第66話 海水浴:深海4
この作品はフィクションであり実在の人物や団体とは一切合切関係ありません
鶏口牛後······じゃなくて、先ず隗より始めよ······でもなくて、まぁなんでもいっか。
「先手必勝!マグネバレット!!」
伊織よりも先に遺跡入口へ駆け込み、ゲートとバレットを同時作成。射撃する。
曲がり角から現れたヘンテコ虫は、ギギィと鳴き声を上げて弾を前に緑の飛沫を上げ散りゆく。
次々と虫は現れては散って現れては散るを繰り返してゆく。
「エネルギー浪費は大丈夫なのか?」と伊織。
「それ思った。突撃して纏めて殺った方が良いって感じかな?」
本当はちっとも思ってなどなかったが、一応無駄な浪費は避けておきたいものだ。それに、ちまちま殺すのは性にあわない。
バレットで次々と出てくる虫を殺しつつ、通路の曲がり角へ駆ける。ダイヤ剣を作り出して左手に握る。
「アエラート」
曲がり角へ到着すると同時に剣を横に振りかぶり、
「インタッカトゥーラ!」
風の剣技魔術を横に打ち放つ。風の刃は一貫して通路の端までにいる虫を切り裂く。爽快感MAXである。
そのまま汚い通路を駆け抜け、また曲がり角へ到着する。もう1度振りかぶってみるが、視線の先に敵は居なかった。ただ、正面には巨大な空間が広がっていたのだ。広さ高さは東京ドーム2個分、中央の床タイルっぽいのは割れて、茶色い土壌となっている。
「なんなんだ之は······ますます分からん」
後から来た伊織は、そう呟く。
「あっ、彼処にいるよ!」
空間の天井の端っこを指さしてみる。そこには先程の青目ヘンテコ虫が三匹ほどウロウロしていた。
「なるほど。アレらは魔獣の一種か······」
伊織がそう呟く。
「魔獣って······現実にいるものなの?」
「ああ。アジア内陸では日常茶飯事ってほどに出現する。ちなみに言っておくが、狼男やドラゴンといったものとは、文字通りにモノが違う。」
「どう違うのさ?似たようなもんじゃない」
「ただただ魔獣は生態があまり判明していないってとこだな。狼男とかは大義名分をもって人を襲うが、魔獣は何でもない。ただ、人を見つけたら襲う、これが魔獣だ。旧史の宇宙生物を連想させられちまうが、それらの一種とも考えられている。とまぁ、これが魔獣だな」
「ふーん。意味わかんない。別に旧史云々なんて興味ないし」
手裏剣を作り出し、天井に張り付いてる虫に飛ばす。1匹に突き刺さり、ポテンと天井から落下する。
「おいこら馬鹿!何をしてる!」
伊織が青筋立てて突然怒る。情緒不安定すぎるでしょこの人。
すると、中央の土壌がモリモリと膨れ上がり、バシャーン!と巨大な虫が「ギィイイイイン!」と空間に土を舞いあげて顕現した。
「えっとー、何アレ」
「俺が知るか!お前は責任もって相手してこい!!」
伊織は私を虫の方へ蹴り飛ばす。
中空で伊織の方を見てみると、10数匹の虫が伊織のいる先程の通路へ群がっていた。が、一瞬で半数が飛沫を上げて砕け散る。
大きな方の虫の形態は、六足歩行に腹と背中から生える無数の触手、赤色の大きな4目玉とカマキリのような口、そして如何にも羽根の入ってそうな尻付近の甲羅っぽいもの。まるで最終形態のような風貌である。明らかにやべー奴だ。
突出して何がやべー奴かというと、今、私がそいつに向かって勢いよく吹っ飛んでいるという事だ。
「うわぁ!!止まれ止まれ気持ち悪い来るなぁぁ!!」
咄嗟に虫の目の前にNゲートを作り出し、私の眼の前に同じくNゲートを作って斥力を用い、元来た場所へ戻る。
「おいおいお前がこっち来んな!」
飛んで来る私とゲートを目にした伊織が拒絶反応を起こす。
\ガッシャーン/
土煙が盛大に舞う。
「けほっけほっ······。うぅ、何も見えない」
風魔術と土魔術で土煙を地面に収める。
「その場しのぎとしては、どうにかなったな」と、伊織が呟く。
その視線を追ってみると、大部屋へ続く入口がゲートで塞がれていた。
「さぁて、一旦反省会も兼ねて作戦会議だな」
伊織は青筋立てて、そう宣言する。
※※※※※※※※※
「青い目のやつは未だ安全だから狙うなって言っただろ······。お前の海馬は腐ってんのか」
「は!聞いてないよそんなの!大切な事は早めに20回以上言うのが常識でしょ!」
「まぁまぁお二人とも、そんなバカらしい喧嘩腰漫才事よりも作戦会議の方が重要かと思いますが······?」
スーパー仲人稜葵。仲裁がお強い。
「ほんと何よアレ。ザ、遺跡の主ってレベルじゃん。流石に倒せっこないって」
「いいや、倒す必要は無い。俺たちのいた入口のちょうど反対側、そこにもう一つ通路が続いている。そこを辿れば若しかしたら外へ出られるかもしれん」
「でも、使い魔のようなものが多いのでしょう?綾ちゃん達は足が速いし力もあるので楽々通れるでしょうが、私はどれもそれも持っていませんよ」
「たーしかに。何か秘策でもあんの?」
「秘策か。そうだな、戸室綾、お前が囮役になればいい」
「え?囮?口が化けて囮?口裂け女?」
「綾ちゃんは既に充分口が裂けても言えないくらい化けてますよ?」
「口裂け女は稜葵でした······」
「とりあえず、稜葵は俺が背負って通路へ逃げ運ぶ。そしてお前はバグを惹き付けて、俺と稜葵が無事渡りきったらお前も退散して通路をこの前のコンクリートで塞げ。それでオールコンプリートだ」
※※※※※※※※
エネルギー満タン、気合いも満タン。
「「そして頭はアンポンタン」」
伊織と稜葵が声を合わせて茶化してくる。何なの?揃いも揃ってエスパーなの?トラッシュケースに詰め込むよ?
「おい、そのトラッシュケースは何のつもりだ。エネルギー難民が何無駄遣いしてんだ」
「いやぁ、二人に似合うと思ってね」
「そんなボケは要りません。ちょっと瞑想してて下さい」
稜葵がお姫様抱っこされたまま、エネルギーの回復を促してくる。
言われるがままに床で座禅を組み、瞑想する。
すると、頭を撫でられる感触と共に耳元で不穏な優しい声が聞こえる。
「責任は重いですよ······?」
カッ!と目を開き、通路を塞ぐマグネゲートを蹴り飛ばす。
エネルギー充分、気合い充分。
「プレッシャー充分!!虫は蒸して無視してやる!!ヴァンパンテ・グラヴィタ!!」
簡易詠唱と共に空間の魔素が熱風の重力波となって、虫を蹴散らしてゆく。
続いて、紡ぐは鉛の槍、無数の高熱槍。
「前方180度プラス上方90度イコール270度、スパラーレ!!」
熱々の槍を飛ばしまくる、と同時に入口から3人駆け出す。
ジパング編はぐにゃる
世界編はキチる




