第85話 プリセラのお香
ハクはルヴィン草原の南を見据えたまま静かに言った…
ハク「ルヴィン草原の南の方角にある…ラフウェル城跡に向かう」
アス「あそこの遺構か……長丁場になるな」
ハク「そうだな。だが…避けては通れない」
プリセラ「ルートはどうしますの?」
ハク「ああ…まず…南のルヴィン草原を抜けてケセラ河原へ出る」
シズク「水量が安定している河原ですね。補給と休憩には最適です」
ハク「そこから東に折れてランゾ竹林を横断」
モエ「あそこ、視界悪いし魔物も多いわよね」
ハク「だからこそだ…どこかで魔王軍の残滓…あるいは現代魔王軍の手掛かりが出る可能性が高い」
オレジ「でも竹林越えたら風通し良くなるよね?」
ハク「ああランゾ竹林を東に進むとオルフェッソ山だ。そのオルフェッソ山の西麓を回り…そこから南下する」
アス「オルフェッソ山か……昔の襲撃の余波で瘴気が蔓延したそうだが…現代では瘴気は薄れたそうだが…何かしらの古い結界の名残があるはずだ…」
ハク「だから慎重に行くそして…ラフウェル城跡」
プリセラ「……魔王軍に滅ぼされた城」
ハク「そうだ…18年前サンブ王が言っていた…ここから南にあるラフウェル城も…魔王軍の襲撃で廃墟と化したと…」
シズク「過去の魔王軍は壊滅したはず……なのに城跡が今も"不自然に"残っている…普通更地にしますよね?ルヴィン城の時と同じく…」
アス「つまりな…現代魔王軍とやらが、何かを残している可能性が高い」
モエ「行くしかないわね」
オレジ「ルシアの手掛かりも…ナモの行方も…もしかしたら」
ハク「ぴっちり女神への道もな…そして準備を整えろ…これは探索なんかじゃない。次への真実へと踏み込み旅だ…」
こうして…ハク達は
ラフウェル城跡へ向かう長い道行きへ
歩み出すことになる。
~ルヴィン草原~
プリセラが…どこか期待を含んだ微笑みでハクを見る。
プリセラ「ハク…できましたの?注文した新しいお香」
ハク「ああ。プリセラが頼んだ効果にはしてあるが……お前も本当にいいのか?」
プリセラ「もちろんですわ」
ハク「じゃあ点火するぞ」
するとハクはプリセラのお香に点火する…
するとお香から煙があふれ出す!!
つぎの瞬間だった…
胸の奥が…ふわりと熱を帯びる
モエ「……なに…これ……」
シズク「心臓が……早い……」
オレジ「やだなぁ……なんか、ハクのこと……」
プリセラ「効果出ていますわね」
ハク「ああ…」
プリセラのお香の力は対象の理性を奪うものではない
ただ…心の奥にあった好意を…
正直に前に押し出す効果だ
好意を前面に出した女子達は…
モエ「……好きよ、ハク」
オレジ「普段は言わないけどさ……頼りにしてるし、大好きだよ」
シズク「……ハクがいない未来、考えられません」
プリセラ「ハク……」
ハク「……プリセラ」
プリセラはその名を呼ばれ…彼女は満足そうに微笑んだ
プリセラ「はい♡わたくしは貴方のプリセラですわ♡」
ハクは好意を前面に押し出す四人に囲まれ…
苦笑しながらも静かに言った。
ハク「……これは、ちょっと効きすぎだな」
アス「だな…人気者だからな…お前は」
ハク「はは…」
草原を渡る風が…お香の煙を薄めていく。
それぞれの鼓動は…やがて落ち着きを取り戻すだろう。
だがこの瞬間に確かめ合った想いだけは…
もうなかったことにはならないのだった…




