君の歌
僕は、彼女が書く文字を、自分のスケッチブックに全て書き留めた。
彼女の書く歌詞は、本当に面白かった。
僕には到底思いつかない言葉。
書き留めていて、本当に楽しかった。
方向性は決めてなかったから、本当に色々言葉がでてきていた。
「道は知らないだけで思ったよりあるから、ルーレットで決めるみたいにしてみるのも手」
「考えすぎるんじゃなくて大きく考えてるだけ」
「怖くて動けないなら、まずは30分起き上がることを目標にすればいい」
「自分から背けたくなる今があるなら、自分を見て笑顔になれる未来もある」
「何も間違ってないから、責める必要も全くない。」
でも、統一していたのは、誰かに向けた言葉のようだったこと。
そして、過去の自分に向けて言ってるような言葉のようでもあったこと。
彼女に、言葉の意味を聞こうかとも考えたが、それは聞かなくていいことだと思った。
人には触れなくていい所の方が多いから。
スケッチブックがかなり埋まった。
埋まった頃には2時間程経っていた。
僕は、午後に練習もある為、そろそろ帰らなければならなかった。
そう考えていた時、まるで彼女は分かっていたかのように、ホワイトボードに「そろそろ失礼します!両親と朝ごはんの時間なので!」と書いて見せてくれた。
気を遣ってくれた…?
いや、でもそれには記憶がなきゃ…。
混乱する僕に、彼女はさらに混乱するホワイトボードを見せた。
「練習あるんでしょ?早く帰って準備しなきゃ!」
なんで、練習のこと知って…。
そりゃ、公園で歌ってたら練習だと思うのは当たり前だ。
でも、それなら練習頑張ってねで終わるはず…。
どこかに練習に行くと思わなければ、帰って準備とは思わないはず…。
記憶が、残ってる…?
完全には消えていない…?
すると、彼女は「行ってらっしゃい!」と書き換え、笑顔で手を振り、公園を後にした。
僕も、公園を出て、急いで準備をし、練習に向かった。




