第60話 海水浴4
まさか海水浴がこんな長引くとは思わなんだ。
「昼食はサンドウィッチでございます」
ガラスだらけの自然たっぷりテラスの丸ガラステーブルに正蔵がサンドイッチを高級そうな段々オボンに乗せてスルリと稜葵の前に出す。
「あんれ?私らの分は?」
「はい?見ず知らずの小娘に出すサンドうぃぶしっ!」
稜葵が正蔵の後頭部をオボンで盛大に殴り付ける。
「はいこら老害。満漢全席を用意なさい。今すぐ」
「ははっ!この寿命が尽きるまでに仕上げてみせます!」
「綾ちゃん。殺っちゃってもいいですよ?」
「オッケー。」と、正蔵の脳天に直径1米の岩を落とす。
「ぶぼらっ!」と正蔵は倒れた。
すると、背後のガラスがバリーン!とリーダーマッチョが飛んで来た。
「本気だすといつもこう。どいつもこいつも甘ぇんだよ雑魚」と伊織が悪態を付きながらバリーン!とガラスを割って入ってくる。
「あ、いい所に来たわ伊織。老害の代わりにサンドイッチ作ってきてくれない?」
「へいへい了解っしたー」
デデン!とオンテーブルにサンドイッチが出される。
「早っ!え、なに?超能力者か何か?」
「特殊能力者程度ですが何か?」
「伊織は凄いんですよ?強化系のトップクラスに属しているんです」
強化系の特殊能力者は人口としては多めなのである。スポーツ選手の殆どが強化系の能力を持っていたりする。つまりメジャー。
「だからってソニックブームも出さずにこれってヤバすぎでしょ」
「ソニックブーム?音速なんて出すわけないだろ。常識わきまえろチビ」
「私もうお家帰る」
「お!このサンドイッチ凄く美味しい!」と楓夏。
「本当!爺やのより数倍美味しい!」
「綾ちゃん、あーんして」とレイ。
「あーん、もぐ。ほほー、確かに之は美味ですな!流石は財閥の令嬢」
「そんなに褒められても、綾ちゃんの食いくさしのパンしか出てきませんよ?」
「どっから持ち出したそれ!」
「それは私が貰い受ける!」とレイが稜葵の手に噛み付く。
「それにしても、バイト枠のくせして本職越えしちゃってるよね。何か秘訣でもあるの?」
「高級食材を適当に入れればなんだって旨くなるだろ」
「私もそれやってみてもいい?」
「構わん。こっちが台所だ。着いてこい」
伊織に台所へ招かれる。台所には煌めく高級食材の山が······。
「好きに作ってみろ。俺が味見してやる」
「オッケー!まずパンを半分に斬って······何これ鮑かな?入れちゃお。あっ、ナットウキナーゼって血栓防止作用があるよね!健康も重視できる能う乙女って事で、ピーナッツバターと一緒に伊勢海老に塗りたくろっ。梅干しと酒粕は万病の薬だったよね────」
黒いサンドイッチが完成する。
「ほい!健康乙女サンド完成!食べて!」
「見た目は魑魅魍魎······。なんか悍ましい声が聞こえてくるが······。ま、まぁ見た目悪けれど美味な食べ物もあるしな。いただきます」
伊織は倒れた。
「稜葵ー!代わりの執事さんっていないの?」
「ひゃー!綾ちゃん何してるんですか!クンクン、これはアーモンド臭······。青酸カリですね!」
「確かにピーナッツバターは使ったけどアーモンドでは無いからね!冤罪!冤罪だよー!」
「うぅっ······」
「あっ、伊織起きたよ!私はノーギルティだよ!」
「ここは誰?俺はどこ?」
「綾ちゃんイエスギルティです!三時のおやつ無しの刑に処します!」
「そんなバナナ!」
「バナナはおやつに含めません!バナナは無罪!」
「伊織さーん。貴方は誰で何をする人か覚えてますかー?」
「俺は······伊織。ジジィに引導を渡す人だ」
「げほっげほっ!稜葵お嬢様······どちらへ行かれましたか?」と正蔵がテラス方面から登場。
「ジジィ!覚悟ー!!」と伊織が飛びつく。
「んなっ!何をする若僧めがー!」
ボコスコボコスコ。
「よーし、海にもーどろ」




