総帥、学食を「ディストピア飯」に変える~栄養補給は合理的であるべきです~
ベースブレッドって味があれですよね・・・
昨晩の「下水道大改造」の代償は、あまりに重かった。
学園の至る所で、魔法耐性を得てトラック並みに巨大化したGが走り回り、聖女エルゼがそれを火炎放射で焼き払うという、バイオハザード状態。
佐伯悠馬は、自室の机で全属性魔法をフル回転させ、「生態系の強制書き換え」を試みていた。
「……計算が合いません。Gの個体数を減らすために『天敵』を生成すれば、今度はその鳥が街を食い荒らす。……ノア、ショップから『ハミルトン製・超音波害虫駆除機』を1万台。魔法と科学のパッチワークで、強引に蓋をします」
「兄さん、顔色が土気色っすよ! ほら、学食でメシ食って元気出しましょう!(野太い声)」
ノアに引きずられるようにやってきた学園の食堂。
そこには、「ドラゴンのステーキ・赤ワインソース添え。妖精のささやきを添えて」といった、無駄に長い名前の脂ぎった高級料理が並んでいた。
悠馬は、冷徹な仮面の下で吐き気を堪える。
「……不衛生な厨房。過剰な脂質。そして、このガバガバな調理工程によるビタミンの破壊。……お母さん、私は今、猛烈に社員食堂を恋しく思っています」
『ピコーン☆ 悠馬くん、不満爆発だね! 「学食改革イベント」開始だよん♡』
「……了解。……ノア、厨房の料理人を全員外へ。ショップから『全自動調理ロボット・ハミルトンMk-II』と、『完全栄養食ベースパスタ』を召喚します」
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数分後。
学食から「美食」が消えた
代わりに並んだのは、無機質な銀色のプレートに盛られた茶色のパスタと、見たこともない色の栄養補助ゼリー。
「諸君。これこそが現代知識の結晶、完全管理栄養食です。味という主観的ノイズを排除し、生命維持に必要な成分のみを最短時間で摂取できます」
戸惑う生徒たち。
だが、一口食べた瞬間――
バフ、発動。
魔力回復。肌の改善。思考加速。
「……えっ、美味しいわけじゃないのに、力がみなぎる!?」「効率的すぎ……!」
ピコン!
【徳:-100】
「…………なぜです」
「私は、生徒の健康寿命を15年伸ばしたはずです」
『あはは! 悠馬くん、見て見て☆』
女神が、フィッシュアンドチップスをつまみながら指差す。
『効率飯が優秀すぎて、学園周辺のレストラン全部潰れたよ☆ あと、生徒たちが「味覚」という概念を失って、ロボット化! 「ハミルトン教・効率派」の誕生だね!☆彡』
「……文化の去勢、ですか」
さらに、昨晩のツケが回る。
「兄さん! 大変です!」
ノアが飛び込んできた。
「超音波に惹きつけられた巨大Gが、『栄養ゼリー』目当てに学食へ突入! 壁、破ってきました! エルゼさんが『もうこの惑星を浄化するしかないわ』って隕石落とす気です!!」
「……なぜ、こうなった」
視界の端で通知が暴走する。
【読者満足度:800%(効率厨vs巨大G、神)】
【称号:『味覚の破壊者』『Gの笛吹き男』追加】
【警告:学食が軍事要塞化を開始】
「……女神。一つだけ」
わずかな間。
「……母さんの作った、あの焦げたトーストが……今すぐ、食べたいです……」
『ダメ~☆ 今から「Gの女王vs亡命王子」最終決戦だよ♡ 頑張って!☆彡』
悠馬は、迫りくる羽音と、空に輝く隕石の光を見上げた。
英国紳士らしく、『Tescoの最終兵器(殺虫スプレー)』を構える。
現代知識は、この世界を救うのではなく。
より高度なカオスへと、着実にアップデートし続けていた。
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