第104話 芸術作品。
「ツン、ツン、起きろニャ、ウン公」
「ん……、ミーニャか?」
ミーニャに棒で突かれて、
覚醒したウンコは、
「また死ねなかったか……」
と哀感たっぷりに呟いた。
「探したんニャぞ。プンプン」
姫猫殿はご立腹のようだった。
だが、勝手にいなくなったのミーニャだ。
それに、ウンコの方が、
ボケ猫よりもご立腹なのだ。
薬草を少しかじると、ウンコは立ちあがった。
「おのれ、勇者一行どもめ……。覚えてろよ」
悪役感たっぷりの台詞を吐きながら、
ウンコは天を見上げた。
満月が輝いていた。
月明かりに照らされた中央広場。
そこに整然と並べられた、勇者一行の石像。
こいつらだけは、絶対に許さない。
俺は、ウンコを4個召喚し、地面に置いた。
「ミーニャ、これから芸術作品を作るぞ」
「ウン公、なんか鬼気迫る顔つきだニャ。
芸術家みたいだニャ」
「そう、俺はウンコ・アーティストだ。
はぁあああっ!」
ウンコは神経を極限まで集中させると、
4連発でウンコを投げた。
「クソ食らえ! クソ食らえ!
クソ食らえ! クソ食らえ!」
1個は、勇者像の口に命中。
1個は、大戦士像の股間に命中。
1個は、大僧侶の尻に命中。
1個は、大魔法使いの右脇に命中。
フッ、これにて。
スカ○ロ勇者像。
チ○コ臭い大戦士像。
お漏らし大僧侶像。
ワキガ大魔法使い像。
以上、汚物パーティー像の完成である。
「ニャハハハ! 超ウケル! ニャハハハ!」
ミーニャがブレイクダンスするように、
笑い転げている。
だが、ウンコの表情は厳しいままだった。
だってさ。
「ヤバい、この犯行は誰がどう見ても、
ウンコが犯人であることが明白だ」
このままでは、間違いなく復讐される。
ウンコは顔面蒼白になった。
ミーニャが言った。
「大丈夫ニャ。ニャルが友情パワーで、
証拠を隠滅してやるニャ」
ミーニャは証拠を隠滅し始めた。
「ニャン・トルネード!」
超高速回転のドリルキックが、
チ○コ臭い勇者像の股間を貫通した。
「ニャん風裂斬!」
超高速の爪撃真空波が、
スカ○ロ大戦士像の口を切り取った。
「ニャーパー・コンポ!」
超高速の爪撃乱舞が、
お漏らし大僧侶像の尻を削り取った。
「真空ニャー掌!」
超高速の掌底打ちが、
ワキガ大魔法使い像の右脇をえぐり取った。
そして、最後にはさ。
「超必殺、姫ニャー・タイフーン!」
超小型に圧縮された台風が、
勇者一行の石像を粉々に砕いた。
姫と冠する職業だけあってさ。
なんとも、馬鹿げたミーニャの戦闘力であった。
ウンコは思わず、愚痴る。
「なんで、そんなに強いのに、
イジメられるんだよ?」
ミーニャは胸を張って答えた。
「ニャルは、物に八つ当たりは得意ニャ。
けど、生き物相手の暴力は
1度も振るったことがないニャ」
「威張って言うようなことかよ……」
……いや、威張れることか。
力を持っているのに、
他者を虐げないということはさ。
それだけで美徳に値する。
どこかのバカ騎士やケチ魔女に、
見習わせてやりたい。
まあ、なにはともあれ。
「逃げるぞ。ミーニャ」
犯人が立ち去ることで、
証拠の隠滅は完了するのだ。
俺はミーニャの手を引いて、1歩踏み出した。
足下に固い感触を感じた。
俺は1枚の銀貨(10G)を踏んでいた。
銀貨にメモが添えられていて、
それには、こう書いてあった。
『一応、働いていたようなので、給料です。
勇者より』
勇者の奴め。
こんな端金で、買収できる程、
ウンコは安くないぞ。
でも、ちゃっかりさ。
銀貨をパンツの中に入れるウンコなのだった。




