インターンシップ→
クレーマーなど面倒臭い勤務の三日目、土曜日でもシフトを入れられたら最後、人々の仕事は続く。
ハイパーファミリーレストラン"イツキング"。この、ファミリーレストランを超えた伝説の超ファミリーレストランにて、一つのイベントが始まろうとしていた······。
カチンカシャンモグモグムシャムシャゴクン────。
「もーう、ベルゼさんったら。もっと噛んで飲み込みなさいよ」
と、食いしん坊の子供のように皿上の料理を荒々し食べるジャージ金髪悪魔外国人ことベルゼに注意をしたのは、青を基調としたフリフリのワンピースを着た姫路菊だ。
「なに、食べる為に食べてるだけなんだからいいじゃんかよ。栄養なんてもう満タンなんだから」
ベルゼが腹を片手でポンと鳴らして答えた。
「でしたら、土でも木でもアスベストでも食べてみてはどうでしょう」
姫路の隣に座る、白いワンピースを着た茶髪ロングの稜葵がベルゼに口を開く。
「飽くまでも悪魔でも土なんて食うわけないだろ!」
「世界には土を食べる民族はそれなりに多いと耳にしたことがありますが······」
「でも、アスベストってのは何なんだ?美味いのか」
「ええ。とてもこの世のものとは思えないほど良いらしいですよ。なんと気絶するほどに凄いだとか」
「そ、そんなものがこの世に存在していただなんて!」
「この世のものとは思えない食べ物といえば、C4っていう滅茶苦茶に甘いものがあるって聞いたことがあるよ!」
「待ってどれも猛毒だからね!?次はフグとか言いそうな感じだけど」
ベルゼの隣でハンバーガーを齧りながらC4などと発するジャージ古志野に姫路がツッコミを入れる。
ジャージの貧乏サイドとワンピースの金持ちサイドとをテーブルが隔てている。
「そして平井の嬢ちゃんが一番強い毒の持ち主ってか······」
「フグって毒あったの?」
ベルゼをよそに古志野が質問した。
「常識レベルでありますよ?種族や個体によって毒のある部位が違うんです。なので、調理には特別な免許が必要になるのですよ」
「へぇ〜、フグって怖いんだね」
「古志野さん······学校で習った筈よね······?」
「赤点チームにはわかりませーんってね」
「そうそう。赤点チームはテトロドトキシンの組成式も何も分かりませーんよ。はい、稜葵と姫路さんのサイコロステーキでございます」
私は古志野に便乗しながら稜葵と姫路の前に料理を設置した。
「戸室さんも古志野さんも、期末くらいは赤点回避しないと、冬休み潰れちゃうよ?」
「「あぐあっ!」」
「菊ちゃん······プレッシャーはあまりかけない方が······」
「冬休みはエロマンガ島に行きたいのに······」
「いやいや、ジャージ仲間の俺が言うのもなんだが、プレッシャーを受けて努力して何かを達成するってのは大切な事だと思うぜ?成長にも繋がるだろうし」
「ベルゼさん珍しく良いこと言ったわね!戸室さん!ミックスパスタ追加でもう1皿持ってきて!」
「あっはっはっは。どんだけ此奴に食わすつもりなの······大食いなんだから限度がないってこと知ってるでしょ」
「あー、それもそうね」
「大食い······そうだ、ベルゼさん、大食い大会······しませんか?」
稜葵が閃いたかのようにベルゼに提案する。
「大食い大会?なんだそりゃあ」
「大食いの人間を沢山呼んで、誰が一番多く食べれるかを競うんです。そして優勝者には賞金を与えるんです。······ベルゼさんが優勝すれば賞金を上乗せしますよ······」
「おぉ!やるぜ!やるやる!まさに俺の為の大会みたいなもんじゃねぇか!」
「そういえば、先月の赤点補充の打ち上げの食べ放題の時、戸室さんすっごい食べてたよね?牛の如く」
古志野がベルゼの皿のポテトを1本摘みながら思い出したかのように口に出す。
「いやぁまぁ、あれは利便と効率を考えてのことでしてね······」
「では綾ちゃんも参加ですね!」
「だよねー」
「それで、日程とかはどうするつもりなの?あと戸室さんはパスタパスタ」
「さーいえっさー」
「綾ちゃーん来たよー!」
レイが桃を肩車して来店した。
自動ドアが開き、「ゴイーン」という音と共に2人が後方へ勢いよく倒れた。
桃の額が自動ドアの上の不動ガラスに当たったのだろう。ナムアミ。




