第33話:照らされる金髪
明らかに不自然な状況。
「誰だ!!??」
自分でも驚くくらいの大声が出た。サクとメルビンが跳ね起きる。
と同時に大きめの窓はガタンと外れ、人が次々に侵入してくる。
俺の問いかけには無言の侵入者は、襲い掛かってくる。
人数は5人。
サクに飛び掛かってきたやつは手首を掴まれ、捻られて転ばされる。
ドシーン! っと凄い音だ。
同時に侵入者二人は、光線を俺とメルビンに放つ!
メルビンは動けなくなり……俺は何ともない。
さらにもう一人は……火の玉の魔法をメルビンに!
「うわあああああああ!!」
全身を炎に包まれるメルビン。
強力な魔法……ゼイル旅団四天王のティル以上。
これは悪夢か!?
しかし、入り口のドアが開き、ただならぬ音で気付いたゴールとニーナが飛び込んでくる。
真っ暗な中、メルビンを焼いた炎で照らされた二人の姿。
ここまでハッキリとした景色は、夢なんかじゃない。
ゴールは、侵入者に鉄拳をお見舞い。
相手の一人は、光線をサクに命中させる。
麻痺光線か!?
動けなくなったサクに、ニーナが回復呪文を唱えながら触れ、彼は動きを取り戻す。
相手は、魔導士5人か?
そうであれば……
「ライジングサン号まで逃げるぞ! 殿は俺がやる!」
ゴール、ニーナ、サクを先に逃がし、俺は最後尾を行く。
侵入者は俺に向かって光線を数発、火の玉の魔法も数発、叩き込んでくるが……あいにく俺に攻撃魔法は効かない。
俺は侵入者の追撃を全て引き受けながら、シップビリッジの外を目指した。
真っ暗で何も見えないのだが、皮肉にも、相手の火の玉の魔法が明かりとなって、方角と道がわかる。
必死に逃げる。
メルビン……くそ!
ちょっと振り返ると、仮設住宅は燃えている。
彼の死を確信してしまう。
ヤツらは何者なんだ!?
その思考が終わらぬ間に、本拠地ライジングサン号が見える。
追って来てるのは…………ダメだ……暗くて全然わからない。
頼れるのは、微かな月の光。
ライジングサン号に近づいた時、俺は心底、安堵した。
理由は二つの巨大な影。
「ミリア、パトリシア!! 敵襲だ! メルビンが殺られた!」
もの凄い早い時間だったが……彼女たちは毎日、早朝練習を欠かさず行っていた。
「アキラ君!? ……メ……メルビン君が……??」
それを聞いたミリアの身体が白く光る。
ヒートアップが発動した。
そうこうしているうちに、パトリシアの背後から光線が当たり、パトリシアは動けなくなる。
彼女の背中へ突進してくる侵入者。
「うっ!?」
パトリシアが呻いて、膝をつく。
「この!」
と、そこへミリアのパンチ。
一発で刺客の頭がはじけ飛んだのが、ミリアから放たれる光でわかった。
倒れ込むパトリシア。
ミリアは反転すると、二人の侵入者と対峙。
ヤツらは光線と火の玉を放ってくる!
が、ヒートアップしたミリアには全く効かないのか、この二人も人の原型を留めることなく、粉砕された。人間相手で『氣』の特効がないハズだけど、彼女の怪力の前では関係なしだ。
「パトリシア!? ちょっと……大丈夫!?」
「ミリアさん! 後ろ!!」
パトリシアに駆け寄ったミリア、そして、そこに襲い掛かる巨大な影。
「てっめえ! よくも、メガナを悪の組織に!!」
光るミリアに照らされた金髪……
鉄拳が、ミリアの腹に直撃する。
「くっ……よくも、メルビン君をーーー!!」
ミリアも攻撃を効かされたようだが、カウンターの一撃。
「ぐ……」
金髪が崩れ落ちる。
「こんのーーーー!!」
トドメとばかりに両手の握り拳を固めて、打ち下ろそうとする。
「待て、ミリア!!」
俺は思い切り叫ぶ。
それを聞いて、手が止まるミリア。
俺たちは、一か所に集まる。
俺は火龍波を発動して、辺りを照らす。
侵入者はわかってる限りでは、普通の体格の人間5人……そして倒れている巨人の合計6人。
普通のヤツ3人は、ミリアが粉砕した。
動けるヤツは、残り2人いるはずだ……
「敵はあと2人なの? ……絶対、逃がさないんだから!」
ただちに追撃しようとするミリア。
「もう十分だよ!」
「まだ終わってないわ!」
「だってこの暗闇じゃ……」
「く……」
ギリっと歯噛みして、シャインビリッジの方角を睨むミリア。
残り2人は暗闇に紛れて、逃げおおせたようだ。
見つからないし、襲ってもこない。
戦闘収束後、まずはニーナがパトリシアの回復をする。
俺の火龍波で照らすと、背中から出血していた。
落ちていたのは……鉄のナイフ。
こんなもんで刺されたのか、パトリシアは。
それに鉄だって?
この世界では、もの凄く貴重なモノだと聞いているが……
「ふわぁ……皆さま、どうされたのです? 朝から騒々しいですわ……」
呑気にライジングサン号から出てきたのは、マドリーナ。
こうしている間にも日の出となり、はっきりと映し出されていく。
マドリーナに事情を説明すると、彼女は一言。
「この人から事情を聞きましょう」
倒れている巨人。
明るく照らされていくにつれ、その人物が誰なのか完全に確定する。




