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失う重み
もっと話したかったけど、やめた。
長く話せば、彼の記憶により強く残ってしまう。
あと一年をきった私の人生。
誰かの記憶に残ることは極力避けたい。
病室に戻ると、すぐ朝ごはんを届けてもらえた。
「いただきます!」
まさかのいちご味のヨーグルト飲料付き。
うきうきで手に取った。
と、同時に手から飲み物が消え、気付くとテーブルに転がる所を見つめていた。
ん?
ああ、そっか。
機能が消えたのか。
うん、これからは気をつけて持つようにしよう。
2026年3月15日日曜日
左手のゆうこう骨の機能が_。
日記を書き、お昼寝をした。
面会時間になり、母と父が来て、お医者さんの話を聞き、これからのことを話し合った。
三人の認識の中では、「記憶障害と、事故により、余命が一年」となっているらしい。
あの倒れた日、私は加害者の居ない、事故にあったことになっているらしい。
泣き始める2人の横で私は、現実に少し驚きながらも、そっと2人の手を握ることしかできなかった。




