかる」

とウンコは犬飼総理のように説得を試みた。


まともな理性の持ち主ならばさ。

俺の話を聞けば、

幼女=邪神であることに気づくはずだからだ。


だが、人間どもに、まともな理性などなかった。


「「「魔物に言葉は通じない! 

   よって問答無用!」」」


この宣言を合図にさ。

ウンコに対する処刑が始まった。


荒れ狂う激痛の嵐。


だが、5分も経たずに処刑は止まった。


理由は、このアゼレアの一言だ。

「このミニスカメイド服の生地……

 新型の魔法生地だ。でもなんでウンコが?」


アゼレアの疑問に、ダモフが答えた。

「わしが着せた。その理由はじゃの……」


ダモフいわく。

ウンコが着ていることが、

なによりの宣伝になるのだそうだ。


そのキャッチコピーはさ。

『ウンコが着続けても、原型を保ち続けます』


「確かに、最高の宣伝文句だ」

とアゼレア。


「じゃろう。みんな欲しくなるじゃろう?」

とダモフ。


「「「はい! 是非欲しいです!」」」

と人間(雑魚モブ)ども。


「なら、実証実験として、

 ウンコの処刑を続行だ!」


このアゼレアの一言で処刑は、再び始まった。

いや加速した。


人間どもは3交代制のシフトを組み、

朝も昼も夜も、ウンコをぶっ殺し続けた。


でもさ。


ウンコは『なかなか死ねなかった』。


この激痛が永遠に続くことを想像すると、

俺は気が狂いそうになった。



処刑が始まってから、4回目の朝。


ウンコの正気がちぎれ飛ぶ寸前。


再度、激痛が止まった。

「お兄ちゃんをイジメるのは、止めて下さい!」


そう訴えて、人間どもの暴力を止めたのは、

ズキンだった。


手紙に書いてあった通り、

ズキンはヴァイテガにやって来たのだ。


「暴力はどんな理由があっても、最低です!」

そう憤る、優しいズキンなら、

俺の言うことを理解してくれる。


と思ったんだけどさ。

ウンコには、

言葉を出す体力すら残されていなかった。


代わりに、人間どもが、

ズキンにウンコの悪口を吹き込んだ。


ズキンは頬を膨らませた。

「また、お兄ちゃんは調子に乗って! 

 私は怒ったんだよ!」


それから、腹時計で3時間程。

俺はズキンに説教された。


「お兄ちゃんは、

 そこでずっと死んでればいいんだよ!」


そう怒ると、ズキンは去って行った。


俺、ズキンに見捨てられちゃった。

もう死にたい。というか死のう。


まず形から死ぬために、

俺は全身の力を抜いた。


意識的に瞳孔を拡大させた。

呼吸も止めた。

 

すると、人間どもはさ。


ズキンに怒られて、

ウンコがショック死したと思い込んだ。


人間どもは皆、満足顔で帰っていった。

特に、アゼレアの満足顔はダントツだった。


だって、ケチ魔女はさ。

『ウンコが死んでも、原型を保ち続ける』


という『新作魔法生地』の

最強の宣伝文句を手に入れたんだもんね。


クソ野郎!




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