総帥、闇市(ダンジョン)を特別監査する~コピー品は迷宮の毒より有害です~
帝都の地下、古の遺跡を不法占拠して作られた巨大闇市。
佐伯悠馬は、ノア(颯太)が無理やり着せてきた「漆黒の隠密用・悪役令嬢ドレス(防弾仕様)」に身を包み、鋭い眼光で並ぶ露店を凝視していた。
「……お母さん。英国紳士は、知財の侵害を決して許しません。……『ハムリタン』などという、ロゴのフォントを少し崩しただけの安直な模倣品……。これを作った者のセンスごと、法的に抹消する必要があります」
「兄さん! 潜入捜査っすね! 隠密なら僕に任せてくださいっす! 気配を消して、背後からプロテインを流し込んで気絶させてやるっす!(野太い声での咆哮・全身黒塗りの筋肉)」
「……悠馬様、この地下迷宮は空気が澱んでいますわ。私が聖水で一気にフラッシュ洗浄(水攻め)して差し上げましょうか?」
悠馬は、ショップスキルで召喚した『ハミルトン製・赤外線透過型・経済分析ゴーグル』を装着し、迷宮の奥へと突き進む。
行く手を阻むトラップ(偽札の雨や、ぼったくり商人)を、悠馬は名刺手裏剣と「魅了」による値切り交渉で次々と無力化していった。
そして最深部、「B10F:著作権無視の間」にて。
そこには、悠馬の顔をプリントした抱き枕(非公認)を量産している、闇の召喚師がいた。
「……っ、私の『肖像権』を、このような低品質なポリエステルに定着させるとは……。万死に値します。……ノア、執行しなさい」
「了解っす! 兄さんのプライバシーを侵害する奴は、僕の広背筋で挟んで潰してやるっす!(野太い声での突撃)」
『ピコーン☆ 悠馬くん、ダンジョンボス戦だね!☆彡』
女神が、今度は「知的財産権の裁判官」の格好をして、巨大なハンマー(ガベル)を持ちながら現れた。
『このボスを倒せば、世界中の偽ブランドが消えて、徳がガッポリだよ!☆ でも負けたら、悠馬くんの「変顔写真」が全世界にパケット配信されちゃうからね♡』
「……了解。……ハミルトン・ショップ、全機能解放。注文:『ハミルトン製・超法規的・差押命令(物理)』。……これで迷宮ごと、我が社の『物流センター』として接収します」
悠馬が「Enter」を叩いた瞬間、ダンジョンの壁が崩れ、数千台の「ハミルトン製・全自動仕分けロボット」が雪崩れ込んだ。
魔物も召喚師も、一瞬で「不適切な在庫」として梱包され、異次元の倉庫へと強制送還されていく。
ピコン!
【徳:+150,000】
【理由:地下経済の健全化、およびブランドイメージの守護に成功したため】
「……っ! +15万。……お母さん。ようやく、地下に光(法規制)が届きました。……これで私の安眠も、知財も守られるはずです……」
悠馬が、押収した「自分の抱き枕(非公認)」を苦々しく見つめた、その瞬間。
『あはは! 悠馬くん、完全勝利だね!☆』
女神が、今度は「オークションの主催者」の格好をして、金槌を振りながら現れた。
『でもね、悠馬くんが「公式」として闇市を潰しちゃったせいで、本物の「ハミルトン製品」が超プレミア化☆ 今度は「公式のグッズが手に入らない!」ってファンたちが暴動を起こして、第ニの地下ダンジョンを作り始めちゃったよん☆彡』
「……需要と供給のバランスを、信仰心に悪用しないでください」
ピコン!
【称号:『闇市の支配者』『公式が最大の手出し(笑)』が追加されました】
【現在の状況:ノアが『兄さんの抱き枕(公式・筋肉監修)』の予約受付を勝手に開始し、サーバーが爆発しました】
「……女神。一つだけ。……私は、ロンドンの……。……いえ、もう……。……なぜ、私が『悪を裁く』たびに、私の『周辺グッズ』の価値が吊り上がっていくんですか…………」
ハミルトン総帥、異世界(実質)十日目。
彼の「ダンジョン攻略」は、地下経済を壊滅させた代わりに、自らを「全人類が欲しがる究極の限定品」へと押し上げ、もはや一歩も外を歩けないほどの超人気アイドルへと変貌させていた。
(第39話:完)
不定期で更新します。評価、ブクマ、感想いただけると励みになりますよそりゃあもう!たまに押してくれても罰は当たらないんですよ!そこの読んでくれてるあなた!!




