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第111話 伝説の戦い。

それから、3日後の朝。

勇者セインが勇者傭兵団全軍を率いて、

やって来た。


目算で、1万人はいるであろう大軍だ。


「魔族の皆さん、集団暴走行為は止めて、

 都市に戻ってきてください」


この勇者の説得に、

魔族たちは当然、大反発した。


ブーイングの嵐がわき起こる。


「勇者憲法第21条で、

 集会の自由は保障されている。

 だから、俺たちは暴走を止めない」


このウンコの主張に、

魔族たちは当然、大賛成した。


ウンコ・コールの嵐がわき起こる。


「それは公共の福祉に反しない限りの話です!」


勇者はそう反論するも、ウンコは負けない。


「俺たちは誰にも迷惑をかけてない! 

 だから、公共の福祉に反してない!」


「いいえ、

 貴方たちの行動は公共の福祉に反しています」


勇者いわく。

俺たちの集団暴走行為によってさ。


外国の輸送商人たちが恐れをなし、

ヴァイテガの物流がストップ。


今では、食料すら不足してるそうだ。

「だから、戻って来て下さい。お願いします」


勇者は頭を下げた。


「嘘こけ! 

 グレンたちに言われたから来たんだろ!

 安い労働力が不足して、困っているってな!」


「「「ウンコの言うとおりだ」」」


魔族たちは、ウンコの意見に賛同した。


「どうせ、

 魔族は家畜と同等の権利しか

 有しませんからね~」


ウンコは嫌らしい声で、そう言うと、

魔族たちは大爆笑した。


勇者は苦渋に満ちた表情で言った。

「従わなければ、実力行使します」


人間どもは完全武装していた。

対する魔族たちは剣も盾も鎧も持っておらず、

完全に無防備。


戦闘になれば、

虐殺の嵐になるのが目に見えていた。 


ここで、沈黙を続けていた兄貴が口を開いた。


「おい、勇者セインよ。

 ここは頭同士の勝負で、決着をつけねえか?」


「つまり、

 私と貴方の決闘で決めるということですか?」


問い返す勇者に、兄貴はうなずいた。


「そうだ。その方がお前にとっても、

 都合がいいだろう?」


勇者はホッと胸をなで下ろすと、言った。


「そうですね。わかりました。そうしましょう?」


「だそうだ。お前ら、それでいいよな?」と兄貴。


「「「いいとも!」」」」と俺たち舎弟。


この通り。


俺たち全員は兄貴の偉大さを信じているので、

異論はない。


こうしてさ。

兄貴VS勇者の頂上決戦が行われることになった。


兄貴は馬車の中から、

ワイン樽大のヘッドを持つ

巨大なハンマーを取り出した。


あ、このハンマー。

確か、名前はミョルニル。


元々は幼女の物でさ。

赤ズキン革命の時に、特別に貸し出された武器だ。


同じく貸し出されたエクスカリバーを、

ルルナは嫌々ながらも返した。


フラッシュバックする、

邪剣ウンコブレードのトラウマを振り払うように。


ウンコは天を仰いで、叫んだ。

「神様、兄貴から、

 ミョルニルを返してもらわなくても、

 いいんですか!?」


天から幼女がボソッと言った。

「だって、あいつは怒らすと、超怖いだもん」


さすがは兄貴だ。

神ですら恐れをなす、最強の存在。


ミョルニルを無造作に肩で担ぐと、兄貴は言った。

「これで準備OKだ。

 どこからでも、かかって来いや」


勇者は怪訝な顔で言った。

「無防備ですね。

 回避するつもりはないんですか?」


「ああ、ないね。

 攻撃を避けるような奴は男じゃない」


さすがは兄貴。男の中の男です。


「死んでも後悔しないで下さいよ」

勇者はそう言うと、剣を構えて叫んだ。


「超必殺、テラデイン!」


勇者の剣に落雷し、

その轟雷の全エネルギーが、刃に付与された。


勇者は兄貴に飛びかかり、魔法剣を振り下ろした。


「ブレイク!」


勇者の超必殺技、

『テラデイン・ブレイク』は凄まじい威力だった。


周囲にいる者たちまで、

衝撃波で吹き飛ばされ、

辺り一面が土煙で覆われた。


なにも見えない。

兄貴は生きているだろうか?


そう、俺はいらぬ心配をした。

だが、杞憂だった。


煙が晴れると、兄貴の仁王立ち姿が見えた。


上半身は裸だが、身体は無傷。


勇者の超必殺技は、

兄貴に1ダメージも与えることができなかった。

兄貴、まじ偉大。


「まさか……」


目の前の現実を受け入れられず、呆然とする勇者。


そんなボケ野郎に、兄貴は必殺技を放った。


「ファイナル・ハンマー夜露死苦ラッシャー!」


兄貴の剛力によって放たれた、巨槌の一撃。

 

勇者は辛うじて、剣と盾でガードするもさ。


「ぎゃああああああっ!」


剣と盾は破壊され、鎧までも破壊され、

勇者は脱衣KOした。


リーダーが倒され、

勇者傭兵団は瓦解し、逃走を始めた。


「次は私が戦います!」

とルルナ1人が息巻くものの、


「貴方が死んだら、

 次は誰が勇者傭兵団を率いるんだ?」

と周囲に説得され、


「放して、放して下さい~~!」

とルルナは駄々をこねながら、

引きずられていくのだった。



その夜。

俺たち(反人間集団)は大宴会を開いた。


宴会は深夜まで続き、明け方前。

皆が寝静まった頃に、

ウンコは、こっそり勇者の元に向かった。


勇者セインは未だに、

全裸で荒野に放置されていた。


まだ、虫の息ながら、生きているのにだよ。


さすが、人間どもは薄情である。


ウンコは人格者なので、

勇者に薬草を食わせるとさ。


がま口から、ボロ布の服を取り出して、

勇者に渡して、言った。


「男がチ○コを出すと、

 物語全体が迷惑するんだよ」


勇者は鼻歪みの変顔で、

ウンコのお古を着ると、礼も言わずに歩き出した。


でもさ。


「そっちは、ヴァイテガとは逆方向だぞ」


ウンコがそう言うと、

勇者は悲壮な顔で言った。


「私はネメアとの約束を

 果たさなければならないんだ」


「ネメアとの約束?」


ウンコはそう聞き返すも、

勇者には聞こえていないようでさ。


「だから、もっと強くならないと……

 強くならないと……」


うわ言のように、そう繰り返しながら、

勇者はフラフラと去っていった。



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