総帥、次世代リーダーを育成する~教育(魅了)が行き過ぎて宗教になりました~
悠馬君も僕も必死です
ハミルトン帝国・暫定統治本部。
佐伯悠馬は、各国の王室や騎士団から選抜された「最も理性的で有能な若手」十名を前に、黒板を叩いた。
「……諸君。我が社がこの世界を管理するのは一時的な措置です。君たちには、ハミルトン流の『自立型ガバナンス』を叩き込み、私がいなくても国家を運営できる能力を身につけてもらいます」
「……はい、悠馬様」「……お言葉の一言一句、脳髄に刻んでおります(恍惚)」
「……お母さん。生徒たちの瞳孔が開きすぎていて、教育的効果よりも薬物中毒の疑いがあります。……ノア、彼らに冷水を。魅了の粒子を物理的に洗い流しなさい」
「兄さん、無駄っすよ! 兄さんが『自立しろ』って言うたびに、彼らの脳内では『悠馬様は私を見捨てようとしている! もっと有能になって繋ぎ止めなければ!』って、変な方向にブーストかかってるっす!(野太い声での咆哮)」
『ピコーン☆ 悠馬くん、教育イベント開始だよん♡ でも「魅了(無制限)」のせいで、君の講義は全部『福音』として処理されちゃうよ☆彡』
「……了解。……では、演習です。隣国の飢饉を救うための予算配分案をプレゼンしなさい」
数時間後。提出された案は、悠馬の期待した「合理的な経済支援」ではなかった。
「悠馬様! 隣国の民を救うため、我々十名で隣国の王室を物理的に解体し、全ての資産を悠馬様の足元に献上する計画書を作成しました! これで悠馬様の手を煩わせることはありません!」
「……違います。それは『略奪』です。私が教えたのは『投資』です」
「いいえ、愛です!!」
エリートたちが、悠馬の「魅了粒子」に当てられ、椅子から転げ落ちて床を這い寄ってくる。彼らにとって、悠馬の叱責は「ご褒美」であり、悠馬の教えは「神託」だった。
ピコン!
【徳:-200,000】
【理由:世界屈指の知性たちを『ハミルトン原理主義』の狂信者に作り変え、人類の自立をさらに1,000年遅らせたため】
「…………なぜ、こうなった」
悠馬は、膝にしがみついて離れない次世代リーダー(元・IQ200の秀才)の頭を、死んだような目で見下ろした。
【読者満足度:50,000,000%(有能な部下ほど重くなる呪い、これぞ雪森蓮の様式美ww)】
【称号:『思考停止の誘発者』『全知全能の毒親(笑)』が追加されました】
【現在の状況:教育を受けた若手たちが『悠馬様の教えを広めるための聖戦』を準備し始めました】
「……女神。一つだけ。……私は、ロンドンの、あの冷淡で、他人に無関心な……あの地下鉄の空気感が……今、恋しくてたまらないんです…………」
『ダメ~☆ 明日は「悠馬様を永遠に玉座に縛り付けるための、教典(憲法)編纂会議」だよ♡ 頑張って、自分の自由を剥奪(承認)してね!☆彡』
悠馬は、恍惚の表情で自分を拝むエリートたちと、それを「兄さん、もう諦めてハーレム王になりましょうよ!」と笑うノアに囲まれ、静かに五錠目の胃薬を飲み込んだ。
ハミルトン総帥、異世界十八日目。
彼の「自立への教育」は、ついに人類から「思考」という名の機能を、喜びと共に奪い去ろうとしていた。
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