第42話 インビジブルオブデス7
「────この戦争で東日本と四国山陽地区は海の藻屑となって」
どの授業もつまらないものだ。早くて今日、遅くて数十年後には私も皆も死んでしまう。そんな中、来世へ記憶を持ち越せる私としては、こんな無駄知識を全く関与の無い世界へ持ち出すのは記憶の容量が勿体なく億劫だ。
右を見ればレイが眠っている。そういえばおりものシート渡してなかったなぁ······後で渡そう。
左を見れば校長が校庭でモゾモゾしてる。
うちの校長はよくグラウンド整理をしている。火と土の魔術によるグラウンド整備である。この国でそんな魔術が扱えるだなんて器用なものだが、朝の朝会で数十年の修行の成果であると校長は述べている。やはり文明濃度の影響により、人並みの魔術を扱える様になるまでこちらでは何年もかかるのが現状であった。
その事もあり、うちの学校では校長の方針により魔術の授業が週5である。私としては非常に楽ちんなのでもっと増やしてもらいたいものでもあるが、何分科学文明なので使えない者が多く難しい。
といえど、ジパングの人間は4割ほど魔術を扱えるが、どれも異常に弱い。文明濃度の影響のせいか、火の魔術で例えると、ライターくらいの物しか出ない。
魔法は悪魔やらなんやらと契約しなくてはならないので非常に難しいのだ。
魔術は普通の科学に沿って操作するのが定石であるが、魔法はそうではない。土なら土、水なら水、転移なら転移、と単一操作が主流である。そもそも魔法というものそれ自体の扱いが難しく、混ぜるなんて到底できない。たまたま竜王が凄かっただけである。
水で例えを挙げると、魔術は大気中から水を生成するが、魔法はそこの大気そのものを水にしたりする。この様に、しばしば魔法が魔術の上位互換に思われるが案外間違っていなかったりする。魔術大国の王イヴは魔術ではなく魔法を使っていたりすると耳にしたことがある。
ちなみに、土魔法は固体、水魔法は液体、風魔法は気体、火魔法はプラズマを操作すると言われている。この様にエンペドクレスやプラトンの唱えた四大元素がメインとされている。
今の授業は四時限目、これが終われば昼休憩となる。食事排泄が不要な私としてはただの自由時間だ。イアゼウスパスで時間を紛らわそうかと思ったが、今日は中等部の件が優先的である。
さっさとしめてしまおうとも思ったが、やはり現状の認識が大切だとも思う。
すると、私の脳内に天使と悪魔が現れる。
『何考えてんだよ、そんなことしてっと片桐ってやつへの虐めがエスカレートすんだろ?』
『いいえ、そんなすぐにエスカレートする筈もないですよ。ただ暴力で事を治めても何も解決しません。まず教師の力を借りた方がいいですよ絶対』
『バカヤロウ、教師なんかが役に立つわけないっしょ。人間ってのは諭したところで何も変わんないの。ただ痛みを与えて無理矢理変えるしか方法は無いんだって』
『分かりました。ではこちらから諭しに出向き、それで逆らってきたらフルボッコにするっていうので手をうちましょう。』
『やっぱり、ただ痛みつけるだけじゃ足りないなぁ。お前の言う通り情報を制してからやった方が面白そうだね。』
双方は納得した様に私の脳内で霧散した。
ふぅむ、情報といえども誰から戴けるものであろうか。
皺寄せになった仕事ってエグすぎる······




