↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/25

式前の二日間

12月28日月曜日。

僕は朝7時に夜織を迎えに、夜織のご実家に行った。

今日から二日間は、夜織と一緒に過ごせる。

扉が空き、目の前におうまさんを抱えた夜織が居た。


「おはよう。朝早くからありがとう。忘れ物はない?」


「はい!日記も持ちました!おうまさんも抱っこしてます!」


「うん。完璧だね。じゃあ、行こうか。」


そして、ご両親に挨拶をし、僕の家へ向かった。

向かう途中で、お菓子や飲み物を買い、たくさん話をした。

そして、家に着く頃には、彼女はため口で話してくれるようになっていた。


「わあ!写真通り!綺麗なお家!」


「写真通りって…ん…待って。前来た時撮ってたの…?」


「はい!あ、まずかったかな…?」


「いや、ちゃんと隅々まで掃除行き届いてなかったから、すごく恥ずかしい…。」


「え!いや、すごく綺麗だよ!ほら!」


「僕は見なくていいよ。なんか恥ずかしいから。」


「なんで!」


「だって、いっつも汚いから、夜織が来るから片付けた感すごくて、張り切ってるの見え見えで恥ずかしい…。」


「ははっ!何それ!可愛い!」


「あなたには負けます。ほら、ソファ行くよ。」


「はーい!」


夜織と、夜織が抱きしめて離さないおうまさんを抱きかかえて、ソファに座ってもらう。

二人で映画を選び、お菓子を開けて、飲み物を注いでストローを差し、ゆっくりと映画を観た。

彼女は、相変わらずどこか可笑しくて。

驚くかもしれないって分かってるはずなのに、なぜか合わせてるかのように毎度ストローに口をつけていて。

案の定、ビクッとしてむせていた。

シュークリームを口に運べば、最初の一口は絶対一口ではいらないのに、毎回口を大きく開ける運動をしてから食べて。

でも、結局映画に意識が向くから、練習までした一口作戦は失敗してて。

鼻にクリームがつくから、申し訳なさそうにこっちを向いて僕に拭いてほしいと目で訴えてきていた。

感動する映画のときは、泣くことは分かってるからって、バスタオルを抱えて。

でも、拭くか観るかの葛藤で観ることが優先になるから、結局涙は拭ききれてなかった。

思い出せば思い出すほど、彼女はどこか可笑しくて、笑ってしまう。


夜は、夜織がずっと家に居たいというので、配達してもらい、お腹がはち切れそうな程、たくさん食べた。

そこでも彼女はやっぱり可笑しくて。

牛丼のネギだくを頼み、蓋を開けた第一声が、ネギだくって何?だった。

僕が玉ねぎだと教えると、驚いた顔で箸が止まった。

彼女は一体なんだと思って、どこをこだわったんだろうか。

未だに分からない。

その瞬間は、笑いすぎて聞けなかったんだ。

聞いておけばよかった。


ご飯を食べ終えて、お風呂に案内した。

夜織は、一人では入れないので、そこは、ご両親とも話して、二人で入った。

夜織も僕も当たり前に恥ずかしかったが、なんとかお風呂も終え、僕は夜織の髪を乾かしていた。


「熱かったら言ってね。こうゆうのしたことないから、慣れてないので…。」


「うん!ありがとう!乾かしてくれるだけで嬉しいし、ちょっとくらい熱くても我慢できるよ!」


「だめ。」


「え…?」


僕は夜織の前に座った。


「夜織の身体大切にしたいから、我慢させたくないし、してほしくない。だから、ちゃんと感じたこと、思ったこと、全部話してね。全部受け止めるから。」


「うん…!」


「うん。じゃあ、再開します。」


僕が下手で、かなり時間はかかったけど、なんとか乾かすことができた。


「夜織と出会えなかったら出来なかった経験、たくさんさせてもらってるなって。本当によく思う。本当にありがとう。大好きだよ。」


「うん…。ありがとう…。」


彼女は泣き出した。


「どうしたの?…なんか、悩んでることあるんじゃない?」


でも、その時の彼女は、首を大きく横に振り、全く話そうとはしなかった。

それから、涙をバスタオルで拭き、ベッドに連れていき、おうまさんも後から連れていき、日記を傍に置いてから、二人で布団に入った。

僕は、とにかく楽しい話をしなきゃと思った。

明日は何しよう。

どこへ行こう。

公園とか行ってみる?って。

たくさんたくさん話して、二人して、いつも間にか寝ていた。



次の日、12月29日火曜日、6時30分。

彼女の携帯のアラームが鳴り、僕も目覚めた。

だけど、僕は寝たフリをした。

僕も起きて彼女に説明をしようとも思ったが、起きたら、余計に怖がらせると思った。

すると彼女は、起き上がり、日記を読んだ。

読み始めて数分後だった。

彼女は泣き出した。

僕は思わず起き上がってしまった。

彼女はおうまさんを抱えて泣いていた。


「おはよう。どうしたの。大丈夫じゃないよね。」


「…おはよう。大丈夫です…。ごめんなさい…。起こしてしまって…。」


「そんなこと気にしなくていいから…。」


この時の僕は、何でも話してと言おうとしてやめたんたんだ。

何でも話してって、はたから聞けば優しい言葉かもしれない。

言われた側が、本当に言えない時だったら、それは無理な聴取になりかねないから。

彼女が話してくれるまで待とうと思った。

でも、それが間違いだった。

彼女はその後、いつも通りの笑顔に戻った。

僕は朝食を作り、二人でそれを食べ、カラオケデートをし、帰ってきてご飯を食べ、お風呂に入り、そして寝て、次の日の式に備えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。